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ファッション業界とNFTの活用


はじめに

昨年、ファッション業界におけるNFTの活用について調べる機会がありましたので、簡単ではありますがnoteでもご紹介します。

ファッション業界におけるNFTの活用事例

トレーサビリティ

①イコーランドNFT
ファッションブランド「イコーランド -トラスト アンド インティメイト -」では、NFTを活用して生産過程のトレーサビリティを実現しています。

「イコーランドNFT」は、ブランドがこれまでに発信していた製造に携わる方々の自筆署名を印刷した「信用タグ」をアップデートしたもので、どのように育てられた素材からできていて、どこで誰が紡ぎ、織り、縫い上げたものであるかといった生産背景の情報を提供しています。

②LVMH「AURA」
2019年5月、LVMHは、傘下のルイヴィトン、クリスチャンディオールなどの高級ブランドの製品の履歴情報や真贋の検証を消費者が可能にするために、トレーサビリティプラットフォーム「AURA(オーラ)」の導入を発表しました。

「AURA」はマイクロソフト(Microsoft)、コンセンシス(ConsenSys)の協力のもと、イーサリアムを企業向けに活用することを目指したブロックチェーン基盤「Quorum(クオーラム)」を利用し開発されました。
消費者は「AURA」によって材料の原産地から販売時点、中古市場に至るまでの製品の情報を追跡出来るようになっており、その商品が正規品であることが確認できます。

NFTコレクション

①GAP
2022年1月から、GAPはNFTコレクションを発売。同コレクションはデジタルとリアルの両方で展開されました。
コレクションでは 「Common」「Rare」「Epic」「One of a Kind」の4段階が用意されました。

「Common」と「Rare」を買うことができた人にのみ、“フランク・エイプ”の限定版デジタルアートとリアルのコラボフーディーのセット「Epic」を購入するチャンスが与えられたとのことです。

また、NFTの発行には、エネルギーの効率化やスマート・コントラクトで知られるブロックチェーンプラットフォーム、テゾス(XTZ)が採用されました。

②ドルチェ&ガッバーナ
2021年10月、ドルチェ&ガッバーナが、デジタル ラグジュアリーとカルチャーのマーケットプレイスであるUNXDと連携し発表した初のNFTコレクション「Collezione Genesi(ジェネシス コレクション)」が、9点で総額約6億円にて落札されました。

落札者には、カスタムメイドのデジタルウェアラブルや、次回のアルタ モーダ コレクションのイベントへの招待など、物理的な世界とメタバース(三次元仮想空間)双方からなる、ユニークなエコシステムが用意されました。

その他

①Louis Vuitton「LOUIS THE GAME」
2021年、創業者ルイの生誕200年を記念したプロジェクト「LOUIS 200」の一環として、ゲームアプリ「LOUIS THE GAME」がローンチされました。

最新のブロックチェーン技術を採用したこのゲームには、NFT(非代替性トークン)アートが30作品含まれています。このうち10作品は、デジタルアート界にセンセーションを巻き起こすアーティスト、BEEPLEが制作したものです。

②Tiffany 「NFTiff」
2022年8月に、Tiffanyが、ブランド初のNFTとなる「NFTiff」を発表しました。
「NFTiff」は、「ティファニー」とブロックチェーン技術のイノベーターであるチェーン社とのパートナーシップにより、「クリプトパンクス」の所有者に向け考案されたものです。NFTiff パスを購入することで、自身が所有する「クリプトパンクス」にインスパイアされたカスタムペンダントがオーダー可能になります。さらに、ペンダントデザインのデジタルレンダリングと鑑定書を受け取ることもできます。

CryptoPunksは、Larva Labsが2017年に提供を開始したNFTアートです。
作品の総発行枚数は1万点しかなく、その希少性から数千万円以上の値段が付けられており、世界で最も人気なNFTアートのひとつになっています。

CryptoPunks(クリプトパンクス)とは?始め方や稼ぎ方・取引方法を徹底解説 | Market α(マーケットアルファ) (caica.jp)

NFTの「価値」

そもそも人はなぜNFTを買うのでしょうか?
NFTの持つ価値として、以下の4つが挙げられます。

①投資

希少性の高いものや人気のあるものは、高値で転売できることから投資目的で購入されることがあります。

たとえば、世界最古のNFTアート作品と言われるクリプトパンプス(CryptoPunks)のうち、最高額で購入された「CryptoPunks 5822」は当時の価格で約2,300万ドル(約27億円)で購入されました。
その価値の高さや希少性から、著名人だけでなく大手企業が購入することもあり、2021年にクレジットカード会社のVisaがクリプトパンプスを購入して話題になりました。

②ユーティリティ

ゲームやチケット、何らかの証明手段としての機能を持たせるために活用される場合があります。
先述した事例では、トレーサビリティやLouis Vuittonのゲームなどがここに該当します。

③情緒的価値

NFTが所有者の気持ちにプラスの影響を与えることがあります。
その中には、収集することに価値を見出す場合や、所持していることで周囲から尊敬されたい、コミュニケーションに役立てたいというコミュニティでの社会的な居場所を得ることを目的とした場合などが含まれます。

おわりに

今回はファッション業界でのNFT活用事例を紹介しました。
トレーサビリティ以外の事例では、広報目的で「とりあえずNFTで話題作り」というものがまだまだ多かったように感じます。

”NFT熱”が一度落ち着いた今だからこそ(最近こそまたweb3が再燃しつつありますが)、より本質的な活用事例が出てこないか注目していきたいところてです。

(文/A.I.)

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