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今日の言葉:蜜蜂と遠雷(上)より


"今日の言葉"は、
その日気になった言葉を一つ、もしくは一節を切り抜いて
自由に解釈するコーナーです。

5月22日(金)
蜜蜂と遠雷(上)恩田陸、P.399より

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【原文】

素晴らしい曲、何度聞いても飽きることのない名曲。それは確かに素晴らしいけれども、時にはそれは窮屈だった。もちろん、譜面に収められているからこそ、その中での自由というものもあるのだろうし、無限の解釈もあるのだろうけれども。

そうだな、今の世の中は、少し窮屈だな。


【感じたこと】

音楽は演奏する人によって、全く違ったものになる。例えば、技量の等しい2人の演奏者がいるとする。2人が同じ曲を演奏した時、演奏者が持つ曲に対する解釈の違いが、同じ曲を全く違った印象のものに変えてしまう。

それを聞いた聴衆は、2人の演奏から音楽の自由さを感じるかもしれない。

しかし、それは本当に自由な音楽と言えるのだろうか。

自由な音楽。

それは、譜面の上にあるものではなく、自然の中にあるものではないか。譜面から生まれるものではなく、自らの心から生まれるものではないか。

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「今の世の中は、少し窮屈だな。」から連想したのは、現代の大人たち。

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大人になるにつれて、社会に求められているものは何かを考えるようになった。社会に求められるものを作ることに価値がある。生み出す価値が高いものほど良い。価値を多く生み出す者が、多くのものを得る。

子供の頃にはなかった考えが、いつの間にか脳に染み込んでいる。社会から求められる価値を否定するつもりはない。でも、価値はそれだけじゃないということを言いたい。

譜面通りに演奏ができること。これを否定するつもりはない。でも、譜面の外にも素晴らしい音楽はあるはずだ。

譜面の中からしか感じることのできなくなった聴衆。譜面の通りにしか演奏できなくなった音楽家。僕たちは、譜面がなければ音楽ができない、そんな大人になってやいないか。

自分の心の中で湧き上がる衝動に従えば、染み込んだ価値の外に一歩近づけないだろうか。


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文字で表現された音楽がこんなにも壮大に鮮明に聞こえる体験はとても素晴らしかったです。音楽を知らない人(僕もです)でも楽しめる一冊です。ぜひ読んでみてください。


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