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代表になって、社長になって8年。何を感じ、何が変わった?

思考方法や行動形式が対照的な池内計司、阿部哲也。代表になって8年、社長になって8年。何を感じ、何が変わったのか。

東京ストア10周年を記念し、池内と阿部が語り合う『二人会』が2024年4月に開催されました。そこで語られた内容のダイジェストをお届けします。

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経営者から一番遠い存在ゆえのスタイル

── 2016年、当時社長だった池内代表が体調を崩したことがきっかけで、社長交代が行われました。代表から経営のバトンを引き継ぐのはプレッシャーもあったと思いますが、当時の心境はいかがでしたか?

阿部:
当時はバタバタの状況だったので、考える余地なんか全くないわけですよね。この会社を存続させていくために、目の前にある自分ができることをやっていくしかないと思っていました。

だから、「社長を引き受けてほしい」と言われた時も、深く考えずに引き受けました。僕は流れに逆らわない性格なので。

ただ、冷静に考えると、おそらく僕は経営者から一番遠い存在だと思います。代表とは違い、リーダーシップを発揮したり、ビジョンを示したりする資質が、自分にはないと感じているからです(笑)。僕は目の前のタスクをこなすことで精一杯。

しかし、このスタイルが必ずしも悪いとは思いません。目標を明確に定めて進んでいっても、予想できない障害が起きて、流されてしまうことがよくあります。

会社を存続させるために一番大事なのは溺れて死なないことです。それを回避する勘みたいなものは備わってきている感覚はあって、それは組織全体を見ても同様に感じます。

本来なら僕が決断しないといけないようなことも、何を基準に決めていいかがわからないため、現場のみんなに「ごめん、決めてくれる?」と投げ返すことも多いです。社員の立場からすると「ふざけるな」と思うかもしれませんが、判断を現場に委ねることで社員それぞれの考える力が養われているように思います。

── 池内代表は、ものづくりに専念する立場になって、どのような変化を感じていますか?

池内:
実は、自分が代表という立場になったことを自覚するのに3年くらいかかりました。横で見ていると、つい口を出してしまいそうになるんですよ。その度に「そうだ、僕はもう社長じゃないんだ」と自分に言い聞かせていました(笑)。

2020年頃からは、経営の細かい部分には関与しないようにしてきました。自分の担当はものづくりだと、線を引いているつもりです。だから、阿部社長がものづくりについてたまに口を出してくると、「何やねん!」と暴れることもあります(笑)。

また、僕と阿部社長は性格が正反対なので、ハッキリとした指示を出さない姿を見て、もどかしく思うこともあります。社員からすると、社長の指示がほしいという時もあるので。そういう時に、判断を社員に委ねることで、社員が成長するというのは大嘘です。そこはメリハリをつけて、しっかりやっていってほしいですね。


ファンとの繋がりがもたらす社内の変化

── 社員の成長について話がありましたが、『IKEUCHI ORGANICの人たち』を読むと、各メンバーが自分の仕事に誇りを持って取り組んでいることが伝わってきます。社内の変化について、お二人はどのように感じていますか?

池内:
今治オープンハウス』をはじめたことで、ファンの皆さんが今治に足を運んでくれたり、商品の素晴らしさを直に語ってくれることが、社員にすごく影響を与えていると思います。

それ以前は、「この商品はお客さまから好評だよ」と社内で伝えても、「社長がそう思っているだけでしょ」と思われている節がありました(笑)。

また、今治に訪れるファンの皆さんが事前に『IKEUCHI ORGANICの人たち』を読んでくださって、社員それぞれのことを知った上で話しかけてくれることが多いです。「自分たちはファンの方々から見られているんだ」という意識が、各自の仕事への向き合い方に影響を与えているようにも感じます。

阿部:
お客さまが製造現場に足を運んでくれる会社って、かなり珍しいですよね。こんな風に、社員にも興味をもっていただいて、会いに来てくださるというのは、本当にありがたいと思います。

また、2014年にストアがオープンしたことも大きいですよね。お客さまと顔の見える関係になったことで、社内全体の意識が変わっていったと思います。

『IKEUCHI ORGANIC IMABARI OPEN HOUSE 2023』のレポート記事より

── 『IKEUCHI ORGANICの人たち』を読むと、製造部門の部長に新しくなった渡邉部長が皆を上手くまとめている姿も印象的でした。

池内:
僕が社長をやっていた時から、「工場を任せられるのは渡邉しかいない」と思って、部長をお願いしました。

また、営業部門もストア責任者の益田が兼任で部長をつとめています。そのため、IKEUCHI ORGANICは製造も営業も女性がマネージャーをつとめる会社となりました。製造業でこうした形をとる会社はかなり珍しいと思います。

── 確かに、IKEUCHI ORGANICは女性が活躍している印象が強いですよね。産休や育休を取得しながら、働かれている人も多いですし。

阿部:
そうですね。最近では4名の社員が産休・育休を同時にとっていました。誰かが休んだとしても、他のメンバーでカバーをしていく。そうした助け合いができる会社になってきたことも、大きな変化だと思います。

社内のランチ風景


創業120周年という未来に向けて

── IKEUCHI ORGANICといえば「創業120周年となる2073年までに、赤ちゃんが食べられるタオルをつくる」という目標を掲げています。ただ、中小企業では人材不足ゆえに存続が難しいという話もよく聞きます。その点、IKEUCHI ORGANICを取り巻く状況はいかがですか?

池内:
僕が父の跡を継いで1984年に池内タオルに入社した時も、タオル業界は人材不足が深刻だと騒がれていました。でも、母親からは「そんなの30年前から言われていたけど、何とかやってこれたから、何とでもなるのよ」と言われました。現在の僕も、人材不足の問題について同じように思っているところがあります。

ただ、採用が難しいのは確かです。今治では、高校を卒業してそのまま就職したいと考える学生の数が年間30名くらいしかいません。そのため、若い人を採用するためには、ただ待っているだけではダメです。

例えば、僕の母校である今治市の乃万小学校では、小学2年生の時にIKEUCHI ORGANICへ工場見学に来てもらうようにしています。また、愛媛県が行っている『えひめジョブチャレンジU-15』にも登録し、中学生の皆さんに5日間の職場体験の機会を提供しています。

こうした取り組みの結果、「代表が亡くなっても、僕が赤ちゃんが食べられるタオルを作るから安心して」と言ってくれる子もいました(笑)。こういう活動を続けていくことが大切で、いつか帰ってきてくれる子たちが現れるはずです。ライフワークとして、僕はこの活動を続けていきます。

IKEUCHI ORGANICへの会社見学での一枚

── 120年続けることを考えると、池内代表が完全に引退するタイミングもどこかで来るわけですよね。その時について、阿部さんは既に考えていたりされますか?

阿部:
それは社長を引き継いだ時から考えていますね。やはり、代表はブランドをゼロからつくりあげている人なので、持っているものが全然違うし、キャラクターも尖っている。だから、僕が代表と同じことをやろうとしても失敗するし、お客さまも失望するでしょう。

池内計司という人物がつくりあげたブランドの世界観と哲学を、時代に合うように継続していく。

それが僕たちにできることだと思いますし、だからこそ僕の経営者の役割としては、リーダーシップとかカリスマ性とは違うところにあるべきだと考えています。

社員一人ひとりの強みを開花させ、それぞれが得意な領域で力を発揮していく。その先に、創業120周年という未来が見えてくるのではないでしょうか。

<編集協力:井手桂司>

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