無職のおじさん爆誕


2人で生活するようになってから

私は朝8時過ぎに家を出て夜22時頃まで仕事で帰れなかったので2人の時間はとても短いものだった。

彼は18時には家にいれるような仕事スタイルだったので家事を多めにしてくれたり、帰りを待ってくれて一緒にご飯を食べたりしていた。

そのころ彼は仕事でかなりストレスがたまっていたらしく、毎日のように仕事先でのイライラを口にするようになっていた。

「まじあいつむかつくわー」

家で愚痴る姿に同情しながらも、いずれこの怒りが私に向くのではないかとヒヤヒヤしていた。

そんなときだった。

「なあ、ナギちゃんって給料いくら?」

唐突に聞かれた。

「いやぁ…大卒の初任給くらいかなぁ」

なんて濁してたら

「いや、いくら?言えないの?」

と詰め寄られ、

「手取りで35くらいかなぁ」

と馬鹿正直に答えてしまったのだ。

「じゃあ俺仕事やめていい?ほんっと仕事ストレスたまるんだよね!家事に専念するからさ!!」

「でも…私の仕事は安定しない仕事だし、このお家の家賃も10万超えてるでしょ?払えないよ…」

なんて弱音を吐いたら

「は?やってみなきゃわかんないじゃん?なんですぐそう言うこと言うの?」

彼の目がギラっと光ったのがわかった。

「それにさ、このまま生活してたら俺本当イライラしすぎて


お前のこといつか殴るかもしんないよ?



それでもいいの?」


と続けてきた。

ビクッとなった私はハサミを投げつけられた瞬間がフラッシュバックした。

「わかった…頑張って働くね…」

と言うしかなかったのだ。


本当にね、

恋人の段階で収入を明かすべきでない。

このせいで逃亡資金も貯めることできないし、20代前半にしてかなり歳上のヒモを養うことになってしまったのだ。若干の恐怖に支配されながら、もうこの瞬間にはすでに精神的DVが始まっていたんだと感じる。

「2人の時間もいっぱいとりたいしさ!」

なんて後付けのように機嫌良く語ってくるのでまた怖くなって(どうかこれ以上怒りませんように)と願うしかなかった。

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