マーダーミステリー すべては【夜】のやみのなか Aプロローグ 簡易キャラクターシート 事件までの経緯(フクブ視点)

プロローグ

私、手芸同好会副会長である【フクブ イチヨ】は遅くまで学校に残っていた。学校を出たのは19:00。でも駅に着いて、スマホを忘れたことに気がつき、慌てて学校へと戻った。作業していた校舎別館二階の同好会室でスマホを見つけ、帰ろうと階段を降り………???

《あれ?そこで記憶が途切れている。何があったんだっけ?》

『【フクブ イチヨ】』

見上げると、長い黒髪の美少女が宙に浮かんでいた。

浮かんでいる!?

文化部の部室のある校舎別館には夜になると、美少女の【幽霊】が出るという、うわさがあったが、私はこのときまで信じていなかった。

《もしかして、噂の美少女【幽霊】さん?》

【幽霊】は無表情で私の手を取った。

『今夜あなたは階段から突き落とされた』

《突き落とされた?え?どういうこと?》と心の中で私がつぶやくと、彼女は続けた。

『それでご相談なのだけど、あなたは【現実】に戻りたい?』

ということは、ここは【現実】ではない。【幽霊】がいるのだから生身の人間が居てはいいところではないのだろう。

私はうなづいた。

『ならば、あなたはこんな目に遭わせた【犯人】を見つけなければならない』

《犯人をどうやって?》

『ここはわたしの司(つかさど)る【夜】のやみのなか。事件が起きた時に別館内に存在した者たちを寸分違わず再現してあげよう』

すると四人の人間が目の前に現れ、私は驚いた。

だって同好会の仲間三人と顧問だったから。

『あなたは彼らに質問できる。私の作ったハリボテの【お人形】ながら彼らは現実の彼らと同じ受け答えをする。ただし、あなたの質問をはぐらかしたり、答えなかったりする。それをしかと心に留めて。

さあ、【現実】に戻るため、あなたをこの【夜】のやみのなかで【犯人】をみつけなさい』

マーダーミステリー
すべては【夜】のやみのなか
事件までの経緯と簡易キャラクターシート(共通)

フクブ『まずは【手芸同好会】について話すね。この学校に手芸部がなく、そこで趣味手芸の【カイチ ヨウコ】が一年生の時に設立した。

当時一年生で同じクラスだった【カイチ ヨウコ】【オカ ルイン】【フクブ イチヨ】が初期メンバー、担任だった【コモ コモゾウ】先生に顧問をお願いしたの。

ただ同好会として活動するには学校の規則であと一人必要で、同好会長【カイチ ヨウコ】と同じ中学だった【ユレ ユキチ】に幽霊会員でもいいからと頼んで、会員になってもらって同好会が設立できたというわけ』


簡易キャラクターシート(共通)

『登場人物は①〜⑤からの選択となります』
①【フクブ イチヨ】

高校二年生・女 手芸同好会の副会長。160cm 茶髪のショートカット 活発。両親と弟の四人家族。当時の服装:制服に同好会の赤いパーカー、指定のカバン。

《フクブからの一言》『私、人畜無害。リア充でもないし、誰かから恨まれるような覚えないのよ』
②【カイチ ヨウコ】

高校二年生・女  同好会の会長。158cm 黒髪のさらさらロング かわいい系。一見おっとり。両親の三人家族。【ユレ ユキチ】と同じ中学出身。当時の服装:制服に同好会の赤いパーカー、指定のカバン。

《フクブからの一言》『大人しめに見えてカイチちゃんは猪突猛進の行動力ある。他人の意見をきかない頑固なとこもあるけどね』
③【ユレ ユキチ】

高校二年生・男  同好会の幽霊会員。174cm 金髪のショート。お調子者でモテる。母親と姉の三人家族。県外高スポーツ推薦を蹴ってこの高校に来た。当時の服装:制服に同好会の赤いパーカー、指定外のスポーツバッグ

《フクブからの一言》『なんでユレくんみたいなガチガチの運動部系男子が幽霊会員とはいえ入ったのか、手芸同好会七不思議の一つ』
④【オカ ルイン】

高校二年生・女  同好会の会員。170cm ベリーロング黒髪、前髪パッツン。両親と祖父母と兄の六人家族。オカルトを愛し、いつも黒ずくめ。当時の服装:上下黒ジャージに黒いローブ、黒いエコバッグ。

《フクブからの一言》『オカルト好きはいいけど「【幽霊】さまの儀式にイケニエ必要」が口癖。オカちゃん、本気なのが怖いよ』
⑤【コモ コモゾウ】

高校教師・30歳男 同好会の顧問。169cm 茶髪のショートヘア。独身(バツイチ?との噂あり)カイチとフクブとオカの一年の時の担任で、現在はユレの担任。爽やかなイケメンと生徒に人気あり。当時の服装:紺地ストライプのスーツ。黒のブリーフケース

《フクブからの一言》『人気ある先生だとは思うけど、なんか私とは距離あるように思うんだ。まあ、先生、オカちゃんには別の意味で距離をおいてるけどさ』
⑥GM【幽霊?】

ロングの黒髪 

生徒たちと同じ制服を着ている美少女

《フクブからの一言》『誰なんだろ?でもどっかで見た覚えがあるような、ないような?』
事件までの経緯
【さて、ここからは私【フクブ イチヨ】視点で話していくね】

『手芸同好会の部屋は校舎別館の二階。そこは古くて授業では使われていない3階建ての建物だ。昔は特別クラスがあったそうだが今は文芸部などの部室か倉庫代わりの空き教室があるくらい。

(間取りは〈資料間取り図〉をご覧ください)

オカルト大好き少女【オカ】ちゃんが言うには、別館には美少女の【幽霊】がいるそうだ。学校側はタタリを恐れて、別館を取り壊されないんだって。そんなざれごと、これまで本気にしてなかったんだけど……

【オカ】ちゃんが手芸同好会に入会した理由は【幽霊】観察のため別館に入りたい!ってものだったし、なにか起きるとそっち方面へ曲解する傾向が強いので、【オカ】ちゃんの言葉は私はあまり信じていなかったんだ。

さて、この日私は午後7時まで別館二階の同好会室Bにいた。文化祭が近いので最近はだいたい午後7時までにいる。そのことは会員のみんなはもちろん、顧問の【コモ】先生も知ってる。今日はみんなを誘ったけど用事があると断られ、一人で同好会室でチクチクくまのぬいぐるみ作ってた。

19:00

文化祭に向けた作品作りの途中だったけど、時間が来たので帰ることにした。

18:00までは隣教室Cの文芸部の部長さんたちが遊びに来てておしゃべりながらの作業だったけど、彼女たちが先に帰るというので、私は別館の鍵を預かった。

その鍵で別館の玄関を施錠し、校舎本館へと急いだ。別館の出入口は一つで、最後に施錠する人は別館内一階から三階まで見回るルールなんだけど、残ってる生徒は私一人だったから見回る必要もないとやらなかった。

『君で最後だ。気をつけて帰るんだよ』

鍵を私に警備員室に行くと、警備員さんにそう言われた。今日はノー残業デーとやらで教職員もすでに帰宅してる、と警備員さんは話してくれた。

19:15

駅に着いてから、私はスマホを忘れたことに気がついた。

19:30

学校に戻ると、校舎は灯りが消えているはずが、遠く別館の三階から一瞬灯りのようなものが見えた。電気を消し忘れたかも?と考えたが、灯りが見えたのは三階だった。

手芸同好会B、文芸部室Cは二階。三階のEFJは空き教室で机や椅子ぐらいはおいてあるけど誰も使ってないはず。見間違いかな?と私は首をかしげた。

夜間、警備員さんは本館警備室にいるけど、見回りは本館のみだ。別館とはなっているが、今は利用しているの2部屋だけ。貴重品もないので、見回りの対象から外れているらしい。

それでも見つからないようにこっそりと別館へと向かった。

さて、鍵は返したのに、どうして私が直接別館へと行くのか。答えは明解。警備員さんに返した別館の鍵(マスターキー)、顧問の【コモ】先生の持ってる鍵の他に同好会全員それぞれ合鍵を持っているのだ。別館の鍵は毎日放課後、警備員さんから借りる規則なのだけど、めんどくさい、と【カイチ】部長がナイショで合鍵を人数分作ってくれた。今日は先に文芸部が来てたので、私は持っていた合鍵は使わなかっただけだ。

19:32

別館にたどりついた私は驚いた。玄関の鍵を開けようとしたけど、入口はすでに開いていたからだ。

『誰かいる?』

中に入り、大きな声を掛けてみたけど返事はない。すると、ガタッと西側から音がした。古い建物だからネズミがいてもおかしくないかも、と考えた私は急に背中に寒気が走った。着ていた赤いパーカーのフードを頭からすっぽりかぶった。

19:35

靴を履き替えて玄関からトイレの前の東階段から二階へ上がった。二階の東側にある同好会室Bにいくと散らかった机の上に私のスマホがあった。ホッとして掴んだらカメラのボタンを触ったらしく、フラッシュが光った。何か写ったかもしれないけど、画像はあとで削除しよう、早くここから立ち去ろう、と私は考え、同好会室を出た。

昇ってきた東階段から一階に降りようとしたとき…………

誰かに背中を押された。

後ろを確認する暇もなく。

足を滑らせて、踊り場に身体を叩きつけられた』

【私が覚えているのはここまで】

フクブ『みんなは別館といたというけど、この時間にどうしてここにいたのか理由を知りたい』

カイチ『私は午後7時半より少し前に忘れ物を取りに来たんです。合鍵で入口を開けて東階段から二階の同好会室Bに行きました。そうしたら玄関のドアが開く音がしたような気がしたので、とっさに東階段で3階に行き、東端の教室Eに入って隠れました』
ユレ『俺は放課後、フクブが来る前から二階の文芸部室Cにいたよ。文芸部のコたちには話したよ。フクブに差し入れのお菓子持ってきたんだ、って。フクブにはナイショにしよ、ってなったんだ。やっぱ暗くなったほうがムード出るから隠れてたら、って。待ってるうちに居眠りしちゃった』
オカ『わたくしは夕飯後、来てましたわ。なぜですってぇ?別館の【幽霊】さまにお会いするためですわ。当たり前ではございませんの。19:00過ぎより1階女子トイレでスタンバイしておりました。はあ?なぜトイレ?【幽霊】さまはトイレによくでるものではございませんの?』
コモ『今日ノー残業デーだったが、まだ仕事があった。そんな時は別館でこっそり仕事している。顧問で別館の鍵は持っているので度々使っていた。フクブが帰ったのを確認してから、東階段から三階に、一番西の教室Jで仕事していた』


幽霊?『次は個別のキャラクターシート及び目標をご覧の上、フクブ副会長から全員への質問コーナー→個別面談へとお進みください』