サロン「月のはなれ」
その時僕の目の前には彼女が座っていて、そして彼女の目の前には僕が座っていた。
久しぶりの再会ということで、本来ならばもう少し喜びを表現するところなのかもしれないが、仕方ない、僕たちは上手い別れ方ができなかったのだ。
これがもう少し年をとっていたのならば、後腐れなく(少なくとも表面上、体面上は)自然に離れられたのかも知れないが、それをするには当時の僕たちはいささか若すぎた。
結果として僕は彼女を傷つけることになったし、そして彼女もまた僕を傷つけることになった。
そのようなことが