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叱るとは何か 『天皇の料理番』から学ぶ

『天皇の料理番』前半の第6回までを見終わる。フランスに修行に行くまでのところだ。第6回までを見た。何回見たことだろう(^^)。

以下、ネタバレあり。

なんと言っても、小林薫さんの宇佐美シェフと佐藤健さんの秋山篤蔵との師弟関係がなんともいい。

宇佐美シェフは、厳しく叱る。

宇佐美シェフは篤蔵が作ったバンザイ軒のカレーを食べに行った時、たまたま篤蔵の本意ではないカレーを、篤蔵は提供することになってしまうの。そのカレーを一口食べて、宇佐美シェフは店を出て行ってしまう。

篤蔵は追いかけていって、言い訳をする。

この街のこの人たちには味はわからない。だからいい料理は作れないのだ。猫に餌を与えているのと同じだと。

「あのカレーは腐っている。それは料理人のお前の心根が腐っているからだ」

と言う。

そして、この言葉を宇佐美シェフは、篤蔵にいう。

これ、何度読んでも、私には客を生徒に、料理人を授業に読み替えて読んでしまう。一つ実際と違うのは、生徒は教師に文句はなかなかいえない。しかし、教師は生徒に言い訳をするし、生徒をバカにする。時には、その地域や親までもバカにする。

「そんなやつは、やめてしまった方がいい。その方が、お前も生徒も幸せだ」

そう聞こえる。

ただ、宇佐美シェフは、叱り飛ばすのではない。叱っている。

この言葉を篤蔵に言った後、篤蔵のもと先輩シェフが、篤蔵はどうだったのかと聞いたところ、

「あいつは自分の舌で客と戦っていたよ」

と言う。認めているのだ。

叱るとは、何か。

それは、叱るのゴールが分かると、分かる。

叱るのゴールは、褒めるなのだ。


叱ったら、それは叱った相手ができるようになるまで見守らなければならない。指導を続けなければならないのだ。だから、叱ると言うのは面倒なのだ。大変なのだ。


叱り飛ばすのであれば、その場で言いっぱなしにしておしまいである。その後のケア、指導、見守り、褒めるも要らない。

私も漢文の恩師、吹野安先生に

「なんだと、この鼻垂れ小僧!」

と何度叱られたことか。

そして何度、再履修をさせられたことか(^^)。

今、本当に感謝している。

ドラマは、篤蔵がフランスに行く壮行会で、宇佐美シェフがやってきて、一つのクライマックスを迎える。ここの時の宇佐美シェフと篤蔵の会話がまたいい。伏線の回収も見事だった。

TverでもGyaoでも、後二日間無料で見ることができます。

未見の方、おすすめです。


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