見出し画像

60LED/60pxのLEDバー Super ScenografixをTouchDesignerから使う

画像1

画像2

画像3

去年あたりからかよく使っているLEDバーを紹介してみようと思う。特に最新商品というわけでもないが実際に使ってみてどうだったかを述べる。

ほぼほぼLEDの話で、TouchDesignerに依らない内容ではあるが、最後にTouchDesignerのサンプルを載せている。

これは何?

いわゆるLEDバーと呼ばれる機器。DMX対応。PCやDMX対応機器(プレイヤーとか卓とか)から制御できる

それ以前に出会ったLEDバーはついているLEDに対して1LEDづつ制御できるものが少なく、1LEDづつ制御できるものを探していた。加えてドットレス、つまり光の粒が直接見えない拡散カバーがついているものがいいなと思っていた。アリババを放浪していたときに見つけたのがコレである。

初めて使ったのはこのSawa Angstromと一緒に京都水族館でやったライブの時。

商品

Showjockey TECHNOLOGY Co., Ltd.という会社の、Super Scenografixという商品。

Alibabaで買った。

Alibabaどうなの?

Alibabaで、と言うとよく聞かれるのが、品質についての質問。

確かにあまりよくない商品やよくないサポートもまだあるのだと思う。が、この会社については今の所、良い印象しかない。使い方がわからなかった時に質問を投げたらすぐに回答してくれたし、見積もりもすぐにくるし、梱包もガッツリとちゃんとしてて、品質も価格を考えると全く問題ないと思っている。納期の相談にも善処してもらえたと思う。

買ってから知ったが実績も多い会社の模様。

https://showjockey.en.alibaba.com/

リーズナブル

アリババのページの表示には価格に幅がある。僕は30本ほど買って1本あたり3500円くらいだった。たくさん買うほどボリュームディスカウントもきく。

ガッツリした会社が買うにはもっと高くてもっと信頼感のあるものを買うかもしれないが、個人として取り入れるには非常にありがたい。

60LED,60px

最初に述べたように1LEDづつ制御できるのが魅力。1mほどのバーにLEDが60個ついており、それを1個づつ制御できる。つまり60px/60LED/1Barである。

スピードの速い演出をやる場合にはもう少し大きなLED単位、4とか6個単位の制御でも問題がなかったりするのだが、ゆっくりじんわりした表現をやるには制御単位が小さい方が良い印象。

Alibabaを検索するとわかるが、そもそも1LED単位で制御できる商品の方が少ない。

24V対応

たくさんつなげようとすると問題になってくるのが電圧。伸ばすほど電圧が下がってうまく点灯しなくなるので、電圧は高いと長く直列に繋ぎやすくてありがたい

例えばArduinoとかかからパっと制御しやすい5VのLEDテープなどは、5V故にすぐに電圧が足りなくなる。定番のNeopixelなんかは最近電圧が高いやつが出たけど最初は5Vしかなくて苦労した記憶が。

とはいえ24Vあってもときには足りなくはなるので、足りなくなったら足せば良い。途中で継ぎ足す用のケーブルも別売だが買うことができる。

ボールジョイント

画像4

LEDバーがあれば立体に組みたくなってくる。プロジェクションより解像度は低いが立体にできるのが表現上の利点だと思う。

ところが立体に組むのは結構やってみると大変である。ジョイント部分に強度が必要だし、別途骨組みを組むとなるとそれはそれで面倒。

このLEDバーは専用の金属製のボールジョイントに対応していて、↑の写真のようにある程度立体に簡単に組むことができる

画像7

(https://www.alibaba.com/product-detail/DMX-digital-pixel-Milky-tube-360_62088943903.html より引用)

↑これは別のLEDバーと一緒に写った写真だが、こんな感じで金属製のボールに予めいくつかの角度でたくさんの穴が開いている。

画像5

(商品ページ https://www.alibaba.com/product-detail/1000mm-5-24v-DMX-led-light_60689388519.html より引用)

↑商品ページを見ると、このくらい大きいものも組めるようだ。やりたい。

一つ一つがDMXデバイス

1本1本がDMXデバイスなので、スタートアドレスを設定できる。つまり、あるLEDバーとあるLEDバーを同じ動きでまとめて制御したり、または違う動きにしたり、を好きに設定することができる。

直列に接続できる

またDMXデバイスなので、デイジーチェーン、数珠つなぎにして使うことができる。もちろん電源の問題や、DMXは512チャンネルまでしかないという問題はあるが。

ケーブルも専用で長いのが売ってる

有線となるとケーブルがどうしても長ーくなってくる。自分で作ったりは面倒。専用の4Pinケーブルが1m,5m,10m、とあるのでそれらをワサっと買っておけば良い。ちなみにそれぞれのケーブルも次足せるので適宜。そして防水対応のジョイント。屋外でも、お酒こぼされたりしそうなクラブでも、あまり気にせず使える。

DMXがたくさん必要

とはいえ、チャンネル数の問題はある。どういうことかというと、1本に60LEDついていて、それを1LEDづつ制御できる、つまり60px、ということはその1pxづつにRGBの3チャンネルを使う。

1LED Bar = 60LED = 60px = 60px * DMX 3ch (RGB) = 180ch

1本で180chも使ってしまう

DMXは512chしかないので、60pxフルに制御しようとすると、実は1DMXあたり、2本分しか制御できない

冒頭の水族館でのSawa Angstromの時はLEDを32本、それを1DMXあたり2本づつ制御したので、16DMX必要だった。

でちゃんと同じ会社からDMXをたくさんOUTできるコントローラーが売られているのでそれを買えば良い。

16OUTなので、1DMX OUTごとに2本分制御できると考えると、32本が最小単位としてちょうどいいかな、と思って32本買った。(もちろんアドレスを重複させたり制御単位を大きくすればもっと接続はできる。)

画像6

https://japanese.alibaba.com/product-detail/amazing-16-nodes-sj-dmxe16-dmx-light-controller-dmx512-artnet-box-dmx-controller-rgb-showjockey-oem-62028760902.html より引用)

これはArtnetでDMXを制御できるコントローラーなので、PCからはLANケーブル1本接続するだけ。簡単。後やっぱ安い。

チャンネル数を変えれる

とはいえ毎回そんな細かく制御するのは大変だし、そこまで必要ない場合も多い。

このLEDバーの便利なところは、専用のDMX Writerというデバイスがあって、それを買うと「この1本のLEDバーを何pxとして制御するか」が設定変更できる

つまり

60LEDを60pxで制御する→180ch→1DMX(512ch)で2本分しか制御できない

だが

60LEDを30pxで制御する→90ch→1DMX(512ch)で5本分制御できる

ようになるし、極端にいえば

60LEDを1pxで制御する→3ch→1DMX(512ch)で170本分制御できる

ということになる。ただし実際には電源の問題もあるし遅延もあるので170本も直列に繋いで使うことはないと思うが、でもとにかく変更できるのは良いことである。

ちなみに、アリババを眺めていても、変更できない製品も多い、というか変更できない製品の方が多いと思う。

ボールの精度はちょっと甘い

褒めてばかりもアレなので、もっとよくなったらいいなというところ。

先に述べたジョイントボールは、金属製のボールに穴が開いているものなのだが、これの精度はちょっと甘い。バー自体の加工の綺麗さに比べるとちょっと粗い印象を受ける。

で穴の精度が甘いということは、例えばピタっとまっすぐ垂直に、何本も揃えて立てるというのはなかなかうまくいかない。パっとやって綺麗にそろって見えるということはない。手動で微調整が結構必要だった。

画像8

なのでこの↑垂直水平方向のバーの部分などは結構苦労した。(STARRYWORKSさんに多大なるご協力いただいたのでありがとうございました。)

冒頭に挙げたSawa Angstromの水族館ライブで真っ直ぐたてて並べるのもめちゃくちゃ苦労した。手調整。

一方で

画像9

↑こういう形は全然悩まずに組める。

ジョイント部分のバネがちょっと弱い

あとそのボールとバーを接続する部分はガチガチに硬いものだとつけ外しもしづらいし脆くもなるので、ある程度遊びもあり、バネの機構が入っている。

そのバネ部分はどうしてもちょっと弱い。壊れやすい。他の箇所はまだ壊れていないが、そこだけ壊れたバーがある。

とはいえ3500円だしまあいいか、と消耗品と割り切れる価格帯だと思う。

まあDIYで直したけど。

LED1本のスペック

重量 0.87kg
サイズ 1000*33*33 mm
Voltage 5V-24V
Power 15W

重量は1本1kg以下。めちゃくちゃ軽くはないが、そんなに重くはないので、普通に展示用のフックとかで吊れる。吊りは楽しい。

ケース

購入すると、今度は現場への運搬とかが問題に。最初に入っていた段ボールはすぐへたるので、ケースが欲しくなる

機材屋さんとかはガッツリしたジュラルミンケースなんか使ってることが多いですが、嵩張るし、まあそこまで高い機材でもないし、、、ということでプラダンでケース制作した。

と言っても手作りではなく、指定サイズで注文ができる。

↓出来上がり。黒いやつ。

画像19

画像20

画像21

参考に僕の注文したサイズを書いておく。

注文したのはここ↓。

プラダンケース オーダーメイド | プラダン販売・通販【ダンボールワン】 https://www.notosiki.co.jp/pladan/ordermade/case

まず前提として、宅急便で送れるように160cmサイズに収まるように作ります。後32本がちょうどキリよくおさまるようにしたかった。

ダンボールの厚みを0.5cmとして
160cm - 0.5cm*2*3 = 157cm
を3辺の合計サイズとして割り当て。

LEDのサイズを基準にして、長さ方向は109cmとして
幅を31cmで、1層に8本がおさまる。

残りを高さに振って、1cmをバッファとして見て高さ16センチ。結局

109cm x 31cm x 16cm (合計156cm)

さらにオプションで付けれるパーツがいくつかあり以下のようにした。

・マジックテープ : 上下フタ
・取っ手 : 袋取っ手
・ベルト : あり
・付属品 : カードホルダー、エンボスシールあり

それに加えて、層の間に挟む緩衝用ダンボールも同じサイトで作った。作った箱のサイズに合わせて

108cm x 30cm

箱ではなくシート状のものはこちらのページ。↓

プラダンシート オーダーメイド | プラダン販売・通販【ダンボールワン】 https://www.notosiki.co.jp/pladan/ordermade/sheet

作ってみた感想としては、

・底にも1枚シートを入れた方がいい
・幅方向の31cmは少し余裕があった
・取手はあった方がいい
・エンボスシールは無視して伝票を結構貼られる
・ベルトもあった方がいい
・カードホルダーはあんまあり使ってないなぁ

という感じか。写真にある、LEDとLEDの横方向の隙間に挟んでいる段ボールも本当はプラダンで作ってしまいたかったのだが、サイズ的に対応してなかったので購入時に入っていたやつを使った。

基本最小構成

画像10

PCから制御する場合の、基本的な構成はこんな感じになる。

1. PCからLANケーブルでDMX Artnet Controllerに繋ぐ。
2. DMX Artnet ControllerでDMXに変換される。
3. T字になった専用ケーブルでDMXと電源を合流して4線のケーブルに変換される。それをLEDバーに接続していく。
4. あとはデイジーチェーン。

基本的にどれも専用のジョイント、専用のケーブルなので、まるっと専用品を使うのが面倒がない

Alibabaはすぐにアクティブにチャットが飛んでくるので、このくらい欲しいんだけど・・・というと必要なケーブルや周辺機器一式を揃えた見積もりをサっとくれる

ケーススタディ

画像11

画像12

画像13

ケーススタディとして、2019.12.14に京都の上賀茂神社別棟で行われた「REITEN presents GANCHIKU PROJECT “Multi Sound Ambient Live Performances”」に参加した際の構成の一部を紹介する。

Mark Fell, Rian Treanor & Kohei Matsunaga: REITEN presents GANCHIKU PROJECT "Multi Sound Ambient Live Performances" | クラブミュージック情報サイト HigherFrequency ハイヤーフリケンシー

この時は全部で100本以上を投入し、屋内と屋外を照明演出した。(足りない分はSTARRYWORKSさんに借りた、ありがとうございます)

全てを同期する必要がなかったので100本を3グループに分けて、3台のPCからそれぞれ制御したが、そのうちの最も本数の多いグループを例にとる。

以下がハードウェア構成図である。noteだと解像度が低くなって見えないっぽいのでGitHubにもう少し大きい画像がある。(https://github.com/ikekou/touchdesigner-superscenograpfix-example/blob/master/casestudy-reiten.png?raw=true

画像15

1台のPCからルーター(またはスイッチングハブ)を通して2つのDMX Artnet Controllerに接続した。

一つ目のグループは、写真の障子の外から室内を照らすグループ。縦に2本接続したバーを垂直に立てた。

二つ目のグループは、写真のピラミッド型のオブジェのグループ。こちらは1ピラミッドあたり8本なので、合計で16本。

それらを1台のPCから、TouchDesignerで、ライブのオーディオをインプットしてリアクティブな感じで制御した。

オーディオ取り込み用に、PCにはUSB Audio Interfaceを接続している。

↓そしてこれ以外に屋外で4*10くらい並べて制御したりなどした。

画像15

サンプル

最後に、TouchDesignerから制御する際の簡単なサンプルをつける。

ikekou/touchdesigner-superscenograpfix-example https://github.com/ikekou/touchdesigner-superscenograpfix-example

画像16

横120px縦16pxのTOPを用意して、それを横1列120px縦1px分を1つのDMXユニバースに流している。

これはつまり60LED/60pxに設定したLEDバーを2本直列に接続した場合のパターンである。したがってハードウェアとしてはこうなる。

画像17

直列に接続されているLEDの1本目はスタートアドレスを1、2本目は181を設定する。設定と言ってもTouchDesignerの話ではなくて途中に出てきたDMX WriterでLEDバー自体に設定する。

と、TouchDesignerのTOPの絵がLEDで再現できる。はず。

SPEKTRA

とかそういう照明とか映像とか使って演出やってみたり、インスタレーション作ってみたり、ハンズオンワークショップしてみたり、トークイベントしてみたり、と言った活動をSPEKTRAという名前をつけて有志のみんなでやってる。

画像18

SPEKTRA (@spktrjp) / Twitter https://twitter.com/spktrjp

コレクティブとコミュニティの混在したような、また実験とティンカリングを指向した、存在でありたいと思って試行錯誤中。

#technology #audiovisual #touchdesigner #dmx #artnet #led

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?