イメージトレーニングのススメ

人は自分の得意な感覚の情報を取りやすい。大きく分けると視覚・聴覚・体感覚であると20年くらい前に学んだ。分かり易くいうとこんな感じだ。スポーツで動作を覚える時に視覚優位の人は誰かに見せてもらうと分かりやすいし、聴覚優位の人は動作を音で表現されると分かりやすい。聴覚優位の人は擬音語が多いので非常に見つけやすい。体感覚の人はその時のフィーリングで情報を得るので、気持ちいいとか雰囲気が良いとか抽象的な発言が多いし、感覚を言語化がするのが難しい時も多いが「すごい」がキーワードでこれで同じ感覚を持っている人とはコミュニケーションが取れるし、それ以上の説明は不要だ。

自分がどれに当てはまるのかはもちろん自覚していることではあるけど、他人とコミュニケーションを取る際、これがわかっているとスムーズな場面がある。同じ感覚優位同士の人は分かり合えるのが早いし、別の感覚の人ともそれが前提で擦り合わせできれば、多角的に物事を捉えることができる。

僕の場合、視覚優位なのでビジュアルの情報は脳に残りやすい。どんなところでも一度行けば道を覚えられるので、10年ぶりに友人の家を訪れるときにも迷うことなく行けるし、ラフティングのダウンリバー(長距離種目)の川を覚えるのも得意な方なので、僕の競技生活においては強みの一つだった。

前にも書いたが、人間は先行きが予想できない事に恐怖や不安を感じる。でも頭の中で明確にイメージができていたら、恐怖や不安は少し和らぐ。ラフティング選手としてもカヌースラローム選手としてもレース前のイメージ作りは綿密にやっていた。ラフティングではチームでイメージを共有しなくてはならないので、事前に動きを擦り合わせる必要があり、これをシェアリングと呼んでいたがこの精度によってパフォーマンスは大きく変わる。レースは2-3分で終わるがシェアリングは長いと1時間かかったりすることもあった。それだけチームの感覚を合わせておく事は重要だということだ。カヌーの場合、それは個人でやるので、シェアリングする事はないが、僕ぐらい図々しいと他の選手に聞いたり、デモランした選手に聞いたりしてそれを参考にしていた。その上で、イメージを完成させレーススタート前に何度も何度もコースを頭の中で下るのだ。

以前脳科学者の方の本を読んだとき「脳の中ではイメージと実際に起こった事は大した差がない」という言葉があった。予測が難しい未来に対しての不安は、脳の中で明確なイメージをする事で経験できる。脳を錯覚させるような感じだ。人は経験してしまえば不安や恐怖は小さくなる。だからイメージを明確にする事で、自信を持ってレースに向かい、それが結果に結びついたりする。実際世界一になる前に、このイメージの力を使って世界一を模擬体験した。詳しくはまた書くことにするが。

とにかく何事も事前準備が大切、段取り八割だ。
これは仕事もスポーツも全く同じだと今は言える。

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