カープダイアリー第8248話「開幕1カ月の東京ドームで4発14安打11得点、新井監督の言う「家族」の風景…」(2023年4月30日)

大型連休最初の日曜日は、両チームのファンにとって期待に胸膨らませるデーゲーム。4月最後の日曜日は、両羣ベンチにとって”入り1カ月“の総決算…

アンダーソンとビーディの両先発だから点の取り合いは予想されたこと。4万人を飲み込んだ東京ドームに何度も歓声が響く中5対3、2点リードの六回にヤマ場を迎えた。

マウンドには巨人二人目の代木。四回途中でビーディを救援してロングリリーフになった。

先頭の坂倉が左前打で出塁すると続く上本は7球粘って四球。二回に1号ソロを放っても本来の役割をきっちりこなすのが0番だ。次は九番だから、後者の役割が大事になる。アンダーソンの代打堂林が三塁線に送りバントを決め手一死二、三塁になった。

一塁側ベンチで口をずっとへの字に曲げていた原監督は、ここで田中豊にスイッチした。午後2時のプレーボールからちょうど2時間。巨人がこのカード3連勝する可能性がこの選択で消えた。

菊池が左飛に倒れてツーアウトになったが、新井監督のこの日の勝負手「二番龍馬」が四球を選び満塁にした。

左打者に偏る新井カープ打線には、2枚の万能カードがある。その切り方が攻撃の是非を左右する。

ともに指揮官を慕うバットマン、秋山と龍馬…

秋山は開幕から安打を量産中。この日は三回にバックスクリーン左へ2号ソロを叩き込んだ。打率は4割を越え安打数はリーグトップ。当然、出塁率も高くチャンスにも強い。

龍馬も打率3割前後をキープしながら出塁率が高く、しかも一発があるから打点も取れる。

打撃不振の野間をベンチスタートに回して、代打でチームの勝利に貢献し続けている松山を「五番レフト」に組み込んだことで一番菊池、二番龍馬、三番秋山の並びになった。この形が5月反転攻勢への足掛かりになる。

きっと田中豊も投げづらかったはずだ。何を投げてもバットに当てられそうな龍馬を歩かせたことでもう逃げられなくなった。一死満塁で秋山を迎えるのは無謀過ぎるだろう。

結果は火を見るより明らかで、2ボールからセンター前への2点タイムリー。さらにショックが尾を引く右腕の初球を捉えたライアンの打球は巨人ファンで埋まるライトスタンドに飛び込だ。3ランで10対3。

「高目に浮いてきたカットボールをしっかり捉えた」(ライアン)

打線がつながるためにはそれぞれが、その役割をきっちりこなす必要がある。仮に堂林がバントに失敗していれば1点も入らなかったかもしれない。

ベンチに戻った堂林も、今季初スタメンの松山も、守備固めが主な仕事の矢野や韮澤もみんな明るい表情でグラウンドを見つめている。それが新井監督の言う「家族」の風景…

九回にも、開幕から二軍調整でその打棒を磨いていた磯村に一発が飛び出してトータル4ホーマー14安打、シーズン初の二桁得点。11対4快勝で勝率5割復帰!

一方の巨人ベンチにとっては、3日前の甲子園15失点に次ぐ大炎上になった。4投手がことごとく失点して、トータルで168球も投げさせられていてはそりゃ試合にならないだろう。前日のサヨナラ勝ちの勢い生かすことなく借金3で5月を迎えることになったのである。


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