カープダイアリー第8241話「試練の守護神、決め球にフォークを使えず、また左打者に決勝打許して3敗目」(2023年4月23日)
午後1時30分開始のマツダスタジアム、デーゲーム。また広島の青空に向かってカープファンを歓喜させる放物線が2本、描かれた。
2点を追いかける三回には菊池がDeNA先発、東から左翼越えに1号ソロ。アウトローのカットボールを腕を思い切り伸ばす得意の打法で運ぶ、技ありの一打だった。
七回にはDeNA二番手、エスコバーの代わりバナを叩いた。イチ・ニー・ノサンで投げ込んできたその初球、151キロ高目をライアンのバットが完璧に捉えた。今度はレフト今モースまで飛んで行った。
この一撃はDeNAバッテリーをの動揺を誘発したようだ。続く龍馬が中前打で出塁すると、パスボールで二塁へ。マットが四球で一、二塁となって坂倉の打席の時にはワイルドピッチで二、三塁に“してもらった”。そのあと代打松山の遊ゴロで勝ち越しに成功!3対2になった。
だが、かつて“ビジパフォの呪い”で緒方カープを散々苦しめた、三塁パフォーマンス一角を青く染めるベイスターズファンの声援はあなどれない。
八回に出番となったターリーが先頭の佐野に同点ソロを完璧に運ばれると九回、同点の場面でマウンドに上がった栗林には本当の試練が待ち受けていた。
先頭の桑原を4球で中飛に打ち取り左打席に関根を迎えた。真っすぐ2球でファウル、ボールのあとカーブを投げて左前打された。山本には初球でバントを決められた。続く代打宮崎は申告敬遠。わずか8球でベイスターズファンの声援のボリュームアップ…
そして9球目を代打楠本に右前打された。素早く飛びつく菊池のグラブの先を抜けた打球を野間がもたつく間に決勝点を許した。
ショックな光景が見慣れたものになりつつある。甲子園での初戦では、中野に粘られた挙句、9球目のフォークをサヨナラ打にされた。
同じく第3戦では6セーブ目を挙げたが3安打され1失点だった。
本拠地に戻り一日置いてDeNA打線に投げた。3点のリードがあるのに先頭の宮崎にはフォークを使わず四球で歩かせ、桑原を真っすぐで併殺網に引っ掛け帳尻を合わせた。
ただ、2試合とも三振が奪えていない。フォークを決め球に使えないから、バッテリーを組み続ける坂倉との間で葛藤は募るばかりだろう。
「シーズンで結果を残すことが、迷惑をかけた方々への恩返し…」
3月14日、WBCで激闘を続ける侍ジャパンを離脱してマツダスタジアムに戻ってきた栗林はそう話した。その後、腰の張りの影響はない、と言い切った。
新井監督もその人間性、その力量、その実績を判断材料としつつ、守護神が登板を重ねながら本調子になることを期待している。
開幕からこの日で登板10試合となりリーグ最多の7セーブと自身プロワーストの3敗目。金メダルの東京五輪も含めて、過去2シーズンで数多くの引き出しを用意してきた右腕なら必ず復活する…ただしコンディションに問題がないことがその必要条件となる。
※この記事内で選手などの呼称は独自のものとなっています。