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永久の星よ。愛しい星よ。#クリスマス金曜トワイライト2023 ③

あの2020年クリスマス金曜トワイライトが帰ってきました。
この恋愛小説はクリスマス金曜トワイライト2020をリメイクしたものです。

※「クリスマス金曜トワイライト・イベント」とは
2020年のクリスマスシーズンに「恋愛小説をリライトした作品」を表彰するイベント。応募総数57件。総合優勝にはCM映像を授与されました。

※恋愛小説・金曜トワイライトとは
池松潤が書き下ろしたオトナの恋愛小説。
第一回は2020年7月~9月に毎週・金曜日に配信されました。その作品をもとに自由にリライトしてもらうという企画です。第一回開催には1週間で48件の応募がありました。各参加者のフォロワーによりSNSでシェア&拡散されて、さらにnote公式編集部にピックアップされる等ヒット企画になりました。まったく新しいタイプのnoteクリアエイター参加型イベントのために、この恋愛小説は開発されました。


こころから愛しているひとよ。
こころから愛しいひとよ。

平日と週末の境い目。マジックアワーはどんな空でしょう。あなたと一緒に過ごしたい。ずっと一緒に。

※一緒に音楽を聴きながらどうぞ。



永久(とわ)の星よ。愛しい星よ。

教会の天井まで伸びるステンドグラスにパイプオルガンが響いている。綺麗な聖歌が遠くから聞こえてきた。これは夢の中なのか。それとも酸素が足りないからだろうか。ハンドルについた小さなメーターを見ると心拍数は198と表示されている。時速56km。目いっぱい踏んでもこれ以上は出そうもない。自分の脚力を恨むしかない。あともう少し。あともう少しなのに夢に届きそうもない。あの日の自転車ロードレースは最終戦だった。

・・・・・

手が柔らかく包み込まれた。握る手は柔らかく優しい。でも胸は苦しい。これは幻覚なのだろうか。夢なのか。

必死にもがいていた。あの坂を越えればゴールが見える。ゴール直前にエースを送り出せばチームは優勝できる。今まで仕事やプライベート全てを犠牲にしてきた。あなたのことも。。でもそこにはチームの仲間たちの願いがこもっていた。今年で自転車ロードレースはやめようと思っている。僕の賭けてきた全てがこの瞬間で決まる。唾液がヨダレとなって流れていく。視界は白く霞んで、口の中は苦い味が広がっていた。

ビクッとして起きた。疲れで寝てしまっていたみたいだ。横を向くと、あなたが優しく微笑んでいる。再び手が優しく握られた。

聖歌が終わって静かな時間が教会に広がっていた。あなたは静かに微笑んでいる。目をこすると聖母様が見えた。

・・・・・

僕はCMやキャンペーンに振り回されていた。上司にもクライアントにも振り回されていた。賞もなかなか取れなかった。ある日、自転車ロードレースに出るって話をしたら応援すると言ってくれた。走り出したら鉄砲玉みたいな僕をいつも穏やかに見つめていてくれた。ダメな僕をいつも励ましてくれた。

あなたならできる。
あなたが決めた道を行けばいい。

終わりが見えない時代に、希望が信じられない時代に、僕はあなたに優しくなれただろうか?今年も終わろうとしている。あなたへ何と言えばいいのだろう。今日こそ伝えなければならないのに、また寝落ちしてしまった。ダメな僕はどこまでもダメなんだろうか。

・・・・・

スタンド・コーヒー屋で出会った。赤い自転車に乗っていたあなたに恋をした。あれから何年経ったのだろう。2度目に会った時にあなたは痩せ細っていた。だから僕は一生懸命ご飯を作ってあげた。そして仕事に戻る。そんな日が続いて一緒に住むようになった。

数学が得意で、設計図も書けるあなたはインテリアを選ぶセンスが良かった。図面を読むのが上手だった。白いテーブルに花を飾った。あなたはいつもニコニコしていた。仕事が大変な時も、毎朝早くに起きてコーヒーを淹れてくれた。長いことそんな時間が普通になっていた気がする。あなたは僕に怒ったりすることはなかった。

果たせない想いと 願いが叶わない時代。想いとエゴが葛藤する。限りある時間や希望が信じられない時代に、僕は何と言えばいいのだろう。あなたは私の星。人生の航海に必要な目印だから。

・・・・・

教会を出て歩く2人の影は長く伸びている。もうすぐ陽が暮れる。ゆっくり歩いた。どこまでも。川沿いの道はどこまでも続いている。

『今日もいい日だったね。ありがとう』
あなたが僕の目を見つめて静かに言う。

『今年もいい年だったね。ありがとう』
あなたの茶色くて青い淵の瞳が大好きだ。

僕たちは通りに面したバルの窓際に座った。

『乾杯』

僕は姿勢を正した。静かにポケットから指輪の入った青い箱を出した。メッセージカードを添えて、あなたの前にそっと置く。

『....結婚してくれるかな』

あなたの瞳から星の雫が流れるのが見えた。雫はどこまでも透明で美しい。片方の手が柔らかく包み込まれた。握る手は柔らかく優しい。胸が苦しい。これは幻覚なのだろうか。夢なのだろうか。
これからも、ゆっくりと一緒に歩いて行ければいい。

『約束するよ。この気持ちが永遠だと』
『....はい』

いっぱいに広がった笑み。
僕はいまあなたと一緒に生きている。

こころから愛しているひとよ。
こころから愛しいひとよ。

いま愛していると伝えたい。
目いっぱいまで幸せで満たしてあげたい。
あなたとクリスマスを一緒にすごせる幸せに感謝します。
僕の愛の真ん中にはいつもあなたがいるから。


第三話おわり
#クリスマス金曜トワイライト2023

Special Thanks for Proofreading 2020
仲高宏 嶋津亮太


今年も読んで頂きありがとうございます。
皆さま来年もステキな年でありますように
心から祈っています

#リライト金曜トワイライト
#金曜トワイライト
#クリスマス金曜トワイライト2023


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