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猫は変容を担当し、深刻さを解除する

何か言いたそうなタイトルを付けたが、最終的に「100日間、猫の写真だけ載せたInstagramを毎日更新した」というだけの話である。しかも前置きが長くなるはずだ。たぶん猫についてnote記事をつくることは、もう当分無い(思いつく企画が無い)から、構成を締めずに出来るだけ流れるように、書かれるに任せて書く。

猫が来た

2020年10月末、猫が来た。

ペルシャのチンチラシルバー、オス。2020年8月12日生まれ。

買い物に出かけた隣町の店で、出会ってしまった。昔から猫を飼いたいとは思い続けていて、ビルの中に入っているその店はよく覗いていた。

店員からの忠告は「ペルシャは、引くほど毛が抜けます」だった。

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家に来て一週間くらいは、古い冷蔵庫のような唸り声を全身から発していた。心配で獣医にも、店員にも電話して相談してしまった。答えはどちらも「猫なので、ゴロゴロいいます」だった。猫なので。

それから9ヶ月。もうすぐ1歳の誕生日になる。長毛種で体は膨らんで見えるが、体重は2.5kgと軽い。かかりつけの獣医によると、同じ種と比べると小さめらしい。

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なお、引き取ってきた店は、もう無い。春先に閉店してしまった。用具用品の取り揃え、ちょっとした相談などお世話になった。

Twitterで猫

猫について書くことが増えた。尊敬し私淑する哲学者・小説家の影響で、世界と自分の間にあるものをただ記述する、ということをするようにしていて、内的なものや仕事・創作の直接的な作業はWorkflowyに書き、人目に晒すことで終わりにしたり次への足場にするものはTwitterに投稿する、とざっくり書き分けている。

猫の存在を感じながら書くと、独り言に外からの視線が加わるので、なんとなく広がりがあるように感じられるのだった。

「@iketanikazuhiro 猫」で検索して、表示されたツイートをいくつか拾ってみる。

世界と自分の、界面に猫がいる。

人と動物の関係を思ったりするようにもなった。

犬は恢復を担当し、調整を促す。猫は変容を担当し、自律を促す。

癒しも介助もしないが、僕が苛立ち、憎悪に立脚してあれこれ余計なことをしそうになっているときに、取り合わず、ないて深刻さを解除する。

目が合うと、猫はお腹を捻って颯爽と去ろうとする。からだに詰まっている柔らかい色々のものがよじれて、きゅるっと音が鳴るので、僕はつい笑ってしまう。

Instagramで猫 -動機-

さて、4月21日から、猫専用Instagramを毎日更新している。先日、100度目の投稿をした。その節目でこの記事をつくっている。

デジタルコミュニケーション、デジタルコンテンツの学校で仕事をしながら、Instagramを使っていない、少なくともどんな感じなのかという確信を持っていないことへの負い目・引け目があった。何年もそうだった気がする。

ちょっと始めてみて、しかしすぐにやめたことはあった。外食したときの写真。Facebookの友達が流れ込んでくる。そこには何も無かった。単に、そこで投稿しようとした対象は、僕の表現したいことではなかった。閲覧用のアカウントとして使おうにも、使い込んだ(対象に棲み込んだ)実感が無いのでどうにも分からない、面白くない。

思いだけ引きずっていたところに、猫が来た。

猫と暮らし始めた晩秋から真冬を過ぎて、春が来た頃、気付いた。仕事も年度末年度明けの最繁忙期をなんとか乗り越えて、一息ついたような気持ちになった頃だったと思う。

「家に連れてきたときの、ほんの小さかったときの写真があんまり無い。」

慣れない世話に夢中になっているうちに、毛が増え、膨らんでいた。冷蔵庫のような振動音を小さな体から発して、全身で怯えていたときの、あの姿が無性に見たくなるときがある。

それで、意識してバシバシと撮り始めていたら、あっという間に1,000枚、2,000枚と増えていった。自分でも把握しきれない。振り返ってただニヤニヤしたり、外出先で自分を落ち着かせるために眺めるにしても、既に膨大だ。iPhoneは猫が来た日の数日後に機種変更していたのだが、カメラとメモリが最強になるよう、proを選べばよかったと、普段あまりしない後悔までした。

初めは、かわいい写真が撮れる度に、お気に入り用のフォルダに保管していたのだが、メモを付けたくなったり、フォルダに入れる基準をつくりたくなったり、会った人に見せて自慢したくなったりしてきた。

ならば、Instagramのアカウントを猫専用のベストアルバムとして運営しよう。

という発想で、ある日、思い立って始めた。

アカウントは実名のまま。プロフィールは猫の属性と、自分のTwitterアカウントへのリンク。アイコンはTwitter、noteと同じ私だが、投稿する写真は猫だけ。連れてきた日に撮ったものの中から時系列で、状態の良いもの、好きなものを毎日一枚選んで投稿を始めた。

Instagramで猫 -運営-

運営ルールは以下のようにしている。だいたい10日くらいで固まった。

・1日1枚だけ投稿

・朝、コーヒーを淹れる前後にぽちぽちと作業する

・連れてきた日から時系列に選んでいく

・ガチの猫好きアカウントの先輩方をフォローする

・新たに猫が始めたことを覚えていたらそれをメモしておく。例:シンクのそばで洗い物を見張るようになった

・ハッシュタグをTodoistにタスク設定しておき、毎日それをコピペして使う。猫好きに見てもらいやすくなるハッシュタグを見つけたら追加していく

起きたこと、気付いたこと

このセクションは今後、更新していくかもしれない。

・フォロワーは約50名。同じような趣旨のアカウントがほとんど。みなさん毎日チェックしてリアクションしてくれる。私も全部たのしく見ている。リアクションのしやすさ、いい感じの無責任さが良い

・「小さい頃の写真が少なかったので、普段から意識してベストアルバムをつくろうと思った」という動機に共感が集まる。あるあるらしい

・iPhoneで写真を撮るのが速く・上手くなった。グリッド線は必須

・Instagramの文化や技術を身をもって知るために始めたが、限定的で良い意味でムラ感のあるコミュニティの住人になってしまった。タイムラインに出てくるのは、愛されている他所のうちの猫だけにしたい

今後について

100日・100投稿したら、頻度を変更しようと思っていたけれど、時系列で一日一枚のピックアップが現在に追いついてしまうまで、続けてみようかなと思っている。不定期や”数日おき”よりも、毎日一枚、のルーチンの方が楽である。

まとめ。猫を飼ってInstagramを始めたら、Twitterやnoteの発信や交流と絡むことがほとんどない、僕にとっては独特で新鮮な領域がひらいた。

こうして振り返ってみると、実名のアカウントである必要が無いようにも思えてくる。例えば猫の名前のID、アイコンにしている人は多い。だが、それだとしっくりこない。続かない気がする。猫にアイデンティティを仮託するのではなく、自分がアカウントの主宰であると明示しておきたいのだろう。(あ、そもそもInstagramをやらなければ。。。と思っていた職業的な動機にやっと近づいてきた)

これからも猫にだけ集中していくアカウントですが、もしご縁があったら見てやってください。

https://www.instagram.com/iketani.kazuhiro/

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以上。猫がどうか、幸せに生きてくれますように。

ここまで読んでくださって、本当にありがとうございます。つたないものですが、何かのお役に立つことができれば嬉しいです。