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「日本に来たから」というだけの理由で、子どもたちの未来の可能性がしぼんでゆくようなことは、終わりにしたいから

今日も、参議院文教科学委員会は開かれない模様。そう。衆議院を通過した日本語教育推進法案の審議が、↓の記事の通り、まだ行われていません。

日本語教育推進法案ってなに?という方はこちらを。


子どもたちの時間はどんどん流れてゆく。その間に私たちの「無責任」によって失われるものはその子どものその後の人生に大きな影響を及ぼす。

日本語教育は59%がボランティア頼み、自治体に丸投げで特に子どもや生活者が日本語を学ぶ機会は地域によって質と量に大きな格差がある。言語発達の重要な時期にある子どもは、適切な支援につながらないことで、心身の健康な発達に支障をきたすことも。

この法案ができても、一朝一夕で劇的に状況が改善するわけではない。一つ一つやらねばならないことが山積で、課題解決には時間がかかる。だけど、日本語教育推進法ができればその課題解決の責任の所在が国と地方自治体、企業それぞれで明確になり、一歩踏み出すためのスタートラインに立てる。

子どもたちの成長は止まらない。時間がかかるのだから先延ばしで良い、ということにはならない。今はじめたとしても、すべての子どもたちに言葉の教育機会が保障されるまでに何人もの子どもが日本語が学べず、友だちができず、勉強についていくことができず、高校進学さえままならない状況に置かれる。

外国人は「勝手に」は日本に来られない

日本語を学ぶ機会が用意されず放置された結果、日本語も母語も中途半端なまま成長した子どもたちが、この日本語社会の中でどれだけのハンデを負うことになるか。本来であれば可能性にあふれているはずの彼らの未来を誰が保障するのか。

「勝手に来た」?
「いやなら帰れ」?

このあたりは正確な理解が進んでいない部分かなと思うのだけど、外国人(籍)の人たちは「勝手に」は来ないです。
日本政府が発給する在留資格を持っていなければ、入国できない。
海外ルーツの子どもたちだって、外国人保護者が子どもを帯同できる在留資格を発給したり、もともと日本国籍を持っていたりしなければ日本に住むことはできない。

扉を開いたのは日本であって、彼らが無理やりにドリルで穴をあけたわけじゃない。

その扉を開いた分の責任は取らなくてはならない。
責任が誰にどこまでであるのか、が外国人の生活や教育については曖昧模糊としているから数々の課題が発生しているのであって。

いやなら帰れではなく、嫌なら扉をどのように、どのくらいの分量あけるかをもっとちゃんとコントロールすればいいのであって。すでに日本に正当な在留資格を持って生活している人たちに対して言えることではないです。

今じゅうぶんな支援があっても、これから先、相対的にじゅうぶんでなくなっていくことだって、このままならあり得るから。

以前、とあるところで一緒に壇上にあがった自治体の首長の方。その自治体はいわゆる外国人集住地域で、確かにすばらしい支援の仕組みを持っている。すべての自治体がそうであったらどれだけいいだろう、と思うくらいだった。

その人は私に言った。「〇〇市ではやっています。あなたは悲観的すぎます」と。

そうですね。私個人が気質としてどちらかというと悲観的であることは認めます。でも、その〇〇市では行われている「すばらしい支援」がない自治体に暮らし、苦しんでいる子どもたちが、私の目の前に毎年毎年何人もやってくるという事実は、仮に私が楽観的キャラクターであったとしても、悲観すると思います。

だって、子どもたちが失うものがあまりにも大きい。そしてそれに、大人たちが手を差し伸べたくても差し伸べられない状況があまりにも長く続いてきたから。

これ以上、子どもたちの大切な、貴重な時間を奪えない。そしてこれから先は日本語指導が必要な子どもたちがどんどん増えていく。地域でも日本語教育を必要とする大人が増えていく。そうなったときに、たとえ今十分な支援体制を構築している自治体であっても、追い付かない状況だって現に表れ始めているから。

だから今でしょ?という気持ち。

日本語教育推進法は「特効薬」ではないけれど、「土台」ではあるから、少なくとも予算や人材の不足や、各所の理解が得られずに二の足を踏まざるを得なかった自治体にとっては後押しとなるし。ゼロを0.1にしよう、という動機付けにはなる。スタート地点となり、そこからじょじょに、歩みだすことができる。

でもそれがもしこのまま審議されずにお蔵入りになれば、あと何年後になるかわからない。私たちはさらに、多くの子どもたちの未来の可能性をつぶしてしまうかもしれない。

だから、どうか。今、スタート地点に立たせてほしい。「日本に来たから」というだけの理由で、子どもたちの未来の可能性がしぼんでゆくようなことは、終わりにしたいから。。。



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