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【壱岐新報2023.6.2】「市離島留学・いきっこ留学検討部会」第1回会議を開催

 3月に起きた、離島留学制度を利用して壱岐高に通っていた高校生男子の離島留学生が行方不明の後、死亡した事案を受けて、今後の離島留学制度の改善や見直しのための「市離島留学・いきっこ留学検討部会」第1回会議を先月27日、芦辺町の壱岐島開発総合センターで開催した。市と県は、離島留学生と保護者、里親などへアンケート調査を実施し検討部会で報告、実態の把握に努めた。同部会では計3回の会議を開き、「関係各所と地域が連携した組織体制」「生徒のSOSをキャッチするための相談体制」「居住環境」「里親の選定(条件)、支払う金額、受入人数の適正規模、不安解消の方策」「生徒を受け入れる際のアセスメント(評価)の手法」「離島留学生支援(専任職員)の役割」などについて協議を重ねる。


離島留学制度の見直しを協議


 検討部会は、県社会福祉士会壱岐支部や市地域協議会、市民生委員児童委員協議会連合会などの地域団体、壱岐振興局や壱岐高など離島留学制度の関係者、市教育委員会やいきっこ留学生受入校代表の郷ノ浦中など、いきっこ留学制度の関係者ら13人、一般公募による市民2人、里親2人の計17人が委員として出席した。


「離島留学」アンケート調査結果を公表

 第1回会議では、今後の課題の確認とアンケート調査の結果報告が行われた。

 県の高校教育課は離島留学制度に関するアンケート調査結果を公表。壱岐高離島留学生生徒30人(対象生徒31人、回答30人。出身中学校島内8人、県内島外10人、県外12人)、保護者(対象者31人、回答19人)、里親(対象者8人、回答6人)それぞれに対して回答を求めた。

 アンケート調査では、約30㌫が高校生活で何らかの悩みがあることがわかった。主な悩みとして「学校の授業や、友人との人間関係」があり、悩みの相談者は実親やクラスの友人の回答が多かった。

 一軒の家での受け入れ人数について多いと答えた生徒は33㌫。里親宅での生活の満足度は90㌫が「満足」と答えた。周りの離島留学生で人間関係などの悩みを抱えている生徒は17㌫。離島留学生活を送るなかで、学校や里親以外の地域の人とのつながりは、約30㌫が「つながりがない」とし、1人の生徒が「まったくつながりがない」と答えている。

 離島留学生の実親(保護者)は、里親宅などの生活に関して84㌫が「満足している」と答え、食事や里親と子どもの関係などを理由に挙げた。

 保護者の意見として「すべての留学生が同じ費用を払っているのに、下宿(里親)先によって環境に差が生じている。均一な対応があればいいのだが」「食べ盛りの高校生に毎日食事を作ってもらえて、感謝している」などだった。

 行政側の支援体制については「安全管理体制が公開されていない。いじめや事件、災害、事故の場合、どのような挙動になるのか。離島留学生に対して管理監督責任がどこにあるのか明確になっていない」「問題や困りごとがあっても担任の先生にまかせきりで、組織として改善できる体制がない」など厳しい意見もあった。

 里親へのアンケートでは、現在の生徒の受け入れ人数について「ちょうどよい」が多数を占めた。

 留学生1人あたりにかかる費用の内訳は、

①「食費7万円、光熱費5千円、送迎の燃料費6千円、雑費5万円、他に多額」

②「食費2万円、光熱費2万5千円、送迎の燃料費5千円、雑費5千円、他に5千円」

③「食費4万円、光熱費1万円、送迎の燃料費0円、雑費1万円、他に2万円」

④「食費3万円、光熱費2万円、送迎の燃料費2万円、雑費1万円」

⑤「食費8万円、光熱費1万円、送迎の燃料費1万円」。

以上のことから、里親によってばらつきが多いことがわかった。

 第2回検討部会では、元里親や元離島留学生などへのアンケートを実施する予定だ。

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