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クソデッキエクスプローラー(vol.1) ~浪漫砲トカゲ

クソデッキ作りてぇな。

 いきなり何言ってだコイツと思われたかもしれませんが、これは発作のようなものです。私はここ数年、ライフワークのようにMTGのゲーム(Magic Online、Magic Duelsを経てMagic Arena)を楽しんでいるのですが、いわゆるゴリゴリのジョニー(オリジナルデッキ創造に楽しみを置くタイプ)なので、時たま冒頭のような衝動にかられます。

 また、最近はNoteでMTGの記事を読むのが趣味なのですが、私がこのところ主戦場にしているエクスプローラーの記事は割合そんなに多くなく、常に新鮮な記事に飢えています。そこで、ならばいっそ自分で書くかと思い立ち、衝動のままにデッキを作り、衝動のままに書くことにしました。

(1年近く放置しているFactorioの記事を先に終わらせろよと言われてしまいそうですが、衝動なので仕方がないのです。。そっちもきっと近々書きます。なぜならGWの時間は無限だから。)

0. 序章:だらクソに思いを馳せて

 オリジナルクソデッキの記事を書こうと思ったときに、まず頭によぎったのはまつがん氏(※)がかつて連載していた名作コラム「だらだらクソデッキ」でした。私はこのシリーズが本当に好きだったので、この記事でも「だらクソ」のスキームを踏襲して、自らの理論と妄想に基づいてデッキ構築を行う→実践の場で理論を証明する、という流れを取りたいと思います。

(※)MTG歴が浅い方でなければおおよそご存じだと思われますが、デッキビルダーやコラムニストとして数々の名作を生み出された方です。「だらクソ」以外で私が特に好きなのは「あのクソ」シリーズで、もはやMTGの教訓とか以前にシンプルに文章が面白過ぎて、いまだにたまに読み返しています。


1. クソデッキ創造編:まずはいつものルーチンから

 というわけでデッキ創造編です。今回は、せっかく先日新セット「機械兵団の進軍」が実装されたので、その中の新カードをメインに据えたいと思います。ただ、新カードと言っても数百種類あり、それらを一つ一つ検討していてはキリがありません。そんなときは、「新セットが出たらまずはこれをチェックしようリスト」を使います。そう、ジョニーで無い方にはピンと来ないかもしれませんが、ジョニーたるものは大抵自分の中に「新セットが出たらまずはこれをチェックしようリスト」があり、それに引っかかるカードが無いかを日夜血眼で探しているのです(ソースは自分)。
 これは実物を見てもらった方が早いでしょう。私のリストの一部です。

1. 巨大な数字上でみたマナコストを持ち、かつコスト軽減手段を持ったクリーチャーまたはエンチャント
2. フリースペル、または簡単な条件でフリースペルとなる呪文
3. +1カウンターをクッソ乗せる手段

新セットが出たらまずはこれをチェックしようリスト(例)
  1.  巨大な数字上でみたマナコストマナコストを持ち、かつコスト軽減手段を持ったクリーチャーまたはエンチャント
     これは新生化や奇怪な具現を使って悪いことが出来ないかという項目です。少し前に、力戦の束縛から7マナクリーチャーを高速で踏み倒す「エニグマ」系のデッキという実用デッキが生まれたこともあるため、期待値の高いカテゴリです。ただ、今セットでは6マナ以上で該当するものがほとんどないですね。

  2.  フリースペル、または簡単な条件でフリースペルとなる呪文
     個人的に好きな、チェーン系コンボのネタになるものです。呪文を連鎖させまくることでライブラリを空にしたり、ダメージやなんらかの誘発を起こしまくるといった類のもので、対戦相手のイライラに反比例して使っている方はとても楽しいデッキです。ただ、これも本セットでは見たところ無さそうです。

  3.  +1カウンターをクッソ乗せる手段
     +1カウンターをクッソ乗せてどうするの?もちろん、シミックの隆盛で勝つためです。

+1カウンターがトータル20個乗れば勝利

  今セットで+1カウンターと言えば培養ですが、一番効率よく乗せられそうな太祖の総督でも2マナにつき3個なので、20個乗せようとするとX=7で15マナ必要になり、エムラが出ます。ならば増殖と組み合わせるか…などと考えていましたが、そういえば居ました、クッソ+1カウンターを乗せるヤツが。というかこれ書いているときにリミテやってたらそいつに轢き殺されました。こいつです。

リミテのクソボムトカゲ

 こいつの召集クリーチャー数×2個カウンターが乗る能力を使ってカウンターを稼ぎつつ、仮にトカゲが対処されてもシミックの隆盛には大量のカウンターが残るのであとはちょこちょこカウンターを稼いで勝てないか、というデッキ。ささっとこんな感じでしょうか。

浪漫砲トカゲ ver0.1

2 エルフの神秘家 (M14) 169
4 ラノワールのエルフ (DAR) 168
4 葉冠の幻想家 (DMU) 167
4 ドゥイネンの精鋭 (JMP) 389
4 エルフの再生者 (M19) 180
3 ラノワールの幻想家 (M21) 193
2 激情の共感者 (M21) 181
3 研究体 (STX) 168
2 古の放漫トカゲ (MOM) 174

3 オゾリス (IKO) 237
2 シミックの隆盛 (RNA) 207
3 エシカの戦車 (KHM) 169

3 森 (SIR) 291
3 島 (SIR) 282
4 繁殖池 (RNA) 246
3 内陸の湾港 (DAR) 240
4 樹皮路の小道 (KHM) 251
3 ヤヴィマヤの沿岸 (DMU) 261
1 耐え抜くもの、母聖樹 (NEO) 266
3 寓話の小道 (ELD) 244

サイドボード
3 変容するケラトプス (M20) 194
2 探索する獣 (ELD) 171
2 芸術的な拒絶 (MOM) 46
3 形成師の聖域 (XLN) 206
3 尾の強打 (DMU) 182
2 漁る軟泥 (M21) 204

>3 研究体 (STX)

大体40/40位になるイカれたファッティ


なんか主役よりキャラの濃いヤツがいるな?

仕方がないのです。こいつは、あまりにもシミックの隆盛と相性抜群というか、こいつが出た返しにこいつとシミックの隆盛の両方に対処しないと大抵相手は死ぬ。という組み合わせになっています。理想的な流れとしては、

 1T:ラノエル
 →2T:幻想家や再生者でさらなる加速
 →3T:激情の共感者でトカゲか、シミックの隆盛が手元にあれば研究体をサーチし、隆盛も出す
 →4T:研究体で48/48のフラクタル・クリーチャーを生成しつつ、シミックの隆盛でダブルリーチをかける or
    トカゲを3体で召集し、12/12トランプル護法2で相手に絶望を与える

こんな感じでしょうか。こんなただただまっすぐいってぶっ飛ばすデッキが果たして通用するのか、早速テストしてみましょう。

2. クソデッキ調整編:予想内の結果

 エクスプローラーのランク戦にGo。とりあえずメインの様子を見たいのでBO1で。

1戦目 青黒ローグ:除去も打ち消しもあり厳しそうな相手。新セットからは、相性が良さそうなフェアリーの黒幕(通称あんちゃん)が入っていました。
⇒ シミックの隆盛を設置し、翌ターンに研究体をぶっぱするもカウンターでコンボならず。数ターン後に再びトップした研究体もカウンターされ、上から殴られて敗北。

2戦目 緑単信心:根強い人気を誇る、パイオニア/エクスプローラーの元祖筋肉デッキ。
⇒ 3T目にシミックの隆盛、4T目に4体召集しての14/14トカゲが出るが、相手の場にもタフガイ達(4/4、5/5のやつら)が並び互いに殴れない状況に。   
 放っておくと緑単信心特有の爆アド祭りが始まりそうなところで、トカゲが駆け付けシミックの隆盛のカウンターが20を超過。帰ってくれば勝ちという状況で、相手は無慈悲にも母聖樹魂力でシミックの隆盛を破壊。
 その後、無事爆アド祭りが開催され敗北。

 流石にシミック連合のやつら(シミックの隆盛、研究体)はノイズ。
 
やはり実環境は厳しい。その後も数戦やってみましたが、ただでさえ想像以上に除去が多く減速させられるのが常なのに、シミックの隆盛設置でワンクッション置いている暇はありませんでした。組み合わせ自体は好きなので、こいつらを活かすのはまた別の機会とします。

 さて、そうなると出来るアプローチは、いっそ速さに全振りでしょうか。トカゲ自体のポテンシャルはそれなりに感じられ、後1ターン走るのが早ければ勝てていた、というシーンは多々ありました。
 基本の勝ち筋をトカゲにフォーカスしつつ、トカゲの護法2を最大限活かし、相手の対処札が間に合わない速度で叩きつける。そう、つまり、4T目に20/20トランプル護法2を速攻で走らせばよいのです。

浪漫砲トカゲ ver1.0

4 ラノワールのエルフ (DAR) 168
4 エルフの神秘家 (M14) 169
4 エルフの戦練者 (KHM) 167
4 ドゥイネンの精鋭 (JMP) 389
4 ラノワールの幻想家 (M21) 193
4 エルフの再生者 (M19) 180
4 激情の共感者 (M21) 181
3 無謀な嵐探し (MID) 157
4 古の放漫トカゲ (MOM) 174

2 苦々しい再会 (BRO) 127

4 森 (SIR) 291
2 根縛りの岩山 (XLN) 256
4 踏み鳴らされる地 (RNA) 259
4 カープルーザンの森 (DMU) 250
4 岩山被りの小道 (ZNR) 261
1 耐え抜くもの、母聖樹 (NEO) 266
2 寓話の小道 (ELD) 244
2 変わり谷 (M14) 228

サイドボード
2 変容するケラトプス (M20) 194
2 探索する獣 (ELD) 171
3 漁る軟泥 (M21) 204
2 ガラクの先触れ (M21) 185
2 野獣の擁護者、ビビアン (WAR) 180
2 殺戮の暴君 (XLN) 179
2 反逆の先導者、チャンドラ (KLR) 117
速さを求めるなら、赤は必然

やっぱグルールだよなぁ!
 脳死で鏡割りの寓話×4を入れそうになるのを、速さを損ねるとして泣く泣く落とし、とにかく素早くクリーチャーを並べることだけに注力。
脳筋度はver0.1より酷くなっている気がしないでもないですが、きっと圧倒的なパワーで小手先のデッキを蹴散らしてくれることでしょう。
サイドがクッソ適当ですが、やってみないことには分からん!ということで検証です。

3. クソデッキ検証編:エクスプローラーとかいう魔鏡

というわけで、エクスプローラー・マッチイベントにて検証開始。

■1戦目:青白コン
みたところスタンダードな青白コンでした。

R1 : 序盤相手がタップイン処理をしている間にエルフたちが並んだので、そのままビート(トカゲの出番なし)。
R2 : エルフを陽動に全除去を使わせつつ、サイドで投入した殺戮の暴君が暴力して勝ち。

2-0

■2戦目:赤青スペル
ヤンパイで増やしたトークンを使って、精神の交差(召集付き2ドロー)をフリースペルチックに使ってリソースを枯らさないデッキの模様。みんな色んなこと思いつくなぁ。。

R1 : 1マナ除去が死ぬほど飛んできてエルフの森が焼く尽くされて負け(6体くらい焼かれた)。

R2 : 着地すれば18/18のトカゲが速攻で走るという場面で狙いすましたカウンターを撃たれ窮地に。
 5/7まで育った帳簿裂きにあと1回殴られたら負けという場面で相手が思わぬ隙(タップアウト)を見せたので、すかさず共感者からトカゲをサーチして7体で召集し、苦々しい再会で速攻を付けてアタック。エレメンタル6体にブロックされるも20/20トランプルで全て蹴散らして勝ち。

R3 : 4T目に帳簿裂きを謀議させたい誘惑に負けた相手がほぼフルタップで返してきたので、返しで最強生物(20/20トカゲ)を着地させる。速攻こそ付けられなかったものの対抗手段が無かったようでお相手が投了。

2-1

■3戦目:ラクドスミッドレンジ
ご存じ、環境に君臨する強デッキの一角。トカゲ一本鎗デッキでどこまでやれるか。

R1 : プッシュや砕骨の巨人の踏みつけ、更にはリリアナの-2連打で執拗に1/1エルフトークンさえ死滅させようとする姿に、「まさか横に並べてトカゲでワンショットするデッキだとバレている…!?」という妄想まで抱くも、その内14/14トカゲが着地して2回殴って勝利。

ラクドスの執拗な妨害に耐えたエルフが倍返しするの図

R2 : マナクリが引けずもっさりしている間にタイムリミット(キキジキのアクティブ化)を迎えて敗北。基本的に除去とかしないのでキキジキは鬼門。

R3 : シェオルドレッド、スカイソブリンと出されて、こちらの頼みの綱は14/14のトカゲ君のみ。リーサルと判断した相手が踏み込んできたタイミングに、母聖樹魂力でスカイソブリンを砕き、返しのトカゲパンチ勝利。

2-1

■4戦目:5Cアリニメイト
一見して謎のデッキ。オリジナルなのか、どこかで研究されているのか気になるところ。

R1 : 宝物生成+ルーティングを行うバトルが出てきて、何のデッキ?と思っていたら、ルーティングで捨てたアトラクサが4T目に降臨。
 こちらも負けじと返しに18/18速攻トカゲで相打ちを強要するも、魂絆のせいで削り切れず。相手がアトラクサから引っ張ってきたリアニ呪文で再度
アトラクサを出したのに対し、こちらは後続が出せず敗北。

1体だけなら凌げるけども、毎ターン復活するんだもの

R2 : キキジキがアクティブになり毎ターン産業のタイタンのコピーが生成される事態になるも、7/7タイタンやお供の4/4トークン程度のクソザコスペックでトカゲ君(20/20トランプル)が止まるわけもなく、気にせず殴り続けて勝利。

R3 : 土地2ラノエルキープの後、ラノエルをプッシュされた挙句無限に土地が引けず負け。

1-2

■5戦目:白単人間
人間シナジーで縦にも横にも太いデッキ。同じ横並びデッキ同士の対決、最終戦に相応しい。

R1 : 序盤から1マナクリーチャーを連打されテンポよく攻められるも、負けじと展開し相打ちを取っていく。
 トークンがタダで出ている分こっちが得しているので、生き残ったトークンで落ち着いた頃にトカゲを投下して勝ち。

R2 : マナクリに軽量除去を、トカゲに邪悪を打ち砕く(タフ4以上除去)を上手く当てられ、戦線が崩れたところを攻め込まれて負け。

R3 : エーデリンからサリアの副官2連打されてとんでもない盤面に。返しにマッスルトカゲを投下するも、もはや数がモノを言う戦場では大勢を変えるに至らず押し切られて負け。

1-2

4. まとめ

クソデッキ、かろうじて勝ち越す。
とはいえ、4戦目の3Rはまぁまぁ事故だったし、5戦目の2R目は色々ケアが足りずミスと言える内容だったので、思ったより遥かに感触は良かったです。
 個人的にすごく好きなポイントとしては、通常、フィニッシャーをサーチしてもマナが足りず、展開は翌ターンになることが多いのですが、トカゲは土地からのマナをほぼ使わない(そうするのが一番強い)ため、激情の共感者でトカゲをサーチしてから展開するまで(あわよくば速攻で殴り始めるまで)、ターンをまたぐ必要の無いことが多く、非常に奇襲性の高い動きが出来る点です。
 デッキ自体は極めて粗削り、かつサイドも相当適当なので、ちゃんと調整すればもっといいデッキに出来るかも、とは思っています。その辺りは調整の上手い方にお任せするとして、今回はこのくらいにしておこうと思います。

また新セットが出た頃に、できれば第二回をしたいと思います。
それでは、エクスプローラーのさらなる盛り上がりを祈りつつ、また次回!

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