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自分の身につかない音

団地の一階に僕の実家はあります。南に面したところに共用の庭があって、一階に住んでいる人は、自分の家の前であれば、花を植えたりと園芸を楽しんでいいことになっています。小さい頃は、そんな庭仕事に関心があるわけもなく、父が庭で作業をしていることに関心をはらっていませんでした。

週末家にいると、「パチン、パチン」と庭に響く音。ああ、また父が庭にいるんだな…と。なにをしているのか知りませんが、なんか花とか切ってるんだろう、ぐらいの理解で、聴くともなく過ごしていました。

あんなに無関心だった庭仕事も、今では自分もするように。小さい庭に植えたミモザは意外とたくましく、今年も花をつけたので、室内用に少し切らさせてもらいます。でも、未だに自分の手元から聞こえてくる「パチン、パチン」は、自分の音になっていなくて、父の音のままな感じがします。

※ヘッドホンで聴くことをおすすめします。

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