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【壱岐新報2023.5.26】離島留学生の死亡を受け、長崎市で離島留学制度について考える集会

 離島留学制度を活用し本市に在住していた男子高校生が3月に行方不明の後、死亡していたことを受け、16日、長崎市の長崎中央公民館で離島留学制度について考える集会が開かれた。会の主催は、市民団体「子どもの未来応援実行委員会」(南島原市、松島悠人会長)の壱岐支部(武原由里子議員・事務局)が取りまとめ、「壱岐離島留学生が残したもの~子どもの命や人権を守る大人の責務~」をテーマに、離島留学の経験者や里親、大倉聡県議、白川あゆみ県議、八木亮三長与町議など、会場とインターネットを通じたオンライン参加者70人あまりが出席。制度の問題点と今後の方針などの意見を交わした。武原議員は「彼は本当に心細かったはず。二度と第二、第三の彼を出してはいけない。子どもの命や人権を守るため、民間でできることを考えたい」と語った。


離島留学制度の改善「民間でできることを」


子どものための見守りは機能していたのか

 離島留学に関する制度のあり方について、島外でも賛否を問う議論が交わされている。同市民団体の壱岐支部事務局を務める武原議員は、「里親の研修制度や児童生徒の相談体制の脆弱(ぜいじゃく)さ、受け入れる里親の少なさ」などを指摘している。

 会を主催した同市民団体は、子ども達の命と人権を守ろうと南島原市で2018年に発足、現在、全国各地に活動の場が広がっている。今回の離島留学生死亡事案から、武原議員は活動の必要性を感じ、壱岐支部発足に至った。同会事務局の松島奈美さんは「今回の事案は長崎県民として大きな経験となった。この問題を風化させてはいけない。離島留学制度をこのまま継続していくには不安が大きい。そのために今回の集会を開くに至った」と開催の趣旨を説明した。

 本市では3月、離島留学制度を活用して市内で生活していた男子高校生が行方不明となり、その後遺体で発見された事案が起きた。男子高校生は市の「いきっこ留学制度」で中学2年の9月から本市で生活していた。中学卒業と同時に壱岐高に進学のため、引き続き県の「離島留学制度」を活用した。その間の本市在住は約2年半に及ぶ。

 事案の経緯を説明する武原議員は「同制度にはいくつもの問題点がある。いきっこ留学制度には運営委員会があるが、年2回の開催のみでほとんど機能していない。専門家による相談の窓口もない。死亡した男子高校生は中学生の時から、校内でいじめにあっていたと聞くが、市教育委員会や学校側の解決策はどうだったのか。高校に進学するからといって、未解決のまま手放してはいないか」などを指摘した。

 さらに「離島留学生はさまざまな問題や思いを抱えて本市に来る。地域との情報共有や交流の場はあったのか。学校や里親任せになってはいなかったのか」など、子どもの見守りが機能していないことを強調した。

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