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ローマの主席エクソシスト、 ガブリエル・アモルス神父死去。 現代社会の悪霊との長き闘いの末に。

https://www.lifesitenews.com/news/chief-exorcist-of-rome-warned-of-demonic-dangers-in-modern-society

バチカン公認のエクソシスト(悪魔祓いの祈祷師)の主席の座にあり、スピリチュアリズムや世俗主義の文化に対抗する旗手であったガブリエル・アモルス神父が2016年9月16日金曜日、ローマで亡くなった。享年91歳。

世界でおそらくもっともその名が知れわたったエクソシストであるアモルス神父は、1925年5月1日に北イタリアのモデナにうまれ、1954年に司祭に叙階される。1986年、アモルス神父は後に彼がその後継者となる前主席エクソシスト、カンディード・アマンチーニ師の指導のもとで公式にエクソシストとなる。1990年、アモルス神父は国際エクソシスト協会を設立し、2000年に退任するまで初代代表をつとめている。30年にわたるエクソシストとしての職務においてアモルス神父は何万件という悪魔祓いをおこなっている。師はイタリア語で数々の書物を著し、その中で、少しも臆することなく悪魔祓いに対する偏見を覆し、スピリチュアリズムやオカルティズムといった悪霊にまつわることがらをもてはやす近代の志向性を悪魔に門戸を開くものと見定めた。

主席エクソシストとしての在任中にアモルス神父がのこした声明のなかでとりわけ有名なものは、ナチスの高官たちがサタニズムに大いに関わっていたとする2006年に発表した確言である。これまで歴史家の調査によっても主張されてきたことだが、アドルフ・ヒトラーもヨシン・スターリンも同じくサタニズムに囚われていたと師は確信する。師は悪魔のはたらきはバチカンの中にも及んでいると率直に述べ、1981年のアリ・アジャによる聖ヨハネ・パウロ2世の暗殺計画も悪魔が影響しているものと結論づけた。

そして悪魔のはたらきは、社会の支配者層の中だけではなく、文化全般に及ぶという。

「人々が信仰を失い、そこに迷信、魔術、サタニズム、あるいはウィジャボードが取って代わった。そうして悪魔の実在に通じるすべての門戸を開いてしまったのだ」

2006年のインタビューでアモルス神父はこう述べた。

2015年にライフサイトニュースが試みたインタビューで、アモルス神父は中東におけるキリスト教徒たちの”殉教”を非難するかたわら、聖母によりたのむことの必要性を指摘した。同じ年に「ISISはサタンである」と語ったフェイスブックへの投稿を以下のように結んだ。「悪はさまざまな姿で身を隠す。政治、宗教、文化、どこにでもいる。しかし悪の出どころはひとつである。すべては悪魔から来る。キリスト者としてわたしは霊的な野獣とたたかわなくてはならない」

西洋社会における世俗化とモラルの衰退は終わりの時のしるしであると師は主張する。「主がいなければ、進歩もまた道を間違える。それは国の法律をみればわかる。離婚や中絶や“同性婚”などは完全に自然に背くものであり、われわれはもはや神を忘れ去っているのだ」

アモルス神父は、いのち、家族、道徳に対する攻撃を厳しく非難する姿勢を貫いたことでも知られる。彼は同じインタビューの中でこう言っていた。「離婚は災いである。中絶は災いである。毎年、5千万の子どもが中絶によって殺されている。そして安楽死、家族の離散、同棲...これらすべてのことが破滅である。主が性をわれわれに与えられたことには目的があり、主は『神が結び合わせてくださったものを、人は引き離してはならない』と述べられた。性的快楽と愛とはまったく別物である。今日、愛について多くが語られるが、真実の愛はそこにはない」

現代の消費文化には、スピリチュアリティ、すなわち悪霊の影響がたぶんに行き渡っていると、J.Kローリングスの『ハリーポッター』を引き合い出しながらアモルス神父は警鐘を鳴らす。彼はこの小説の中で著者が黒魔術と白魔術(良い魔法と悪い魔法)を区別しているがそれは誤りであると批判する。「そんな区別など存在しない。魔術はつねに悪魔に向かう所業なのだから。『ハリーポッター』を読むことで子どもたちは魔術の世界に引き込まれるだろう。そこからサタニズムや悪魔への一歩を容易に踏み出すことになる」

彼は言う。こうした書物はサタンの思惑に人を導く布石になるのだと。

実話に基づいたエクソシストをテーマにした映画「ザ・ライト」の紹介のために、とある映画祭に招かれた際、神父はヨガもまたサタニズムに通じる道であると指摘した。その理由として、ヨガがヒンズー教を実践するものであるからだと答え、「あらゆる東洋の宗教は輪廻に関する誤った教えに基づいて」おり、それゆえ「ヨガの実践はサタン的であり、『ハリーポッター』を読むことと同じように人を悪に誘う」のだ。

一方でアモルス神父は、西洋近代社会が押しつける耐え難い挑発に直面するキリスト者にたいし希望を失うことがないよう鼓舞し続けた。「悪は実在する。しかし悪は主をおそれる」

神父はいつもこう言っていた。「信仰と祈り、そして絶えず秘跡にあずかること。それが悪魔の影響を退ける最良の解毒薬となる」

毎年バチカンは、悪魔の憑依について神学的かつ科学的な観点から議論するために世界中から様々な専門家やエクソシストたちを集めて会議をおこなっている。その会合の目的は悪魔の憑依という現実と向き合い、司祭たちにエクソシストたる自覚を促すことである。「悪魔祓いと解放のための祈り」と題するセッションがおこなわれる。それは悪魔の憑依について学ぼうという意欲をもった司祭や平信徒に向けて作成されたプログラムである。昨年の会議は4月にローマのレッジーナ使徒大学を会場に、悪魔の憑依と心理学的な精神状態との差異をテーマに開催された。次回のセッションは2017年5月8日から13日の日程で開かれる予定である。

フランシスコ教皇は悪魔の影響に屈しないようとの戒めを絶やすことがない。「悪魔は実在する。われわれはそれに闘いを挑まねばならない」と昨年、ある説教の中で述べていた。そして今年2月のメキシコ訪問中、フランシスコは群衆に向かって「悪魔との対話」を退けるよう訴えた。

正式にアモルス神父の後を継ぐローマ主席エクソシストの座は今はまだ空位のままである。

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