エンディング①犯人はカイチ ヨウコ

全員との話し合い、そして個人面談を経て、私【フクブ イチヨ】は犯人の目星をつけた。

フクブ『みなさんからの情報、証拠カード、話し合いをもとに私を階段から突き落とした犯人を導き出しました!』

幽霊?『納得の行く結論でしょうか?あなたが決めたのならわたしは何も言いません。さあ、あなたが犯人と思う人の名前をどうぞ』

『はい!』

私【フクブ イチヨ】は力いっぱいこたえた。

『犯人は【カイチ ヨウコ】です!』

ここから私はその理由を話した。

ここは【フクブ イチヨ】による【カイチ ヨウコ】を犯人と決めた考察を話すパートです。
【カイチ ヨウコ】犯人としたエンディング

『以上により犯人は【カイチ ヨウコ】です!』

私【フクブ イチヨ】は続けた。

『みんなの話を聞いた結果、私を突き落とせるのはあなただけだった』

落ち着き払った【カイチ ヨウコ】をまっすぐ私は見つめた。

『カイチちゃん。どうして、私を階段から突き落としたの?先生とのデート現場を私が撮ったと思ったから?』

『そうよ』

と【カイチ ヨウコ】は答えた。

『私と先生のことはヒミツなの』

【カイチ】ちゃんはうっとりとした表情で【コモ】先生を見た。

『だって生徒と先生。バレたら引き離されるから。みんなだまっててね?』

『カイチ、目を覚ませ』

【ユレ】くんは叫んだ。

『そいつはカイチだけじゃない。教え子に次々と手を出しているんだ!』

『違う!私だけは違う!』

大人しくて芯のある【カイチ】ちゃんとは思えない悲痛な叫び。

『ね?先生そうでしょ?』

【カイチ】ちゃんの目に映っているのは【コモ】先生一人だけだった。

『いや、そろそろ潮時だろう』

【コモ】先生は冷静に言った。

『恋に恋する年頃だ。君とはもう終わりにしようと思ってたんだ』

『いやよ!!!』

【カイチ】ちゃんはかばんから何かを取り出し、無言で【コモ】先生に向って駆け寄った。

暗転

その瞬間、私【フクブ イチヨ】は目を覚ました。

病院だった。

泣きながら私を見守る両親と弟の顔が目に入ってきた。

「良かった」

母親は涙を拭き、父親から私が目を覚ますまでのてん末を教えてもらった。


別館の階段から私を突き落としたのは【カイチ ヨウコ】だった。経緯は私の推理どおり。

そして【コモ】先生に裏切られた【カイチ ヨウコ】が【コモ】先生を刺して、姿を消したことを話してくれた。

そして刺されたものの軽症で済んだ【コモ コモゾウ】先生は、これまで生徒をたぶらかしていた事実が明るみになり、学校を辞めさせられた。

それは入院していた【ユレ】くんのお姉さんが目を覚まし、転落事故が【コモ】先生によるものだと告発したからだ。

3年前【ユレ】くんのお姉さんにも【コモ】先生は声をかけていた。だが聡明なお姉さんは誘いを断った。【コモ】先生が腹いせに【ユレ】くんのお姉さんを階段から突き落としたことも判明した。

この件については今なお捜査中、【コモ】先生は退職を余儀なくされた。

それから【カイチ ヨウコ】の行方は未だにわかっていないそうだ。

私は検査の結果が出るまでの2日だけ入院した。足首の捻挫だけで済んだのは奇跡だとのこと。

退院の日には【ユレ】くんと【オカ】ちゃんもお見舞いに来てくれた。

『フクブ、すぐに助けに行けなくてごめん』

【ユレ】くんに謝られた。

『わたくしも儀式に気を取られて、とっさにうごけなかったですわ』

【オカ】ちゃんはいつもの黒ずくめではなく、普通の服装だった。

どうしたの?ときくと、あの事件以来、別館に行くのが怖くなって、もう儀式とかそういうことから卒業したの、と話してくれた。

『あ、わたくし、先に行くね』

【オカ】ちゃんが私達にウインクして、突然病室を出ていった。

【ユレ】くんと二人きり。

『こんなときなんなんだけど』

【ユレ】くんが顔を赤らめながら私の目を見つめた。

『俺、フクブのことずっと気になってた。コモのことが頭にあって素直に言えなかったんだけど、フクブが階段から突き落とされた、ときいて、怖くなった。姉ちゃんみたいに人は突然消えることがあるんだって知ってるから』

『ユレくん』

『それでわかった。俺、フクブが好きだ』

ためらいがちに伸ばされた【ユレ】くんの手が私の手を包み込んだ。

『フクブが無事で良かった』

『お姉さん、無事に家に戻ったんだよね?』

照れ隠しに私が言うと、【ユレ】くんはスマホの画像を見せてくれた。

『姉さんが戻ってきて、父さんも帰ってきたんだ。この前みんなでご飯食べに行った』

写真を見て、【ユレ】くんこお姉さんが別館の【幽霊】にそっくりだったことは私は誰にも話してはいない。


すべては【夜】のやみのなか。

だけど【カイチ ヨウコ】はどうしたんだろう。

同好会がなくなり、私は別館に近づくことはなくなったけど、学校ではこんな噂が広がっている。

『夜になると赤いパーカーのフードをかぶった少女が誰かを探してるように別館の廊下をさまよっている』と。

それが真実かどうかわからないまま、私は【夜】から抜け出し、またいつもの騒がしい日常へと舞い戻ることができた。


おわり