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「仕方がない」は変えられるかもしれないー大雪の中でもオンライン授業は快適だった話し。

私たちが運営する外国にルーツを持つ子どものための専門的日本語教育事業YSCグローバル・スクールでは、2016年よりICTを活用して、遠方に暮らす子どもたちにも専門家による日本語教育機会を届けるプロジェクト(NICO|にほんご×こどもプロジェクト:ニコプロジェクト)を運営しています。

全国10,000人の「無支援状態」の子どもたちを助けたい

日本の公立学校に在籍している日本語指導が必要な子どもは40,000人以上いるのですが、その内の10,000人は学校で何の支援も受けられていません。

たとえば外国人が多い自治体に転入してきた子どもであれば、学校の中に国際学級があったり、自治体が日本語指導者を派遣したりなどの支援体制が整っている場合が多いのですが、もともと外国人が少ない、小さな自治体などにポッと転入するような場合には学校も自治体もサポートのための仕組みや人材や予算を持っていないことが少なくありません。

学校で支援が受けられなくても、地域にNPO等の支援団体があればよいのですが、それすらもない場合は学校に通ってはいるけれど、机に座っているだけの「お客さん状態」になってしまったり、そもそも自治体窓口や学校から「日本語ができるようになってからきてください」と言われてしまったり・・・。学びへのアクセスすら断たれてしまうようなことも実際に起きています。

こうした課題を解決したい。学校が支援を用意できない場合でも、(突然)やってきた日本語がわからない子どもが学べる仕組みを作りたい。

そう願って、数年前から試行錯誤を繰り返して開発したこのプロジェクト。2016年より試験運用を始め、クラウドファンディングで資金を募り(感謝!)、その資金をもとに2017年11月に専用のホームページを開設しました。

悪天候に左右されない学習環境

都内にも大雪が降った昨日(1月22日)は、オンラインではじめて日本語を学ぶ子どもを対象としたクラスの開講日でもありました。雪がずんずんと降り積もって行く中で、リアルでスクールに通いながら学ぶ生徒たちの保護者からは休みの連絡が相次ぎましたが、(当然ながら)オンラインで学ぶ子どもたちには影響はなく、無事に1回目の授業を終えることができました。

もともと私たちのスクールには都内市部全域+他県から通所する生徒がいることもあり、いずれは教師や普段通いで学ぶ子どもたちも、悪天候の際はリモートで自宅から授業ができるような体制を整えておけば、通勤・通学のリスクや休校による振替の心配をしなくても良くなるので、早いうちに体制を整えようと思っています。

「仕方がない」は変えられるかもしれない

以前、東北のとある外国人住民が少ない地域を訪問したとき、そこで日本語のボランティア教室を運営する方から「豪雪地帯は雪が降るとボランティア活動がお休みになる」と聞いたことがあります。

もし雪が長い間降り続けばその間は、日本語を学ぶことができないまま子どもたちの日々が過ぎて行ってしまいます。せっかく支援のリソースがあっても、物理的なアクセスが断たれてしまえば(あるいはもともと交通機関が利用できない状況であれば)学ぶことができない、というのも地方にやってきた外国ルーツの子どもが直面する課題の一つです。

こうした状況を「仕方がない」ものとして諦めなくてもよくなる、というのはテクノロジーが進歩した現代ならではの可能性であって、試さない手はないと、大雪の日に改めて実感しました。

「使えるものはなんでも使って子どもたちのために最善を尽くす」

きっと、全国各地の支援者の方々はそんな風に日々の活動に尽力なさっておられると思います。その「なんでも」の中にICTが加わると、課題解決の選択肢はぐっと広がっていきます。(もちろん、テクノロジーだけでは解決できない課題も多々あるのですが・・・)

敷居の高さ、を感じる方々はぜひ私たちのプロジェクトの授業を見学してみてください。「ああ、こんなに簡単なことなのか」と思っていただけると思います。

(オンラインの公開授業を不定期で開催しています。ご案内はホームページやFacebookなどに掲載していますので、ぜひチェックしていただけたら)

お読みくださり、ありがとうございます!みなさまからいただいた応援は、私たちがサポートする困窮・ひとり親世帯の海外ルーツの子ども・若者が、無償で専門家による日本語教育・学習支援を受けるための奨学金として大切に使わせていただきます!