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ととのう

最近、気付いたことがある。
私は現在実家に住んでいるが、家庭の雰囲気が良いこともあれば、悪いこともある。

そんな中で私は良くも悪くもその家庭や周囲の雰囲気に左右されやすいことには気付いていた。

しかし今日ふと気付いたのだ。”ああ、私が常にととのっていれば良いのだ”と。
つまり、私がいつも雰囲気に左右されず善い状態にあれば、長い目で見れば良好な雰囲気に転ずるのではないかと。

最近は”ととのう”という言葉がサウナと共に流行っている。個人としては、長湯は苦手だし、サウナは進んで入ろうとしない。どちらかというと苦手である。大変僭越ながら、私にはこのブームは理解出来ない世界であった。そこで、面白い文章を見つけた。

多くのサウナーの皆さんが「整う」とお話しになるのは、β-エンドルフィンが分泌されることで得られる「錯覚」なんです。
高温のサウナから低音の水風呂などにすぐさま移動することによる強制的なβ-エンドルフィンの分泌(=整う)がクセ→中毒になり、頻繁に通う人をサウナーと呼びます。
人間以外のネコやネズミなどの脊椎動物実験でも、10°C以下(シングル)の寒冷浴と42°C以上の温熱刺激を交互に行うとβ-エンドルフィンの分泌がみられ中毒化することがわかっています。
なぜならβ-エンドルフィンは、脳内の「報酬系」に多く分布する内在性オピオイド、つまりアヘンと同じ中毒物質だからです。
かくありまして、「整う」と公的な場でお話しする方は、情報中毒、特にSNSやゲームなどで脳の報酬系を相当やられていて、もうアヘンでもやらなきゃ刺激を得られない!とおっしゃっているのと同じだと考えます。
近年のサウナブームは、アルゴリズムに支配された世界で生きる影だと、個人的には見ている次第です。
(以下省略)

引用:高城未来研究所「Future Report」  Vol.557

こんなこと言う人がいるだろうか?サウナブーマー達を”情報中毒”と一刀両断し、β-エンドルフィンを持ち出す論法。しかし私は妙な納得をしてしまった。

確かに、周囲でも”最近になって急に”サウナに没頭し出した人は、情報中毒気味の人が思い当たる。サウナの頻度とSNSの投稿の頻度は比例するのではないか?そんな皮肉まで浮かんでしまう次第だ。

私は銭湯で顔を俯き加減にひたすら黙々と佇むオヤジの方が見ていてホッとする次第である。更に言うならば、刺青の入ったオヤジが黙々と汗を流している姿の方が、一本の筋が通っている様に見える。その熱室は、大学のテニスサークルではない。

私が感じるのは、”自分に必要だからそれを行っている”ことと”躍らされている人の滑稽さ”の対比だ。もちろんそのブームから、自身にとってのサウナが”文化”になる人がいるかもしれない。”アンタ、本当はととのってないだろ?”

間違いなく、”本当に必要な人”はいる。

何を偉そうに語っているのだろう。そんな私はどうなのか。

もちろん”ととのっている”状態には程遠く、まだまだ精進が必要なんです。ええ。

先程の話の続きになるが、少し家庭内を覗いてみよう。
朝。洗濯機が終了の合図を鳴らす。母と父が少しばかりの見えない火花を散らす。どうやらお互いにこだわりの干し方があるらしい。

そんなもの、30歳・無職(つまり私)の息子に任せれば良いのに。私は一応、”手伝います”オーラを出し、時々”手伝おうか?”と声を掛ける。時々手伝わせてもらうが、基本的に私は不要である。

ああ、なんなんだろうかこのモヤモヤ感。そして昨日までの私であればそれだけでイライラしていた。いや、今日もイライラしていた。そして家庭内にも張り詰める緊張感。他にも、ふとしたことで父親の機嫌は崩れる。

しかしふと気付いた。”私がととのっていれば、多少は場の空気が良くなるのではないか?”

つまり、朝から家庭の雰囲気が悪くとも、私がルンルン気分の様に振る舞っていれば、そのうちちょっと雰囲気が良くなるのではないか?ということである。傍から見る私が堂々としていて、何か安心感のある存在であれば、多少なりとも状況は好転するのではないかと。

ああ、なんでそんなことに気付いていなかったんだろう。いや、多少なりとも気付いていたが顕在意識にまで届いていなかった。

早速、今日試してみた。母親は夫と少しだけ揉め、出勤前も不機嫌である。愚痴を私にぶつける。今までの私であればその不機嫌に引きづられていて乱されていた。しかし今日の私は違う。”ととのっている”風を装うのだ。愚痴に対しても”へえ〜”という感じで多少の共感を示すが、明るいトーンで切り返す。我関せずのメンタリティで少し明るく。これが現時点でのベスト”ととのっている”だ。
作戦はうまく行った様だ。私は場の空気に引っ張られていない。”ととのっている”じゃないか。

これからの私は、この様にして”ととのえて”いこうと思う。

画像提供:WESTさん

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