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松嶋菜々子だと思っていた野党が小泉今日子だった話

はじめに

選挙に興味がないわけではないけど、政治のことをどう考えたらいいかわからない、という少し前の自分みたいな人の参考に少しでもなればいいなと思って、なるべく気軽にわかりやすく、今自分の思うことを書いて公開しようとした矢先に、とても大きな事件が起きてしまって、どうしようもない感情に押しつぶされてしまった。
電話かけのボランティアにも行く予定だったが、自分だったら今日かかってきた電話はちょっと敬遠してしまうなと思ってやめてしまった。
楽しみしていたラブ&サンダーも全然楽しめなかった。困った。

けれどこの流れで、なんかかわいそうだからとか、お悔やみがてらに、みたいな感じでなんとなく投票に行く人や、野党に投票するのは不謹慎なのでは?みたいに感じてしまう人がいたとしたら、それとこれとは話は別で、今こそ本当に真剣に、だが気軽に日常的に、一人でも多くの人が政治を自分ごとにするべき時だよなと思い、投稿しました。読んで、選挙に行く気になってもらえたらいいなあ。

野党は批判ばかりという話について

野党は松嶋菜々子であると思っていた

松嶋菜々子が苦手だった。
正確には、松嶋菜々子が演じがちな役柄が苦手だった。
型破りだったり、寡黙で言葉足らずだったりする主人公の横で、常に声高に正論だけをまくしたて、その実、振り回されるばかりで自分では何も変えられず、結果、物事は主人公の思惑通りの結末におさまる様。辞書で引いたら、それが「90年代後期松嶋菜々子」である。と、載っているであろうというほどに、「GTO」や「救命病棟24時」での役柄は、耳ざわりでもどかしかった。
類義語として「ドラゴン桜」の長谷川京子、男性では「振り返れば奴がいる」の石黒賢、そして主人公にも関わらず「ブラックジャックによろしく」の妻夫木聡などがある

この、松嶋菜々子ちょっとうるさいから黙っててくれるかな現象には、ドラマ以外の場面でも、長年多くの人が感じていたであろう類義語がある。
「ニュースで見る蓮舫」だ。
いわゆる「野党は批判ばかり」というやつである。 

与党という、圧倒的パワーを持つ絶対的主人公の犯したミスを、あげつらい、まくしたて、いつまでも執拗に責め立てる。
やな感じ。性格悪そう。いつも怒っていてものすごくうるさい。
一方対峙する与党は、苦笑いでさらっと交わして、そんなことより大切な審議を進めましょう。時間を無駄にしないでください。と、いかにも大人らしいスマートな対応。
正しくない行動も多々あるが、清濁あわせのむ度量の深い主人公としての与党(GTO反町隆史)が、
やることなすこと理解しようとせず文句ばかりで、結果何も変えられない野党(GTO松嶋菜々子)
をいなしながら政治をすすめている。
確かに悪いことも色々してるみたいだけど、圧倒的パワーを持つ主人公なんだし、まあ仕方ないよね。政治のことは与党に任せて放っておけばいいや。
社会人としての一応のマナー、くらいの心持ちでテレビやネットのニュースをうっすら眺めている限り、完全にそう感じる。

麻生さんの言う通りだ。何も考える必要はない。
豊かとは言えないが生きては行ける。ある程度好きなことにお金も使える。
おかしいなと思うニュースも見かけるけれど、直接自分とは関係ない話だし、政治家ってそもそも裏では悪いことしている人ばかりだから、政権変わっ立って同じでしょ。

野党は松嶋菜々子ではなく松下由樹かと思ったが、むしろ江角マキコだった

コロナで家に閉じ込められて、国会を気にするようになった。
テレビのニュースを見た。
与党も全然正しいわけではない。だがやはり野党はうるさいだけに見える。
Twitterでの国会質疑の切り抜き動画を見た。
発信する人の支持政党により、同じ質疑でも全く違う感想を持つ内容になっていたりする。
けれどそこで、怒りを込めた感情的な喋り方ではなく、丁寧な説明でわかりやすく国会質疑を進める政治家がいることを知る。小川淳也さん、小池晃さん、そしてなんと言ってもダントツなのが、山添拓さんだ。
そして気づく。あれ?全員野党で、しかもうるさくない、知らないことを理解できてずっと聴いていたいな。

GTOの松嶋菜々子だと思っていた野党は、どちらかと言えばナースのお仕事の松下由樹だった。
暴走しがちな主人公、朝倉こと観月ありさに振り回されて、怒って、文句を言いはするが、厳しく、優しく、正しく改善していく。野党はそんな、松下由樹みたいな存在だった。
と、書いているそばから、さらにもっと近い例えを見つけた。「ショムニ」だ。
会社の中心にいるがゆえに、我がもの顔の秘書課、人事部、海外事業部の理不尽を、「気に入らないねえ」とストレートに糺す江角マキコを筆頭に、ショムニメンバーそれぞれのやり方で抗い、正していく。そういう痛快さが、野党議員の上手な質疑にはあった。
「ドクターX」「相棒」あたりも近い。圧倒的な数と力を持つ権力に対し、少数の正義が立ち向かう、みたいなカタルシスだ。

そして与党は反町隆史ではなく戸田菜穂かと思ったがいや、天竜人だった

そしてこのカタルシスをさらに昂めてくれるのが与党側の姿勢だ。
かの有名な船場吉兆の会見を彷彿とさせる、しどろもどろの答弁を、ささやき女将さながら手厚く後方からサポートする官僚。
こんなにまっとうな答弁をせず、こんなに自分の言葉で話すことができないのか、ということを目の当たりにした。
そして、ドラゴンボールで言えばフリーザ、ワンピースで言えば天竜人ほどの見事な感じの悪さで、真剣な質問者をこんなにも嘲笑い、こんなにもこれみよがしにふんぞり返るのか。
偉そうに見せるために、わざわざボアハンコックくらいきつい体勢とってるんじゃないか、というほどにふんぞり返って座り、話を真摯に進めようとする野党議員に対して、嘲笑したり爆笑したり差別的なヤジを飛ばしたりと、ハラスメントの限りを尽くしていた。
政治に興味のないうちはGTO反町隆史に見えていた与党は、ショムニ戸田菜穂、いや、そんな生温いものではない。ショムニの戸田菜穂にはまだかわいげがある。
半沢直樹シーズン1の香川照之、ドクターX初期の西田敏行、相棒や踊る大捜査線の警察の偉い人たち、まさにそのくらいわかりやすい悪役的な態度だった。
この相手していたら、そりゃまあ怒気強めの喋り方にもなっちゃうよという有様で、そんなことも気づかずに長年うるさいなんて思っててごめんね蓮舫。となった。

つまり何が言いたいのか

「野党は批判ばかり」というのは、やはりその通りだということで、だがそれは当たり前なのだということだ。
与野党関係なく、国民が幸せな生活を送るために政治があって、正しく国民の意見を反映した審議が進んでいる限り、野党もスッと賛成している。基本的にニュースでは悪い知らせが報じられるので、スッと通った法案は大きく報じられないだけで、野党は決して、頭ごなしに何もかもを否定するGTO松嶋菜々子的な態度ではないのだ。
一方で、与党の失敗や間違いや暴走を、指摘し、是正するのも野党の役目だ。
つまり「与党が失敗ばかり」だから「野党は批判ばかり」に見えるのが昨今の政治なのだ。
ショムニやドクターX、相棒や半沢直樹を観ていい気分になったことのある人は、山添拓の国会質疑を見るといい。
現実はフィクションより酷くて、のらりくらりとかわされ続け、なかったことやすでに終わったことにされることばかりだ。
それでも、動揺して混乱して間違えて官僚のカンペを待つ様を見ることができるだけでも、今、与野党どちらが信用に足る政治をしてくれるかは明確に判断できるようになる。

野党が弱すぎて投票しても無駄になるという話について

選挙はギャンブルではないから負けてもいい

選挙をtotoのようなスポーツギャンブルと同じと捉えてしまっていた。
自分が投票した党が負けて野党になってしまったら負け。どんなに立派な政策を掲げていたって、その人が野党だったら、当選自体難しいし、当選したとて、与党になれなければ、数の力で退けられてしまって、何の意味もないではないか。だから、負けが確定している方には賭けない。もし賭けるなら価値が確定している方だ。かと言って与党に入れたい動機も全くない。
じゃあどっちにも入れないことこそ本当の自分のきもちだな。自ら政治に関わる必要はない。自分はそう思い込んでしまっていた。

しかしこれもさっぱり間違っていた。
ショムニがどんなに秘書課をやり込めようとも数と立場の優位は変わらないように、ドクターXの米倉涼子・岸辺一徳率いる最高のチームはいつまで経っても少数の日陰者であるように、相棒に至っては、活躍してるのは警察内で特命係だけと言っても過言ではないのに、何十年もずっと2人きりの左遷部署であるように、今の野党が与党にかわることは、この先ずっとないのかもしれない。けど選挙は「党の勝ち負け」で考えなくて良い。
上に挙げたドラマの登場人物が、エピソードごとに様々な問題を解決していくように、どんなに数が少なくても、政権与党になれなくても、真摯に国民の声を聞いて、拾い、国会に持って行ってくれる政治家をきちんと見極めて、その人が当選するよう応援すれば、その政治家は我々の悩みや苦しみを、きちんと与党と議論してくれるのだ。
だから、明らかに数名しか当選しない党の人や無所属の人の政策が気に入ったとしても投票して全力で応援したほうがいい。

給料、仕事、借金、介護、子育て、就職、結婚など、生きていて起きる問題はどんなことでも、自分のことは自分で、家族のことは家族で背負うのが当たり前だと、長年思い込んでしまっていたが、どうやらそんなことないのだ。どんどん政治家を頼って使い倒していいし、同じ人をずっと応援する必要もない。この人では自分の悩みは解決できなそうだと思ったら、次の選挙までにまた別の人を探して良い。
でもそんなに常にこの人はどういう人なんだろうって政治家の活動にアンテナ張っていられないし、かと言って選挙の時だけ興味を持っても当たり前だがみんないいことしか言わない。選挙以外の時も気軽に検索できる政治家マッチングアプリみたいなのがあったらいいのかもしれないな。

良い政治家は小泉今日子だ

ところで松嶋菜々子は2000年代に入るとすぐ、「やまとなでしこ」で傍若無人主人公側に回り、その後「家政婦のミタ」で傍若無人主人公の最終形態みたいな役柄で大ヒットする。
今まで例に挙げてきたショムニの江角マキコ、ドクターXの米倉涼子、相棒の水谷豊も、絵に描いたような傍若無人主人公であり、どうやら日本人は、このタイプの主人公のドラマが大好きなようだ。
ただ、自分はこういうタイプの主人公は、横で小うるさい脇役よりもさらに苦手だ。あまりにも好き勝手やりすぎで、むしろ現与党のようにも見えてきてしまう。

市民に寄り添い、声を拾い、解決に導いてくれる良い政治家の、もっと良い例はないものかと考えたどり着いのが、「最後から二番目の恋」の小泉今日子だ。自分の好きなドラマなだけで、今までに挙げた大ヒットドラマからすると認知度が弱いのだが、
鎌倉に引っ越してきた小泉今日子が、隣の家に住む中井貴一、飯島直子、内田有紀、坂口憲二ら登場人物に頼られたり頼ったりしながら、各個人の相談に寄り添って問題を解決し、中井貴一一家も、小泉今日子本人も徐々に考え方が変わって行く様が、自分の好きな小川淳也さんや、今回の参院選に立候補して、応援している山添拓さんの姿勢にすごく近いなと思った。
決して、遠い違う世界の住人ではなく、自分と同じ目線で世界を見て、一緒に悩んでくれる。そういう政治家が必ずいる。
そういう人を一人でも多く国会に送り込んで、野党の勢力を大きくすれば、与党が変わらずともものすごく意味がある。

最後に

なるべくそうならないように気をつけようとしても、どうしても現与党が倒すべき敵という書き方から逃れられなかった。
敵対したい気持ちは一切ない。ただ単に、今本当に市民の声を拾ってくれる政治家は野党にしかいないと思うだけだ。

誰の目にも触れる場所で初めて書くが、自分のジェンダーは一般的な男性とは違う、と、思う。
女性を好きになるのが普通だと思って女性と付き合おうとしても違った。
では男性が好きか思って付き合ってみてもやっぱり違った。
では男性も女性もどちらも好きなのかというとそうでもない。
どっちも好きじゃない。好きじゃないのかな?わからない。
好きな人はたくさんいる。けれどその中の誰か一人を選んで恋人にするという気持ちが皆目わからない。
女性も男性も区別がつかないし、友達と恋人の区別もつかない。好きとそれ以外。
一般的な考え方ではないのでこう書いていて自分でも何言ってるんだろうと思ってしまうが、でもそうなのだ。
だから異性のことを好きになる一般的なコミュニティでも
同性のことだけを好きになるコミュニティでも等しく居心地が悪い。

好みのタイプは?今彼女いるの?結婚はしないの?
そもそも女性が好きなのか?男性が好きなのか?大丈夫理解あるよ。
もしかして仲の良いあの男性と付き合っているのか?
自分の考えの中に恋愛という項目が抜け落ちているので、どの会話もどうしてもうまく合わせられないし、誰々と付き合ってるの?って言われた途端に、なんと言って良いかわからない嫌悪感を、発言した相手に感じてしまう。これを一度感じるともうその距離は埋められない。相手は悪くない。だってそれが普通の考え方なのだ。合わせられない自分が悪い。
そうして、プライベートな空間でのプライベートな会話など誰とも1秒もしたくないという傾向が年々増していく。
人と話せば話すほど、普通の社会に合わせられない自分を疎ましく思ってしまう。

だから同性婚にも選択的夫婦別姓にも個人としては1ミリも興味はない。どちらも自分と最も遠いところにある問題だ。けれどどちらが実現しても多数側の人が困ることはないはずだ。まずはやってみたらいい。理解なんかされなくていいし偏見があったっていい。普通の人と同じ権利が欲しいだけという話だ。
同性婚が通ったら家族が壊れると言って、この点に反対している時点で現与党は無理だ。異性婚の夫婦間に生まれたが、家族なんて最初からぶっ壊れていたよ。

自分は、今最も解決したい問題は戦争だ。
戦争はしたくないし、どこでも起きないで欲しい。よく沖縄料理屋に貼ってある喜納昌吉さんの「すべての武器を楽器に」。バカにされがちだけど、本当にそうなって欲しい。
大きな国が戦争を起こしている最中だから「軍事費を拡大して敵基地攻撃をできるようにしましょう。」
これはもう戦争に加担するということだ。この点に賛成している時点で現与党は無理だ。

一人でも多く、正しいことを唱えて、弱者に寄り添ってくれる野党議員が当選しますように。
昨日の事件を受けて衝動的に与党に投票する人が増えませんように。
街宣で見かけた良さ気な人柄や、知名度や、情に訴える演説や、他党の極端な悪口に流される人が増えませんように。
ジャンプの人気投票とかで全然人気ないキャラに票を集めて楽しむ、的な動機でおかしな主張をしている政治家に面白半分で投票する人が増えませんように。

そして何より、野党気になってるけど、どうせ負けるから投票しない、という人が減りますように。
今選挙期間中、東京神奈川の候補者30人くらい演説を聞いて回って、「自由と平和」を掲げている共産党が最も小泉今日子で、その中でも「憲法が希望」を唱え、弱者側の話ばかりしてくれる山添拓さんが最高に小泉今日子でした。



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