見出し画像

あなたの時空、私の時空

人間をやっていたら、人間が嫌になって来て、来世は鳥になりたいとか貝になりたいと思ったりする。
だが、鳥には鳥の苦労があり、貝には貝の苦しみが待っている。

クマゼミの幼虫は土中で4〜5年過ごす。土を食べてる訳ではない。木の根から汁を吸って生きている。だから「土中生活者」と言えるだろう。彼に海の青さや空の広さを語っても話が通じない。

人間はここ何万年か「地上生活者」を続けてきた。これから万一核戦争でも起きたら一旦「地下生活者」になるかもしれない。
そしてもし万一運良く核戦争を回避できた暁(あかつき)には、晴れて「空中生活者」へと大進化できるのだろう。

人間を「世界内存在」と定義した人もいる。生存領域を地球に限定するから旧人類と揶揄されてしまう。地球を飛び出し地球外生命体(extraterrestrial)になっても何の不都合もない。

人は自分を人間とか人類と決めつけ、その「共同幻想」の中で安住したがる。

「核戦争皆んなで死ねば恐くない。」

本当は貴方の時空は、私の時空と同じではない。貴方が爆風で死んでも、すぐ隣りにいた私は鼻提灯でうたた寝しているかもしれない。気づきとは自分は個であると悟ることである。宇宙とは無限の個の集合体である。世界情勢が気になる貴方と、世界情勢に一切関心を向けない私は同じ時空に生きている様に見えて、実は全く別の時空の生き物なのである。だから来世も別の時空に住む。同じ時空に住むには同じ意識レベルである必要があるが、人は十人十色千差万別一人として同じ意識レベルなんて有り得ない。皆んな違って皆んないい。人間人類は未だその境地に達してないから何でも皆んな一緒に同一行動を取りたがる。

子ガモは自分が最初に見た生き物を自分のお母さんと認識する。所謂(いわゆる)「刷り込み(imprinting)」である。

実は人間の赤ちゃんにもimprintingが行なわれている。自分が最初に眼にした「世界や他人」を第一に考えて生きてしまい、自分自身の存在に気づき難い精神構造になってしまっている。だから、何時も「世界」や「他人」ばかり気にして一生が終わる。

悟りとは、世界や他人は存在せず、存在するのは自分の意識だけであると、はたと気づく事である。

逆に言うと、人間に悟らせない為に、先ず最初に「世界」や「他人」を見せるのである。貴方は自分が悟って仕舞わないように、終生「世界情勢が気になってしょうがない自分」で有り続けようと努める。「外しか見ない自分」の完成である。

「世界」や「他人」に目を向けなくなり、「自分自身」にのみ意識を向け始めたら悟る日も近い。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?