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自己意識の欠乏、欺瞞

「自己」に初めて、生まれて初めて向き合っている。
自分がいったい何をしたいのか。成し遂げる、は外的な要因を孕むので今は「欲求」にフォーカスを当てている。俺って本当はなにがしたいんだっけ?

僕の祖父は新地又一郎という。
幼少期に両親を亡くした反動か中学校では番長として活躍、その腕が買われたのか学校卒業後は海上保安庁に入庁。時代や、経済的背景も理由にあったろう。
高熱で苦しむ夜も、大嵐の日も、電話が鳴ればすぐに現場に急行し、身一つ海へ飛び込み人命救助にあたった。
人格者であり、ハンサムで三枚目な男。家族は自慢だった。
僕が生まれる前年、彼はガンで死んだ。葬儀には関係者が家の前の通りまでずらりと並んだそう。
家族のため転勤を拒否し最期まで「平社員」、その功績を称え戒名は「本航院又一郎」となった。
家族はまったくの偶然だというが、僕の名前「一航」との相関関係がみえる。さすがに戒名から命名する親はいないと思うが今ではあまり冗談では済まないな、とも思っている。

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