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Belstaffのモーターサイクルジャケットとベスパ

一気に暖かくなった4月、季節的には「遅きに失した感」丸出しの話題。

昨年夏にベスパが納車されてから、10年ぶりにバイク乗ることになった。
歳もとったワケだし、どうせならウェアだけでもお洒落なイケオジになろう!なんて妄想も甚だしく、この際にバイク用ウェアも新調してしまえと思って昨年に秋冬用のウェアを探してみた。

ウィンターシーズン、ベスパに合わせたいジャケット選びのテーマは

  • 非・革ジャン

  • 防風防水素材

  • 必要最低限のプロテクション

  • トラディショナル&渋め

  • 暖かい

バイク乗りであれば「バイク=革ジャン」のイメージがあるけれど、スクーターに革ジャンはハードテイスト過ぎると思っていること、安易に他人様と被りたくないという天邪鬼なボクの性格もあり、クシタニやカドヤなどの有名メーカーは購入前提から外す。

また自転車のロードバイクにも時々乗っているボクとしては、若い頃に比べて運動能力の衰えを肌で感じていることもあって万一の転倒や事故の際に備えて必要最低限のプロテクションは重視したいという条件もつけてネットでいろいろ探してみた。

Barbour International

テーマのひとつに「Barbour International(バブアー インターナショナル)」がマッチ。
Barbourといえば、コットン生地にワックスを染み込ませて防水機能を付加した「ワックスドコットン」を推す英国のブランドとして有名である。

Barbour International / ISETAN MEN'S net

なるほど、そういえば往年の俳優スティーブ・マックイーンが自身の出走するオフロードバイクレースで着用していたモデルがベースになったという「Barbour International」のブランドストーリーは、バイク乗りのハシクレをうたう僕でも昔から知っていた。

Barbour Internationalなら、ネオクラなベスパにも合いそうなトラディショナルな形状のジャケットだし、かつオヤジ世代だからこそシブめに見えるかもだし、防水性と防風機能もそれなりにありそうで良さげと思って、一旦は決まりかけた。

しかしInternationalは、現在ではカタログになく(2024年始めに伊勢丹にて数量限定でリバイバル販売された)、海外EC系かフリマなどの古着を購入するしかなかったことと、後述する類似モデルの機能性に魅力を感じて候補から外れた。

Belstaff Trialmaster

一方で、知名度としては日本ではマイナーかもしれないが、Barbourと同じくワックスドコットンの歴史があるBelstaff(ベルスタッフ)というブランドがある。

www.belstaff.com

Belstaffは、英国ではBarbour同様にワックスドコットンにおけるビッグネームとのことだが、今のところBarbourのような直営店は日本国内にはないようだ。(取扱店はある)
そのBelstaffには「Trialmaster(トライアルマスター)」という、Barbour Internationalに酷似したモーターサイクルジャケットがあることを知る。

TRIALMASTER MOTORCYCLE JACKET /belstaff.com

僕が購読している英国バイク用品ショップのメルマガによれば、この形状をしたワックスドコットンジャケットは1940年代後半に英国で登場したBarbour Internationalが代名詞たるパイオニアであり、当時ではその評判が広まるとともに英国内の様々な服装メーカーやブランドがBarbourのデザインを真似て販売されていたそうだ。

Belstaff Trialmasterもその中のひとつであることは間違いないが、Barbourがモーターサイクル市場に留まらず釣りや狩猟コート、乗馬用コートなど他分野へ展開を広げていく一方で、Belstaffは当時の多くのライダーにTrialmasterが支持されて同ブランドのアイコニック的な存在となっていったそうである。

2つのTrialmaster

Trialmasterには、定番の「Trialmaster」と「Trialmaster Pro(2023年当時。2024年にモデルチェンジしてPro ではなくMotorcycle Jacket という名称になった)」がある。
どちらもワックスドコットンで、一見してデザインはどちらも同じに見えるけれど、よくよく見るとディテールが異なっている。

その違いを端的にいえば「以前からの定番かつ王道」か「バイク用に安全性を飛躍させた新世代」か、という感じ。

左:TRIALMASTER JACKET 右:TRIALMASTER MOTORCYCLE JACKET(旧Pro) /belstaff.com

通常のTrialmasterが6オンス前後の比較的軽量なワックスドコットンが使われているのに対して、Trialmaster Proは10オンスという厚手のワックスドコットンを採用していて(2024モデルは8オンスとなり軽量化された)耐衝撃や耐摩耗性がありそうだ。

Trialmaster Proはまた、肩と肘にCE認証レベル1のD3Oプロテクションを標準装備、背中にもD3Oバックプロテクター(背中は別売)を挿入するためのバックポケットがついている。

このD3Oプロテクションは、前出のBarbour International や通常のTrialmasterには設定されていない(肩と肘などを二重にするなどの補強はある)。

他にもTrialmaster Proは腰ベルトのバックルにカバーがついていたり、真鍮製フロントボタンの最下部二つはラバーコーティングされているなど、バイク乗車時にタンクを傷つけないよう工夫されている。

ワックスドコットンは防水性が高いことが歴史的にも証明されているけれど、Trialmaster Proはさらに、メンブレン(防水膜)をサンドすることで防水防風性を一層高めていること、そしてファスナーで脱着可能なキルティングのインナーベストが標準で付いていることなど、通常のTrialmasterよりもモーターサイクルウェアとしての機能性と付加価値を高めているのだった。

僕が求めていたのはこれだ!!

ワックス込みとはいえコットンのくせに、レザー製並みの価格に躊躇したけれど、シッカリしたものだし、メンテナンスしつつ経年変化の楽しみも含めて長く使えるならと、最終的にTrialmaster Proに決めて購入した。

届いて着てみると、、、

予想以上にズッシリと重たい!!!

普通のTrialmasterも着たことがあって、ある程度予想はしていたけれど、全然重たい!
革ジャケットと同じか、もしかするとそれ以上に重たいかも!?

結構重たい

さすがにワックスを染み込ませた10オンスの厚手コットンに、肩肘プロテクターとインナーのキルティングベストも付いているのだから軽いワケがなく、なんだか「よっこいしょ」と着るような感じ。

買って失敗したか!?
バイクに乗る同級生の友人にそのことを自虐的に言うと

「それなら革ジャンで良くない?」とか

「なんなら、もっと軽いGORE-TEXとか、ケブラー素材混綿のテキスタイルジャケットなんか、いくらでもあるよ⁉︎」とツッコまれてしまう。

いやいや、良いのだ。

もちろん最新素材のテキスタイルジャケットも探したし他にも候補はいくつかあったものの、如何にもライダーズウェア!みたいなデザインだったり、形は良くても配色パターンとか先鋭的な切り返しのラインが好きになれなかったのだ。

誰とも被らないという〝ニッチ〟さが良いのだ(ネオクラ系バイクのライダーに愛好者が増えているというウワサがあるが)。

Trialmasterを着てベスパに乗ってみる

昨年冬の話だけれど、Trialmaster Proを着用してベスパで箱根・小田原方面へプチツーリングしてみた。

だいたいこの組み合わせ

高速道路を80km/h〜100km/hで走行しても風をシッカリとシャットアウトしてくれるし、着丈が長いから腰下も冷えないうえに腰ベルトを締めると腰下から巻き込んでくる風も流入してこないので、冬でも総じて寒くはない。

スタンドカラーとなっている首襟の裏側にはコーデュロイ素材があてがわれているため、襟をベルトでシッカリ閉めると首周りの肌触りも良くて地味に温かい。

まだ雨には一度も打たれてないけれど、走行中を雨に祟られても短時間ならこれで持つだろう。

ただし、風はシャットアウトできても、真冬の寒い中を長時間走っているとジャケットの生地自体が冷えて裏地に冷気が伝わるため、標準の薄いキルティングのインナーベストではだんだんと寒くなってくる。
そもそもインナーベストは薄っぺらいし、羽毛のダウンではないから、ベスト自体がさほど暖かくない。

インナーベストはファスナー脱着式だから、あえて外してしまいモンベルザ・ノースフェイスなど保温性が高いミドルレイヤー用ダウンに代えてやると(もちろん他メーカーのダウンはファスナー脱着の互換性がないので普通に重ね着)真冬の高速道路や長距離でも全く寒さを感じず快適そのもの。

デメリットとしては、ジャケットが革ジャン並みに重たいから多少肩は凝るということと、コットンとはいえ洗濯機・ドライクリーニング・洗濯用洗剤NGなので、数年後着たら手洗い+ワックス塗布(リプルーフ)のメンテナンスが必要なことかな。
でも革ジャケットだって定期的にクリーム塗布したりブラッシングなどのメンテナンスは必要だから、どちらも愛用するための手間は変わらないと思っている。

ちなみに、コケた時はどう??という問いには、コケたことがないから答えられないけれど、厚手で頑丈そうだし革ジャンのような〝守られ感〟は絶大。

とはいえ、このワックスドコットンは風を通さないしベンチレーションもないから、これからやってくる真夏は地獄どころか暑くて着れないと思う。

したがって、このTrialmaster Proの快適シーズンは首都圏なら11月下旬〜5月といったところか。その中で12月〜3月はインナーにダウンが必要で、それ以外はインナーを外してアウターだけでも十分だと思われる。

白いベスパに合わせて、黒いジャケットのモノトーンでコーディネートしてみたけれど、まだまだ板についてない。

目指せ!イケオジ!!(ムリ)



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