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ある意味時代を写した世紀の珍戦 〜98.1.4 橋本真也vsデニスレーン〜

現代だけでなく過去のたぎる試合を紹介する連載です。
今回は、名勝負というより、時代をある意味写した珍戦をご紹介します。

98年という時代

まずは、この時代性に注目する必要があります。僕は当時まだ小学生でしたが、クラスの男子はプロレスごっこに夢中でした。

まさに、闘魂三銃士や全日本は四天王の最盛期でプロレスはかなり並みに乗っていた時代だからです。

しかし、一方で不安な波も押し寄せてました。それは総合格闘技ブームの幕開けです。

98年の小学生たちはプロレスごっこもしますが、「かかとおとし」「マウントパンチ」などK1やPRIDEのモノマネをすでに始めていた時代でした。

つまり、当時は気付きづらいですが、今振り返ると98年はまさにプロレスが下降線をたどり始める最初の時期とかさなるのです。

時代を反映させた空手vsプロレスの異種格闘技戦

そんな98年の新日本プロレス最大の東京ドーム興行で組まれた試合が、当時のトップレスラーである橋本真也と、デニスハリケーンレーンという、キック、ボクシング、空手系のファイターの異種格闘技戦でした。

当時空手はK1で時代の頂点と言っていい頃であり、アンディー・フグやピーターアーツといったスター選手がお茶の間を賑わせていました。

プロレスはアントニオ猪木の時代から異種格闘技戦を行い、プロレスが最強であることを示して来た歴史がありますが、この試合もその伝統を引き継ぎ、当時勢いのあった空手にプロレスがぶつかっていくというものでした。

試合は想像以上の珍戦に…

空手とプロレスの対決、橋本真也の異種格闘技戦というのは充分なコンテンツパワーです。

しかし、対戦相手のデニスハリケーンレーンはあまり知られていない選手です。空手のチャンピオンで、K1も出ていると紹介でしたが、K1のトップ選手では当然ながらありませんでした。

そのため、プロレスファンは事前から橋本真也が良いように料理をして勝つ試合だろうなと思っていました。とはいえ、どういう打撃、特に蹴り合いになるのかは期待していました。

結果は、そこそこの蹴り合いになる前に、橋本真也がグランドを狙って覆い被さったところ、橋本真也の体重で、レニーの膝が逝かれてしまい、TKOに近い状態に。2分もあるかないかくらいの試合でした…
おそらくレニー選手は重たい選手に乗られた経験がなかったのかもしれません…(解説も言っていますが…

ファンの期待を少しずつ裏切り低迷へ

この試合はまさに異種格闘技戦の経緯だけでなく、期待を遥かに下回る試合を行なってしまいその後の長期低迷を導いていく試合の良い例とも言え、色々な意味で98年という時代を象徴する1試合かもしれません。

プロレスは様々な試合を乗り越えて、ファンの期待を裏切るとどうなるかということも痛いほど学んだ歴史から、今年のG1のような最高な試合を行う今の新日本プロレスがあるんだなとも思いました。

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