マルチエンディングストーリー 殺し屋は2度死ぬ【1序文&キャラクターシート】C跳田 布頼

【あなた】は乗り気でないパーティーを中抜けして自宅マンションに戻ってきた。

オートロックを抜け、指紋認証で開く郵便受けからごっそり郵便を掴んだ。

部屋に入ると、それはすべて玄関のゴミ箱に捨てた。

しかし、その直後、教え子から連絡があり、捨てた郵便物の中に重要な物が混じっていると知らされ、【あなた】はゴミ箱から封筒を探し出した。

弁護士からの郵便を【あなた】は開封した。

藍 亜苦労(らん あくろう)という人物が余命わずか。身寄りがなく死後財産はすべて国庫に没収。藍氏はそれが癪に触るそうで、無作為に遺贈する相手を選ぶことにした。その候補者の一人として【あなた】が選ばれたので日時と場所を指定するので来てほしい。

面白そう、が【あなた】の最初の感想でした。

【あなた】はダンサーとして世界大会にも出て優勝を重ね、国内外での評価が高かった。

一線は退いたものの、憧れの存在の【あなた】が教えるダンススクールの講座は半年から一年待ち。

だけど、【あなた】の心はからっぽだった。

ダンスでも何でも苦労せずに最高の結果が出せてしまう。

それが楽しいとは【あなた】には思えなかった。

2年ほど前に偶然喧嘩に巻き込まれ、【あなた】はその相手を死なせたことがあった。

たまたまその場にいたのが【あなた】と【あなた】の教え子。

救急車を呼ぼうとした【あなた】を、教え子が止め、誰かに連絡して喧嘩相手の始末をしてくれた。

実は教え子は殺し屋派遣業をしており、こういうことの対処には慣れっこだと知り、【あなた】は彼の仕事に興味を持った。

【あなた】は彼に自分も殺し屋になれるか?とたずねた。

「多分うまくやれると思います」と彼は答えた。

「才能があるなら使わない手はないと思うが?」

【あなた】の殺し屋志願に面食らったようだが、彼にとって【あなた】が白と言えば黒いカラスさえ白になる。

彼にとって【あなた】は絶対で、【あなた】の願いは断れず、結局、彼は【あなた】に仕事を斡旋するようになっていた。


彼からの次の依頼は、『藍氏の遺産相続からみでターゲットを始末してほしい』だったのだ。

パソコンに送られてきたターゲットの資料を眺めてから、【あなた】は入念なストレッチを始めた。

《キャラクターシート》

3、ダンサーの跳田 布頼(とんだ ふらい)

両親はおらず、祖父母に育てられた【あなた】はストリートで踊っていたところを見いだされ、16歳でダンス大会の日本代表となり、世界2位となった(実質1位だとブーイングが起きた)。

その後1位をとり、ダンサーとして舞台や映画にも出演したが、20歳を過ぎた頃、突然一線から退いた。

引退理由は【あなた】を脅かすライバルがいなくて退屈だったから。

【あなた】に憧れてダンスを始めた者も多く、活動期間は短いが、30歳近い今なお、熱狂的なファンがいまだにおり、ダンス教室の講師をしている。

スポンサーのようなファンが大勢ついているので生活には困っていない。

次は共通の【B屋敷にて】にお進みください。