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【読んだ】『違国日記』5巻

  この夏に読んだ1~4巻が刺さりすぎて、待ちきれなかった新刊。漫画家さんのTwitterで見て、本屋さんで確認し、でも金欠すぎて買えなくて、友人にお願いして手に入れました。(というか、「買って貸してほしい」とお願いをしたところ、「途中の巻から持つのも……」と言われ、「じゃあ、あなたの物なんだけど、私の家で預かるっていう」という謎の提案をしたら快く受け入れてもらいました)しかも泣けるメッセージつき↓で我が家に届くという。本人まだ読めてないのに、私が先に読んでる。ごめんね。優しさに乾杯。

 ネタバレにならない感想を書く術がいまだに身につかないので、うまく書けないのですが、想像以上に5巻もよかったです。

 主人公のひとり、高校生の朝は5巻にしてようやく両親の死と向き合うことになります。そのきっかけになるのが「母親の残した日記」なんですが、それはもうひとりの主人公・槇生(朝のおば・小説家)にとっても、亡くした姉と向き合うための大事なアイテムになるという。5巻は亡くなった母親・実里のエピソードが中心になって進むのですが、この人の感じてることも共感する人が多いんじゃないだろうか……。

 私にとってこのマンガのすごいところは、出てくるキャラクターのいろんな面がちゃんと描かれてること。一方向からの要素じゃなくて、こんな面もあるけど、こんな部分もある。物語を描くとき、主人公がいると、その人の視点だけで語られてしまいがちですが、現実生活ってそうじゃない。出てくる人の数だけ主観があって、その人なりの正義がある。一方から見ると理不尽に思えることも、別方向から見ると仕方ないと思えることだったりする。そういうことを自然に読ませてくれるって、なんかすごく救われるなと思うんです。

 30代半ばの槇生は、印税でマンションを買えるだけの人気を持つ少女小説家だけど、繊細で人付き合いが苦手。お坊ちゃん育ちでエリート街道を進んできたように見える笠町くんも、実は悩んできたことがある。どのキャラクターにも自分の人生があって生活があって、悩みながら生きている。5巻の帯に、

『これは私の物語だ』と
思ってくださる方がいたら、
その方のために
描いている
―ヤマシタトモコ

という文言があるのですが、これもまた刺さるんですよね。そう思える人がたくさんいると思う。そういう描き方をしてくれている作品だから。6巻はまた半年後かーーー。楽しみに待ちたいと思います。


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