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IRONMAN Cairns 2023 レースレポート

7年振り2度目のIRONMAN Cairnsに参加してきた。

レースまでのトレーニング

宮古島のレース後、2週間は軽めメニュー。GW後半にひたちなかTT(自動車のテストコースをひたすらグルグル)90kmと、翌日160kmロングライド。5月半ばに伊豆いちを2日間で(これはトレーニングよりはお楽しみライド)。それ以外は通常運転(朝スイム4回、インドアバイク2〜3回、ジョグ2〜3回、外乗り+ジョグ1〜2回/週)。バイクがだいぶ楽しい。スイムも少しずつだけど速くなっている。ランは…もう少し(膝を治さないと)。

昨年11月のIRONMAN MalaysiaでKONAのスロットが獲れたので(行く前にエントリーしていた)どうするか少し迷ったけれど、仲間と楽しもうと参加を決めた。どこまでやれるか、試してみたかった。

日曜: レース1週間前

余裕を持って早めにバイクのパッキング開始。中腰で作業してふと立ちあがろうとしたとき、腰にビリっと痛みが。初ギックリ。まともに立てない、歩けない。

もともとコンディショニングのために治療院を予約していたので、とりあえず向かうことにする。家から最寄り駅まで、徒歩2分だけど、うまく歩けないので余裕を持って出発。マンションのエントランスに辿り着くまでに10歩ごとにお尻から膝あたりまでズーンと痛みが降りてきて立ち止まる。傘を杖代わりに、痛みが通り過ぎるのを待ってヨロヨロと。これはCairnsどころか、治療院にも行けないかも、という状態。レースまでにどこまで戻るか? 泳げるか?? 自転車は?? ランはできないだろう。まぁ、仕方がない、フルタイム楽しもう。

やりかけだったパッキングを慎重に終える。急な動きをせず、立つのも座るのも、体の向きを変えるのも、丁寧に、慎重に。

月曜: レース6日前

トライアスロン仲間の整形外科へ。レントゲンは異常なし。典型的(?)なぎっくり腰らしい。理学療法士さんに骨盤周りを調整してもらい、背中に痛み止めの注射を2本打ってもらう。コルセットを巻いて、少し楽になったような気がする。

火曜: レース5日前

いきなり海は不安だから朝スイムに行っておきたかったけどとても無理。夕方再び治療院へ。痛みはだいぶ軽減して、杖(傘)なしで歩けるまでにはなったものの、時々ピリッと痛みが走って走るどころではない。背中にテーピングをしてもらい、予備のテープを3組ほどもらって帰る。レースまでには少しは動けるようになるでしょう、とのこと。少しってどのくらいだろう?

背中にガッツリテーピング

水曜: レース4日前•出発

ギリギリまで仕事(テレワークでほんとに良かった!) 隊長が車で迎えに来てくれて、秦さんがバイクを積み込んでくれた。ありがとうございます!電車ではまず行けなかった!!

荷物の移動は慎重に。ここでもう一度ギクっと行ったら絶望的。飛行機で長時間座りっぱなしになるけど大丈夫かしら?まぁなるようになる(なるようにしかならない)でしょ。

木曜: レース3日前

早朝にCairns着。歩けないほど固まることもなく、無事!

入国手続き、荷物受け取りはスムーズに終わり、大型タクシーでホテルへ。部屋にはまだ入れないので、荷物だけ預けて観光。世界遺産グリーン島への半日クルーズ。ウミガメが見られるかもしれないということでとても楽しみだったのだけど、腰が不安でそれどころではない。。そして、クルーズ船の揺れが酷くて酔った。。。 酔いを覚ますのに散歩してから海へ。ウミガメには会えなかったけど、たくさんの魚を眺めて満足。エイにも遭遇。一緒に行った秦さんたちは、着後すぐに海に入ってウミガメに会えたらしい。ちょっと残念なことしたなぁ。

バーガー屋でランチ

午後に会場で選手登録とIRONMANグッズのショッピング。やっぱりIRONMANの雰囲気はいい!

ホテルにチェックイン後、腰を気にしながらバイクを組み立てる。ホイールをはめたり、サドルやハンドルの高さを調節したり、普段何気なくやってることがスムーズにできなくて、ポンバーに手伝ってもらった。ありがとう!

組み立てたバイクを部屋へ運ぶのだけど、このホテル、エレベーターがない。慎重に、慎重に。

金曜: レース2日前

朝食後、バイクのチェックのため軽く試走。乗れるか?腰に痛みは出ないか??恐る恐る乗ってみたら、気になる痛みはなし。18km、レースの1/10の距離だけだけど、ちょっと希望が見えた。バイクはいけそう!ただし、無理はダメ。

続いてジョグ。10歩走って…振動が痛い。ダメだ、走れない。仕方なく、10min/kmでウォーキング。このペースだと、42kmは7時間。制限時間内にはフィニッシュできそう。だけど、7時間歩くって、それはそれでキツそう。まぁ、やってみましょ。

土曜: レース前日・時々雨

バイク、ギア預託。30kmほと離れたスタートまでバイクを先に運んでもらい、ランギアをT2に預けてからバスでスタートへ。車だと楽ちんだけど、明日はバイク。向かい風でしんどい区間なんだよなぁ。ちゃんと戻って来れるかしら。

T1でバイクを確認し、バイクギアを預けてランチ。チェックインの時にもらったバウチャーが使えるお店でピザをオーダー。美味しいけどかなりのボリューム。会計時、バウチャーを持ってきていないことに気づく。出発前、同室のボンバーにあんなに言ったのに。直前にバッグを変えたのがあかんかった😞あーぁ。

高いバイクラック。ハンドルがうまく引っ掛からなくてタイラップで止められてる

夜は早めに就寝。

日曜: レース当日

3:45起床。レース日の朝食はいつもあまり入らない。ヨーグルト、バナナ、カステラ、味噌汁などやや軽め。4時半過ぎにバスの乗り場へ向けて出発。腰はだいぶマシにはなったけど、ちゃんと走れるとは思えない。やっぱりフルタイムかけて歩くかな。

T1でバイクにドリンクと補給食をセットし、空気を入れる。知った顔が結構たくさんいるので、話をしてリラックス。スタートまではだいぶ余裕があるので、チームメンバーと写真を撮ったり。海はびっくりするくらい穏やか。スタート時刻が近づいてきて、2番目のグループ(1:05〜1:16)の前の方に並ぶ。スイム速くないけど、抜かしていくより少しだけ速めのところにいる方が、抜いてくれる人について行きやすいし泳ぎやすいことに最近ようやく気づいた。週4スイムのおかげで、海の恐怖がだいぶ薄らいで、余裕を持って泳げるようになってきた。

行ってきまーす

スイム: 1:14:17

5th F50-54
84th by Gender
518th Overall
周りがわっと騒がしくなったと思ったら、プロがスタート。なんかあっけない。

4人ずつ(だったかな)、ローリングスタートなので、少しずつ前に進む。

7:57:24 スイムスタート、長い1日の始まり!

身長の違い?私がしゃがんでいる??

まずはまっすぐ沖へ向かって進む。前回(2016年)、高い波を潜り抜けて沖へ向かったときとは全く違い、向かってくる波はあまり気にならない程度。これならちゃんと泳げそう。ちょっとだけ速い人について省エネで行きたいところだけれどなかなか上手くいかない。4〜5回に一度ヘッドアップして方向を確認しながら、淡々と泳ぐ。腰か反らないように、足が浮きすぎないように。波でブイが見えないということはほとんどなく、泳ぎやすい。

スイムアップしてT1でふと時計に目をやると1:14。14分?距離が短かったか、フィニッシュ前に止めてしまったんじゃないかと二度見。腰を気にしながらだいぶ慎重に、かつ、楽に泳いだのだがそれが良かったのか。

GARMINによると泳いだ距離3,795m。
バッチリすぎない?

T1: 8:56

タオルで足を拭き、ソックスを履く。今回は5本指。レースで履くのは初めて。これまでは普通のソックスで、ラン途中で親指に穴が開いて気になって嫌だったので、履くのに時間はかかるけど穴あきの心配が少ない5本指を今回は選択。

Vespa Hyperとアミノバイタルの赤いジェルを摂って、腰にサポーターを巻き、シューズとグローブを着けて準備完了。相変わらず支度遅い。

バイクへ向かいながら、自分が走っていることに気づく。チームドクターりょーちんの言いつけに従って痛み止めは飲んでいないけど、今は腰痛くない!アドレナリンって凄い!!

バイク: 6:07:22

3rd F50-54
64th by Gender
468th Overall
絶対無理はしない、180km乗ってCairnsに戻ることを目標に。梅コーチが設定してくれたパワー106〜133Wをキープすることをただひたすら心がける。走り出しは上限付近、130Wを少し超えるくらいで快調。前回はスイムで波に酔い、気持ち悪くてリバース後、補給を何も受け付けなくなってとてもしんどい思いをしたけど、今回は波酔い全くなく景色を楽しむ余裕もある。腰は重たいけど痛いというほどではない。しかし、油断は禁物。慎重に、丁寧に。上りは腰にくるので踏まない。130Wより出ていればよし(実際は150〜170Wくらいか)。

腰の心配がなければもっと楽しかったに違いない

宮古島のレースと同様、エイドごとに水のボトルをもらい、一口飲んで後は体にかける作戦。取ったボトルは持って行かずにそのエイドで捨てるので、しっかり減速。

補給はボトルに入れたトップテン。15〜20分に1〜2口の予定が、30分毎くらいになってしまい、ちょっと(かなり)少なかった。毎回同じことをしてしまっている…学習しなさい。

25km付近でチームメイトのりょーちん、ぱいきとすれ違う。さすが速い!(すでにこの時ぱいきは落車でかなりの擦過傷を負っていたことをレース後に知る。)程なく隊長ともすれ違う。

1回目の折り返し後、ちえちゃん、ボンバーとすれ違う。2人ともバイク強いから、きっともうすぐ抜かれるはず。まゆちゃんはどこにいるのかわからなかったけど、スイム得意だからかなり先にいるはず。

淡々とペダルを進めて、順調に1周目を終える。ちえちゃんもボンバーもまだ来ない。私が走れているのか、彼女たちに何かトラブルがあったのか…。ちょっと気にしながらも、先へ行く。塩タブもVespa Hyperも摂っていないことに気づいたが、パッケージを破って口に運ぶのが面倒になってそのままサボってしまった。

少しはみられるポジションになってきたか

2周目もまずまず順調。1つ目の折り返しへ向かう途中、だいぶ前に私を抜いていったさゆみさんがすぐ前にいるのがわかる。私のパワーはあまり変わっていない。出しすぎてはいない、大丈夫。そして、頑張って追ってはダメ(と思いつつ、落ち気味だったパワーを少しだけ上げる)。その後しばらく、抜いたり抜かれたりしていると、ボンバーが追いついてきた。後半強いな、全然ついていけない。あっという間に見えなくなった。残り50kmほど、向かい風が堪える。バイクスタート地点を通り過ぎて残り30km、ハイウェイが辛い。車道の半分がコースになっているが、白線上の反射板が邪魔だし、車道はクルマが結構なスピードで走るし、路肩は時々狭くなるし。ここで落車などしてはたまるか、と集中を切らさないようにするも、向かい風がしんどい。スピードは表示していないから気にならないが、時々フロントがインナーになって(シンクロなので、リアを下げていくと勝手に変わる)そんなに向かっているのかと驚く。だんだんパワーも出なくなっていて、設定の下限(106W)をキープするのもしんどくなってきた。あと少し、頑張れ!

市内に戻ってややテンションが上がる。180km走りきれた!

T2: 11:06

更衣テントに入るなり、無事に戻った安堵感で泣けてきた。ワーワー泣いていると、スタッフが心配して Are you OK? と声をかけてくれる。OK!大丈夫!ただ嬉しいだけなの!

ヘルメットを取り、シューズを履き替え、膝にテーピングをし、帽子を被って走る準備。ギアバッグに入れていたレトルトのお粥をちょっとだけ食べ、残りはボランティアの女性に処分をお願いしてT2を出る。相変わらず、やること多いな。さて、走れるか?どこまで?? とにかく、行けるところまで行ってみよう。

スタート間もなく。グローブ外すの忘れてる。
黒いサポーターは目立たなくて良い。

ラン: 4:46:34

7th F50-54
90th by Gender
503rd Overall

動けないほどではないけれど腰は重いし、膝の古傷も何となくご機嫌斜めだし、全く走れる気がしないがとにかく動き出す。GARMINが1キロを知らせてくれたので見ると、なんとキロ8:00に近いペース!まぁ想定通り、むしろ走れているだけマシ。とりあえず1周はしようと決め、脚を進める。コースは対面になっているところが多く、コース上にいるみんなと何度もすれ違って元気をもらえる。ちえちゃんもいた。パンクしたとのこと。それで追いついてこなかったのか…。諦めなければきっとKONA獲れる!一緒に行こう!と声をかける。

エイドで氷をもらって背中に入れ、水をかぶりMAURTENを摂る。MAURTEN初めて口にした。皆が言うとおり、甘すぎずあっさりで食べやすい。前回はスイカとコーラで走りきったのだが、今回はスイカはなかった。

氷で冷やされたせいか、腰は痛むことなく動き続けられている。スペシャルニーズに立ち寄り、腰のサポーターを幅の広いものに交換、グローブを置いて走り出す。

幅の広い白いサポーターにチェンジ

何とか1周を終え、次の周回に進むか一瞬迷う。痛くて動けないわけじゃない。まだみんな走っている。ここでやめる理由なんてないじゃない!みんながフィニッシュするまでは歩いてもコース上にいようと決めた。しかし、2周目がいちばんキツかった。同じくらいにランに入った友人たちはだいぶ前を快調に走っている。私もそんな風に走りたいのに。。思ってみても仕方がないので、できる範囲でポテポテ進む。

2度目のスペシャルニーズ。腰のサポーターがずり上がってきて邪魔なので、置いていくことにする。痛みが出るようならまた寄ればいい。

何とか2周目を終える。ここまでの距離をもう一度走ったらおしまいだ。何とかなるんじゃないかという気がしてきた。頑張ろう!陽が落ちて気温が下がりだし、走りやすくなってきた。少しペースアップ。楽しくなってきた。無事に3周目完走。フィニッシュが見えてきた!歩かずに行けそうだ!!

4周目、長かった旅はあと10km。腰が最後まで持ちますように!無理のない範囲で、ここでも淡々と進む。残り6kmあたりで、先行していたちえちゃんに追いつく。「あと6km、行こう!」声をかける。脚はそこそこ動くし、腰は痛くない。走っていて楽しい!

楽しく走っていたはずだけど、楽しい顔してない

程なくボンバーにも追いつく。「行くよー!でも途中で潰れたらごめん!」声をかけて先行する。ここでへたったらカッコ悪いだけじゃないか!自分へのハッパでもある。ここまで、エイドではしっかり止まりながらだったが、ここからは止まらずに、水と氷をとって走る(行けるじゃん、最初からエイドでそんなに止まるなよ!)。

フィニッシュが近づいてきた。チームの男性陣が花道脇で迎えてくれた。「Yoneyama-san, you are an IRONMAN!!!」あぁ、帰ってこれた!またしても泣けた。

I'm an IRONMAN!
号泣😭

Total: 12:28:14

6/17 F50-54
85/164 by Gender
498/829 Overall

後でタイムを見たら、これまで参加した5度のIRONMANで1番だった。スイム、バイクは過去最高タイム。ギックリやってなくてランちゃんと走れたら、もっといい記録が出せたかもしれない。

同エイジのトップはダントツで11:06だから全く無理だけど、2位は12:06, 3位は12:22なので、うまく走れたらこの辺には絡めるかもしれない。

次のIRONMANは昨年マレーシアでスロットを獲ったKONAの世界選手権。暑さの苦手な私がベストタイムを更新するのは難しいだろうから、来年以降かな。でも、また目標ができた。IRONMANへの挑戦はまだまだ続きそう。

翌日のロールダウンセレモニーでは、ちえちゃんとまゆちゃんがKONAのスロットを獲得。みんな揃って行くことができ、本当に嬉しい!

キャッツアイ in Cairns → KONA
ちえちゃん、まゆちゃん、おめでとう!

チームの男性陣は、隊長がエイジ優勝、りょうちんとぱいきがそれぞれ2位と素晴らしい成績。私たちも続けるように頑張ろうね、ボンバー!

男性陣強い!

梅コーチ、いつも適切なメニューとアドバイスをありがとうございます。引き続きよろしくお願いします。
遠征同行したチームの皆さま、お世話になりました。
レース中、声をかけ励ましてくれた皆さま、トラッカーで応援してくれた皆さま、ありがとうございました。
忙しい時期なのにガッツリ休みをとった私に代わって、業務をしっかりこなしてくれた部下にも感謝。そして10月もよろしく!

おまけ

バイクのタイムを色々見るのに、Excelでグラフを作ったり、手描きのダイヤグラムを作ってみたり。色々面白いね、ふむふむ。

通過時刻のプロット
平均速度
ダイヤグラム

おまけ2

ランの途中でサポーターとグローブ、帽子を入れたスペシャルニーズのバッグを、レース翌日に受け取るはずだったのに、すっかり忘れて置いてきてしまった。残念。

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