11月18日のOA

2020年12月18日 06:32

イタリアの新型コロナウイルスを振り返る

3月上旬、イタリア北部から急激に広まり、
瞬く間にロックダウンへに入りました。
約3ヶ月間籠り、初夏に徐々に解除していきました。

出回れるようになりましたが、
マスク着用とソーシャルディスタンスは
継続するよう政府からの指示は出ていました。

真夏には、一日の感染者数が100人台にまで減り、
安心した人々は、これまでの停滞が爆発したように、
外へ外へと足を伸ばしていきました。

旅行の補助金促進もあり、こんな小さな田舎町でも、
ヨーロッパ各地からやってくる人を何度となく見かけました。

子どもたちは、ロックダウンから流れるように学年末を迎え、
夏休みになっていきました。
そして9月からは新学期が始まるということで、
半年ぶりの学校に嬉しさと、ウイルスへの不安を抱えたまま登校。

その不安は的中するかの如く、
人の動きが広がった分、ウイルスも再び拡散していき、
学校でもクラスターが起こるほどあっという間に春の状況を上回りました。

10月の中旬から、一週間に1万人ずつ増える状況。
ピークは11月上旬、一日の感染者数はなんと4万人にまで達しました。

3つの色分けで規制を区分

イタリアでは、州ごとに3つの色に分けて規制を行っています。

レッドゾーンはロックダウンを行っています。
一つ下のレベルはオレンジゾーン。
　　週末のショッピングモールや商店は閉鎖。
　　小中学校は対面で高校以上はオンライン。
3つ目はイエローゾーンで、
　　飲食店は朝から夕方まで店内での飲食可能。
　　

そして、私の住むトスカーナ地方はというと、
レッドゾーンということで、再びロックダウンになりました。

私は、Sushiレストランでウエイトレスをしていますが、
どの飲食店も現在は、持ち帰りと宅配の営業を続けている状態。
私は、自宅で過していますが、メニューをオンラインで注文できるように、
システムの手伝いをし、リモートワークのような状況です。

とはいえ、前回のロックダウンに比べて結構軽めです。
ガチガチに閉じ込められていない。
人権が守られているようにも感じます。

何が閉まっているかというと、
イタリア全土で美術館、ジム、娯楽施設などが閉鎖しています。

街をウォーキングしてみると、
アクセサリーショップや大人の服の販売は行っていません。
ベネトンに行くと、大人の服コーナーは、
立ち入り禁止のテープが張り巡らされれ、
ショーウィンドウには、子ども服のみが並んでいました。

イタリア全土で、夜10時～朝5時まで不要な外出は禁止。(犬の散歩も不可)
そして、外出する際は必ず、証明書を所持していなければなりません。
買い物やウォーキングでも必要で、持っていない場合の罰金は約5万円です。

ライトロックダウンと呼ばれるワケ

ライトなロックダウンと言われていて、
レストラン以外の飲食店、
カフェに当たる「バール」や「ケーキ屋」「ジェラート屋」など、
春のロックダウンは営業禁止でしたが、今回はレストラン同様、
持ち帰りと宅配のみの可能となっています。

イタリアでは、エスプレッソなどのコーヒーを
一日に何回も飲む習慣があります。
朝食、昼食後、間食にとちょっとした休憩に欠かせません。
お店が開いている！というだけで、気持ちの面で余裕が生まれます。
ちょっとお出かけする理由にもなります。
ライトと呼ばれる大きな理由の一つと言えます。
しかしながら残念なことがあります。

お店の前で立ち飲みや立ち話している人が多くいることです。
そのほとんどが男性。しかも東ヨーロッパの人ばかり。
居場所がない上に、行き場もないんでしょうね。

そんな人だかりの間を通るのも嫌気が差すので、大きく迂回します。
警察はその人だかりを無視しているので、信用度がさらに下がります。

さて、ライトというもう一つ大きな点は、
ランニングやサイクリングに"遠くまで"行けること。
前回は、家から1キロ以内の場所で散歩する今年かできませんでした。
もちろん、車や自転車に乗ることさえ罰金の対象。

今回は「個人」で運動することが可能です。
本当に、走る人やサイクリングをする人をよく見かけます。

この他に、春時期にしまっていたお店が営業して、
なんだかホッとしています。
美容室や理容店、クリーニング店、
本屋、文具店、園芸店、車のディーラー、化粧品店、
スポーツ用品店、子どもの服や「おもちゃ屋」も。

これらのお店は一年の内のもっとも重要な季節がやってきます。

そう！
クリスマス！

ホッとするニュース

先月、こんなニュースがありました。
5歳の男の子が、首相に向けて手紙を書きました。

僕は、サンタさんを心配しています。
サンタさんが、世界中の子どもたちにプレゼントを渡せるように、
特別な外出許可を発行してもらえませんか？
だって、彼は高齢だから家々に行くのは危険。
でも、必ずマスクをつけて安全にしてやってくると知っている。
クッキーと牛乳と一緒に、消毒液も置くことを約束するよ。

イタリアでは、子どもたちがツリーの下に、
クッキーと牛乳を置いて、サンタさんをおもてなすという
風習があります。5歳にして粋な手紙を書いています。

これに対し、コンテ首相は返信しました。

安心してね！サンタは、世界中の子どもたちにプレゼントを配るための、
国際的な外出許可証を既に持っているよ！
サンタさんに、ウイルスを追い払ってとお願いしたいと思うけど、
自分の欲しいプレゼントもお願いすることを忘れないでね！
ウイルスの問題は、僕たち大人が成功してみせる。
はやく、友だちと自由に遊べて、気兼ねなくハグできるようにね。

多く寄せられる声の中から、子どもたちに
夢のある回答をした首相の対応に、
全国民だけでなく、世界中が胸をなでおろしました。

中国より先に新型コロナウイルス発見か

ロイター通信の記事によると、

イタリアの新型コロナ感染、昨年9月時点で拡大の可能性＝研究

というニュースが11月中旬に報じられました。
WHOは、昨年の12月に感染流行が報告されるまで知らなかったようです。

しかし、
イタリアの国立がん研究所は、新型コロナウイルスが
昨年の9月時点で既に広まっていたとの研究を発表しました。
当初より早い時期に中国以外で拡大していた可能性も示唆。

その研究は、
昨年の9月～今年3月までに肺がん検査に来た人のうち、
11％が2月より前に、ウイルスの抗体を形成したと報告。
他の研究も記載されており、昨年の10月初旬の時点で、
4人が抗体を保有していた。つまり、9月に感染していた。
その大半が北部の街の人々だった。ということです。

実は、身近でそんな話を聞きました。

この夏に、夫の叔母さんが亡くなりました。
96歳を超え、老衰だったということです。
数年前まで一人暮らしをしていた元気な叔母。
私のことを「SUSHI」と呼び、
この年齢で、日本という国を認識していたことと、
SUSHIを結びつけた回路に天晴れだとみんなで笑いました。

さて、話は彼女の葬儀でのこと。
子どもや孫たちは、昨年の晩夏に一度肺炎になったと話していました。
それでも無事に乗り越え、施設で穏やかに暮らしていたようです。

親族の見解から、あの症状は新型ウイルスだったと思うとのことでした。
それを聴いた当時は、
「へぇ〜、そんなこともあるかもしれないなぁ」
という程度でしたが、今となっては、
こんな田舎でも、その症状を持った人がいたことに、
少しゾッとする想いです。
無防備に暮らしていて、知らぬ間に感染し無症状で過ぎ去って行った。
既に私たちは抗体を持っているのかもしれません。

そして最後の話題。

アジア人に対する差別

フランスのニュースでは、
アジア人に対して差別的な行動や発言があると報じていました。

新型ウイルスの発生源と言われている中国人に対して
嫌がらせをするという行為。
同じアジア人だからと言って、日本人も外出を控え、
目立たないようにしているというものでした。

実際、イタリアではどうかというと…
私は受けたことはないです。

そもそも、イタリアの歴史に注目してみる必要があります。
イタリアという国は、建国してわずか74年しか経っていません。
別の国々が一つとなり、今のイタリアへと統一されました。

ですので、人の外見や言葉は全く違っています。
北部は、肌が背が高く肌が白く金髪の人が多い印象です。

南部は、ガッチリした体型に、髪や目が黒々とした人が目立ちます。

長らく、南部は深刻な不況や教育格差・マフィア等の問題を抱えています。
このこともあり、地方へ勉強や仕事を求め出る人が少なくありません。
ですので、全国どこでも南部の人を見かけます。
反対に、北部の寒い地域から暖かく穏やかな気候を求めて南下する人も。

そして、ヨーロッパという地域に目を向けてみると、
1993年のEUの発足により、ヒト・モノ・カネ・サービスが自由になり、
ビザなしで国境を跨げるようになりました。
もちろん、イタリアから他の地域へと新天地を求めて行った人もいますが、
他から入ってくる人も少なくありません。

イタリアの人口約6000万人のうち、500万人つまりおよそ1割が外国人。
中でも、東ヨーロッパのルーマニアやアルバニアからが多く、
次いで、モロッコ、中国、ウクライナ、
フィリピン、インド、バングラディッシュ、
エジプト、パキスタンと並びます。

ちなみに日本人は、約8千人と全体の0,15％しかいません。

ということで、
街を歩いていて外国人に会わないということが
まず、ありえません。
また、イタリア人だけで集まるという状況も難しく、
親族や家族が外国人である確率も低くないのが現状で、
私の住んでいる建物の中を見ても、
15世帯あるうちの3世帯に、外国人が暮らしています。

よって、私は今までアジア人だということで、
貶されたり、差別的な言葉をかけられたりしたことはありません。
「ニーハオ！」と言われることはあっても仕方のないこと。
私の住む市には14人しか日本人がいないので、
アジア人のほとんどが中国人と考えてしまいます。
韓国人はもっと少ないんです。
知り合えることの方が貴重と言えます。

極東の地である、日本は彼らからすると未だ、
謎に包まれた国というイメージがあるようです。
Sushiレストランで、私が日本人だと知ると、
物珍しそうにまじまじと見てくる人もいます。

フランスは、文化・伝統・言語を長らく継承してきたことから、
異文化を受け入れ難くなっているとも考えられます。

好奇心ある人々の中で暮らしていけることは、
幸せな状況なのかもしれないと、
改めて考えさせられました。

※ 記事を公開するのが遅くなりましたが、
記録として保存しておきました。悪しからず。

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