違いを楽しむ『コットンヌーボー』の味わい方について、阿部社長に聞いてみた。
こんにちは。IKEUCHI note 編集員の井手です。
「違いがあって、当たり前。」
コットンは、工業製品ではなく植物。
毎年、その品質が均一であるはずがありません。
違いがあってこそ、本当のオーガニック。ワインのように、その年ごとのコットンの違いを楽しむタオルを届けたい。
そんな想いから2011年に誕生したのが『コットンヌーボー』です。
「なるほど、違いを楽しむタオルかぁ。コンセプトが斬新だなぁ!」
と感心しつつ、17年と18年のコットンヌーボーを触って比べてみても、イマイチ違いがわからない…。
そんなモヤモヤを抱えていたので、思い切ってコットンヌーボーのコンセプトの生みの親であるIKEUCHI ORGANICの阿部社長に相談してみたところ、
「違いはわからなくても、いいんです」と、予想外の回答が…!
この言葉に込められた真意は何か?また、コットンヌーボーに阿部さんが込めている想いについて、阿部社長に話を聞いてみました。
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どの年のタオルなのかを、言い当てられなくなってきている(笑)
井手:僕もコットンヌーボーの違いを味わえるようになりたいと思い相談にきました。
やはり、阿部さんくらいになると、利き酒のように、これまでのコットンヌーボーを並べて”利きタオル”をすると、どの年のものかわかるんでしょうか?
阿部さん:実は、これが結構難しいんですよ。どの年のタオルなのかを当てられなくなってきている(笑)
アーカイブ用に年ごとに何枚か残して保管しておくんですが、タオルって生き物みたいに、どんどん変わっていくんです。空中の水分を吸ったりして。
井手:以前のタオルが、以前のタオルでなくなってしまうのですか?
阿部さん:そう!
初めてコットンヌーボーをつくったのが2011年。そして翌年に2作目をつくったときに、前年と比べると「柔なくなった」と社内では評価していたんです。
でも、数年たった後に2つを比べてみると、11年もしっかり柔らかくなっていたんですね。
もう、こうなっちゃうとわからない(笑)
井手:タオル自体が変化しちゃったら、さすがに”利きタオル”は無理ですね。
阿部さん:これは生産者も予想してなかった(笑)
タオルって人間の肌と一緒で、適度な油分と水分が必要なんですよ。お手入れ次第でどんどん変わっていく。
だから、お客さんの使い方次第で変わってくるし、過去のコットンヌーボーを触っても、何年ものと当てるのは相当難しいと思いますね。
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完全に出たとこ勝負?
井手:商品として発売される段階での違いは、どこらへんなんでしょうか?
阿部さん:触ったときのコシですね。今年はコシが硬いとか、柔らかいとか。
だから微妙な差ではあります。基本的には毎年同じタオルの製法なので、そこまで劇的な差はつきません。
井手:生産地から届く糸に微妙な違いがあるということですよね?
阿部さん:そうです。年によって、糸の繊維の長さに違いがあります。
だから、糸を扱う織りの職人が、一番最初に「あ〜、今年はこんな感じなんだぁ…」と感じます。
井手:その段階で、今年のコットンヌーボーの仕上がりを予想するんですか?
阿部さん:予想はするんですけどねぇ。だけど、予想が外れることも結構あるんです。
なぜかというと、染色の段階でも変化をするから。
染色工場から戻って、検品をする段階になって初めて仕上がりがわかります。今年はこんな感じになったんだねぇって。
井手:なんだか、完全に出たとこ勝負じゃないですか(笑)
阿部さん:そうなんです(笑)
井手:でも、年によっては扱いにくい糸が届く場合もあるわけですよね。
阿部さん:基本、糸の品質に大きなバラツキはないのですが、そういう場合は織りの工程で調整します。
代表の池内が”ものづくりの鬼”で、「毎年、その年のコットンヌーボーが、これまでのコットンヌーボーのなかで一番良いと言えるものを作りたい」というプライドのもとでやりますから。
井手:なるほど。IKEUCHIの職人の腕の見せ所でもあるわけですね。
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コンセプト自体を楽しんで欲しい。
井手:そうすると、僕のように、コットンヌーボーの年ごとの違いがわからなくても良いんですね。
阿部さん:全然大丈夫です!
ワインだって、そうじゃないですか。去年と今年のワインを飲み比べて、今年のはまろみが良いとか、酸味が違うとか言われても正直よくわかない。結局、どっちも美味しいみたいなことってありますよね。
でも、生産地の葡萄畑やワイナリーのことを想像することで、味わいが深くなったりする。
それと同じで、無理に違いはどこだろうと探す必要もないんです。
井手:なるほど!
阿部さん:正確にいうと違いはあるし、その違いを感じて楽しむのも、もちろんありです。
ただ、無理にディティールを感じずとも、コンセプト自体を楽しむという考え方もあると思うんですよ。
井手:コンセプト自体を楽しむって、良いですね。
阿部さん:タオルは工業製品で、機械が生産に関わるから、均質のものを作らないといけないという暗黙の了解が世の中に蔓延しているわけじゃないですか。
ところが、工業製品の中にも原材料が農産物のものもある。タオルもそうです。
農産物は自然に近い形でつくろうとするとバラツキがでるのが当然で、商品ごとに違いがでても許容される幅が広いじゃないですか?
ところが、農産物を原材料にしている工業製品に関しては、許容の幅がすごく狭かったんですよ。そのため、大量の不良品扱いの商品が発生してしまう。
その問題に気づくきっかけとして、楽しんでいただけたらと思っています。
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贈答用にも薦められるものに仕上げたかった。
井手:最後に数あるIKEIUCHI ORGANICのタオルの中で、コットンヌーボーの特徴について伺いたいです。
阿部さん:まず、IKEUCHI ORGANICの全ての基礎は『オーガニック120』です。IKEUCHIの魂の結晶と言っても良いかもしれません。
オーガニック120
画像引用元:IKEUCHI ORGANIC公式サイト
社内ではよく”塩おむすび”のようなものと呼んでいますが、これが美味しくないと、どんな具材をのっけても美味しく仕上がらない。
井手:ここに具材をのっけているのが、各タオルシリーズなんですね。
阿部さん:そう。ただオーガニック120は魂の結晶なんだけど、初めて触ったときに良さがわかりづらく、使うことで味が出てくる玄人好みの商品なんです。
コットンヌーボーは贈答用にも使っていただきたいと思っていたので、ふっくらとボリュームがあって、肌触りも良くて、しっかり吸水性もあるものを作りたかった。
そこで、今のコットンヌーボーの型番が生まれました。
発売当時はIKEUCHIで販売しているタオルの中で一番高い価格で売り出し、「この値段で売れるのかな…?」という心配もあったほどです。
井手:大きな挑戦だったんですね。
阿部さん:さらに、コットンヌーボーの型番をベースに、もっと業務用の洗濯にも耐えられるものをつくろうということで、『オーガニック732』が生まれました。
オーガニック732
画像引用元:IKEUCHI ORGANIC公式サイト
その後、ボリュームのあるものを作った反動で、「今後は軽いものもつくってみよう」ということで『オーガニックエアー』、『オーガニック960』につながっていくわけです。
オーガニックエアー(左)オーガニック960(右)
画像引用元:IKEUCHI ORGANIC公式サイト
井手:こうやってIKEUCHI ORGANICのタオルの変遷を見ていくと面白いですね。
阿部さん:そうですね。でも、やっぱりその中でも、コットンヌーボーは多くの人に愛用いただけるIKEUCHI ORGANICの象徴的な商品だと思います。
井手:なるほど。よくわかりました。コットンヌーボーの味わいがより深まったような気がします。今日は、ありがとうございました!
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以上、阿部社長へのインタビューをお届けしました。
「無理に違いを感じなくて良い。まずはコンセプト自体を楽しんでください。」
この言葉に、モヤモヤが解消され、とても救われた気がしました。
でも一方で、阿部社長はこうも言ってました。
「僕はこういう風に話しているけど、ストアスタッフはもっと上手に各年のコットンヌーボーの特徴について説明していると思います。
是非、各ストアの店長である益田、忍田、井上にも聞いてみてください。
僕と違う切り口で自身の物語と絡めて説明してくれると思います。」
確かに、IKEUCHI ORGANICの各ストアのスタッフの方にも話を聞いてみたくなりました。
話を聞き次第、noteで報告できたらと思います!お楽しみに。
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最後にストアイベントのお知らせです!
『IKEUCHI ORGANIC 新作 Preview 2019』
毎年恒例となりました「新作Preview」、今年も開催が決定いたしました!
弊社代表の池内が直営店3箇所をまわり、2018年のご報告とこれからのIKEUCHI ORGANICのお話をさせていただきます。
【各日程】
TOKYO STORE:11月15日(木)18:30~20:00
FUKUOKA STORE:11月23日(金)18:30~20:00
KYOTO STORE:12月8日(土)18:30~20:00
※19:00頃より代表池内よりご挨拶させていただきます。
タンザニアのオーガニックコットンの収穫状況や風合い、発売までのスケジュールなどを、代表池内よりお集りの皆様にご報告させていただきます。また、コットンヌーボー2019のPreviewの他、新作アイテムもいち早くご覧いただけます。
ご参加の方には今秋、今治本社で手摘みしたオーガニックコットンボールをご用意しております。また、ささやかではございますが、オーガニックなお飲み物をご用意して皆さまのお越しをお待ちしております。
イベント中は入退場自由となっておりますので、お気軽にお立ち寄りください。
是非、こちらの機会にストアへお越しになってみてはいかがでしょうか?
ご来店をお待ちしております!
Text & Photo:井手桂司
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