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早撃ち0.3秒のプロフェッショナル
原作ではなくアニメ版こそが「ルパン三世」というシリーズの基本フォーマットを決定した面というのが少なからずあってーーそれはまず例えば銃器や車両などといったメカニックに関する設定なり描写なりに関してだったりする訳であります。アニメ「ルパン」が確立した所謂実証主義といったものは原作の時点では存在しなかった要素で、その後の「ルパン」シリーズの基本フォーマットを決定しただけに留まらず、アニメ作品全体に広く深
もっとみるアルセーヌ・ルパンの遺産
久しぶりに原作ルパンを纏めてちょっと見返していたんですが…
原作(旧)第60話「ジャリ」の中で、前からボンヤリと気になっていた事が、やっぱりどうにも気になってしまったので、その件について今回ちょっと調べてみたところ…五里霧中になってしまいました(苦笑)
引っ掛かってるのは「ジャリ」におけるアルセーヌ・ルパンの遺産の問題なんですが…まずこの回は第58話「遺産7200億」とリンクしてるのかしてい
「風魔一族の陰謀」の問題点
「風魔一族の陰謀」という作品は演出・構成面に難があるという話をこれまで再三に渡って繰り返して来ましたが…具体的には何処がどう問題だったのか、もうちょっと詳しく私見を纏めておこうと思います。
まず最初に断っておかなければならないのは、前半部には全く何の文句も無いという事です。此処で言う前半部というのは、温泉街のカーチェイスの後、山道を逃げるルパン達に不二子が合流し、煙幕(けむりまく)によって
「風魔」絵コンテ(シーン77・78・88・89)
●シーン77・78
ルパンが五変化する幻覚シーン。大塚康生と言えば、『歴代ルパンの様々な顔を並べる』という遊びをそれまでにも何度か版権イラストで試みていた訳だけれど、此処へ来て遂に、アニメ本編でそれを実現してしまったというのが傑作ですね。しかも「幻覚の場面である」という設定を巧く活かしたサービスだってのが実に見事です。
●シーン88・89
ラストの場面。解説ではこの場面を「五右衛門と紫の恋
「風魔」絵コンテ(シーン26)
操車場の場面。この場面が大塚康生の趣味全開となっているのは解説にもある通りです。解説では続けて「(※大塚康生が担当した)5つのシークエンスのうち、もっともカメラワークが盛ん。横並びの機関車群の横PAN、光の当たった機関車のトラック・アップ、機関庫全景を捉えた縦のPANなど、機関車の物量・大きさを表現するカットにカメラワークが集中」「対峙の緊張感をFix(固定)の長回しで表現し、ルパンが放り投げ
「風魔」絵コンテ(シーン24・シーン25)
怒濤のカーチェイスシーン。大塚康生の独壇場。ルパンと銭形のコミカルな再会シーンが対向車の出現によって急展開し、川への突撃、銭ブルの水没、銭ブル復活、そして木造橋上のチェイスといった具合に、見せ場が立て続けにギュウギュウに詰め込まれた名場面。秀逸なアイデアが惜しみなく注ぎ込まれ、尚且つそれを魅力的に描き切っている物凄さ。
更に特筆すべきなのは、その緩急の付け方が素晴らし過ぎる程に素晴らしい点
「風魔」絵コンテ(シーン4・カット8~シーン5)
冒頭のアクションシーン。映像研究家の叶精二氏も解説部分で指摘しているように、カメラワーク等に頼らず、複雑なアクションをじっくり見せている点が素晴らしい場面です。こうやって動きを丹念に描き切るのは当然難度が高いですから、テレコムだからこそ見事に達成出来た場面だと言えるでしょう。そしてこの見事なアクションシーンが物語の冒頭に置かれる事で、観客はグッと作品世界に惹き込まれる訳ですね。物凄くキャッチーな開
もっとみる「風魔一族の陰謀」絵コンテ
「おもちゃ箱2」は滅茶苦茶に資料性の高い同人誌な訳ですが、とりわけこの「風魔」コンテ・大塚康生パートの収録は大快挙でありましょう。「風魔」の絵コンテと言えば、「CGWORLD」2007年11月号にその一部(※1)が掲載された事がありましたが、何しろ今回は『大塚康生担当分全部』ですかんね。映像研究家・叶精二氏の解説(※2)に拠れば、大塚パートは「風魔」本編中の約2割に相当するとの事。その解説では
「風魔一族の陰謀」 の新規路線と問題点
(前略)
より詳しく改めて語られた制作の流れだとか、あるいは絵コンテの分担の詳細、ロケ地・モデル地の詳細、大塚康生自身が総括した反省点などなど、興味深い言及が盛り沢山な内容となっている本インタビューですが、個人的に最も収穫だったのは「ルパンと風魔の取り引き場所に機関庫を設定したのは大塚康生だった」という部分でありました。勿論それは容易に推測可能でしたから、新事実・新発見といったニュアンスではな
近日参上!ルパン三世
(前略)
ところで、此処で大きく採り上げられている「風魔一族の陰謀」という作品は、ルパン史を考える上で極めて重要なターニングポイントになっていると同時に、個人的にかなり思い出深い作品でもありますので、今回はちょっと「おもちゃ箱2」の感想から外れて、「風魔」に関連する自分語りを垂れ流しておこうと思います。
OVA(※1)「風魔一族の陰謀」(※2)製作決定のニュースを最初に知った時はそりゃあも
ルパン三世とキリコ・キュービィー
(前略)
このPARTIII前夜の記事が目当てで買った「ジ・アニメ」83年11月号だったんですが…それとは別に、もう一つ思い掛けない収穫があったんでござーますよ。「装甲騎兵ボトムズ」の特集記事として脚本家・吉川惣司のインタビューが掲載されていたんですが、その中で「マモー編」に関する言及が。
「そう……こう言うと誤解されるかもしれないけど、ボクは『ルパン三世』(劇場映画第1作。吉川氏が監督だ