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第四話「有恋無恋」

    お久しぶりです。ご無沙汰していたのはnoteだけではありません。時折短歌は詠むものの、このところは詩や文章を綴るということができておりませんでした。少し、ゴチャッとしているんです。こういうときの少しが全然少しではないことは皆様ご存知でしょうけれど、ひっ絡まっているのは学業その他きちんとした活動ではなくて、至ってパーソナルな、しかし重大な部分です。私もそれはそれは青二才ということですね。どう生きようか、精神面、食い扶持、素敵な人間に巡り会いたい、学生らしくて可愛らしい切実な悩みが159cmのマシュマロいっぱいに詰まって破裂しかけ、文学と向き合う余裕がありませんでした。

    先程一冊の本を読了しました。去年の今頃購入した深い紺色の本です。あと五分の一ほど残っていたのを先日少し読み、先が気になったので今日最後まで読んだという具合です。いい話でした。狭義ではなく。この頃私は前に進む決意をし、色々なことを新たにしようと、明るい気持ちでいようと頑張っています。春の太陽のおかげ?それとも焦りや不安が燃料なのでしょうか?こんな二択、大抵は両方正解です。でもきっかけは、カップルTikTokerでした。なんて幸せそうなんだろう、こんなふうに一緒にいると心が軽くなるような人を私も見つけたい、と思ったのです。そして好きだった人に全てを伝え、終わらせました。眠たい講義のあいだも、漫画を読んで泣く夜も、嘘を行使して悦を得る日もずっと胸にあった大切な恋を。プロローグだと思って。そうしたら、途端に何もなくなってしまいました。恋をしている人生は素晴らしいです。何もしていても「でも恋してる」人間でいられるし、恋のために全てが意味づけられる気さえしてきますから。やめてから初めて、自分がただろくでもない生活をしていただけだと気づくのです。なけなしの恋に縋って、空洞が埋まらなくてもいいことにして、そのくせ何かが足りないから嫌いな生き物に奉仕して。自分がしていたのがそんなクソしょーもないことだとわかり、今は無為に過ごした時間を取り返したい気持ちでいます。

    恋をしていない時間こそ、人生において尊重しなければならないのかもしれません。こっちを本質と思うようにします。だって怖いもの。宙ぶらりんでどうしたらいいかわからない。最低最悪なあいつは狡いやり方で理想の女の子と付き合ったのに、美しい心をもっていて何より愛が大切と知っている私は結局やっぱり好きな人に振り向いてもらえなかった。どうしてですか?とまあこんなふうに、恋のことを考えると心が憎しみや悔しさの方向に走ってしまうのです。負の感情に心を占拠されないため、この春からはより丁寧に生きようと思っています。感受性を豊かに、ひとつひとつのことをよく考え、愛の輪郭をなぞるように。

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