見出し画像

初対面の人とカラオケスナックに行った思い出をAIに画像にしてもらったら

noteのハッシュタグで「#画像生成AIチャレンジ」というものがあり、気になったので投稿してみることにした。
テキストを入力すれば記事の見出し画像をAIが生成してくれるということだったのだが、まさかこれがこんな混沌を生むことになるなんて誰が予想できただろうか…




画像生成AIを使うにあたって、私はどんなテーマで記事を書くか考えた。
現在巷にあふれているAIが答えてくれるとかAIが作ってくれるとかいった機能をあまり使ったことがなく、彼らがどの程度の理解力があるのかいまいちわからない。

理解力はわからないが、どうせなら情報量が多いタイプの画像生成に挑戦してほしい。

私は今までの人生で情報量が多かった状況を必死で思い出した。そして出てきた20代前半の頃のエピソードについて今回は書きたいと思う。



社会人になって間もない20代前半の頃、私は勤めていた大阪の会社の近くで一人暮らしをしていた。
住んでいたアパートの3軒ほど隣には大将と女将さんが2人で切り盛りする小さな飲み屋があり、私はよくそこで晩ご飯を食べながらお酒を飲んでいた。
繁華街から少し離れた場所で若い客があまりいなかったこともあり、大将と女将さんは私にとても良くしてくれて、ちょっとした料理などよくサービスしてもらった。

その日は確か金曜日だったと思う。

金曜ロードショーのゲド戦記を観ていた私のところに電話がかかってきた。飲み屋の女将さんからだった。

「いけみちゃんお仕事は終わった?今ヒマ?」

「あーえぇっと…(ゲド戦記観始めたとこだけど何か美味しいものを仕入れたという連絡であればゲドより優先するのもやぶさかではない…)ヒマです」

「実はね、今お店に福岡出身っていうお客さんが来てはるんよ!いけみちゃんも福岡やろ?お話したらどうかと思って!」

「あっなるほどぉ(美味しいものじゃなかった…)…ハイあの〜…(どうしようゲド戦記…)ちょっと…すぐ出れないかも…」

「遅くても大丈夫よ〜!待ってるからね!」

ブツッ

「あっ」

こうして私はゲド戦記を諦め(録画したような気もするがもうよく覚えてない)飲み屋に向かうことになった。

徒歩20秒で飲み屋に着くと店内はけっこう混んでいて、カウンターに座っている3〜40代ぐらいのメガネの男性(メガネさんとする)と50代ぐらいの小太りの男性(この後聞いた名前から連想して亀さんとする)の間に私の席が用意されていた。

メガネさんが福岡の人らしく、この店には初めて来たと話していた。
亀さんは近所に住んでいる常連客らしい。

お話したら!と言われていたメガネさんはそれほど話すタイプではないようで、亀さんの方がペラペラとよく話していた。
どこかの会社の社長だそうで、明日は面接だ面倒くせぇ!息子に任せてしまいたいところだけどやっぱり俺が出ないとな!いけみちゃんは何歳だ、息子と同い年じゃないか!と、人と話す時の適度な距離をはるかにオーバーした距離で話しかけてくる。

酔っ払いだから仕方ない、適当に相槌を打っておくか、と笑いどころのよくわからない話で適当に愛想笑いを挿入していたら、挿入箇所を間違えたようでたまに怪訝な顔をされた。でも酔っ払いなのでそれほど問題にはならなかった。

もはや何の時間なのかよくわからない時間が過ぎていき、そろそろお開きかと思った頃、たまに会話に参加していた大将が「近所によく行くカラオケスナックがある」と話し出した。

「行きたい」と言い出す亀さん。

「みんなで行くか!」と乗り気になる大将。

えっ そのみんなって私も入ってます??

こんなことならさっき女将さんに「明日はお仕事なの?」と聞かれた時に「明日は休みなんでいっぱい寝れます〜」とかバカ正直に答えるんじゃなかった。
断りにくいことこの上ない。

こうして流されるまま私は人生初のカラオケスナックというものに行くことになった。

大将と女将さんは店の片付けがあるというので、先に私・メガネさん・亀さんの3人で店に向かった。

なんだこの組み合わせは。

メガネさんは「私はぁ〜今日みなさんと初めて会ったんです!初めて会ったんですよぉ〜なんかもうよくわかりませぇ〜〜ん!!」と言いながらフラフラ歩いていた。
その通りだよ。私ももうよくわからないよ。

亀さんは「店の場所はわかる。その店は行ったことないけど、同じビルによく行く店があるから」と言ってスタスタ前を歩き、道を間違えていた。

メガネさんは「この人たち誰なんだ〜??!!」と叫んでいた。

そして到着したのは普通のマンションのようなビルで、各部屋の前に表札のような電光掲示板で店名が出ていた。
「亜斗夢&夢」という店名の下に「カレー」と書いてあったのを強烈に覚えているのだが、絶対にカレー屋ではなかったと思う。

目的の店「スナックゆうちゃん(仮名)」は突き当たりにあった。
大将が「ビルの5Fのスナックゆうちゃん」と言っていたので信じてついてきたが、それがなかったらたぶんビルに入る前に逃げてる。

ドアの前で亀さんが振り返り、「俺が先に入って様子を見てくる」と言ってウインクした。

ドアの向こうに亀さんが消えた直後、後ろにいたメガネさんが小さな声で「じゃあ…今のうちに帰ります?」と呟いた。
あ、この人たぶんシラフだ。

しかしそれに返事をする間もなく亀さんが出てきて、いよいよスナックゆうちゃんに突入することになってしまった。



店の中は少し広いカラオケの部屋という雰囲気で、カウンターと真ん中にテーブル&ソファ、小さな舞台のような小上がりがあった。

スナックゆうちゃんのママはくたびれた雰囲気のTシャツとGパンを着ており、どことなく気だるい空気を纏っていた。

とりあえず3人でソファに座りドリンクを注文する。会話はない。

亀さんは聞いたこともない台湾銘柄の焼酎を注文し、ママに「あぁ〜ん…ないですわぁ〜」と断られていた。自分の会社の支店が台湾にあると話していたので、たぶん「台湾」って言いたかったんだと思う。
結局ママの選んだ焼酎をボトルで注文してみんなで飲むことになった。

話題がなさすぎて亀さんの微妙な下ネタ話ですらありがたく感じ始めた頃、居酒屋の大将と女将さんが見知らぬ女性を1人連れて現れた。

助かった、人が増えた。
会話が続かなくて困ってたんだ。
なんか知らない人がいるけどこの際どうでもいい。
え、その人大将のお姉さんなの?
うんもう何でもいいよ。

こうしてメンバーが、私、メガネさん、亀さん、スナックのママ、居酒屋の大将、女将さん、大将のお姉さん、もう1人知らない人、の8人になった。


………ん?


もう1人知らない人?


誰?


なんかいつの間にか増えてるけど…










…だれ?

この静かに座る無表情のおばあさまは…

なんか首からブドウのネックレス下げてるけど…

幽体?人体?なに?ゆめ?亜斗夢&夢の人?

いつからいた?


そんな私の混乱を感じ取ったのか、女将さんが紹介してくれた。


「いけみちゃんはこちらはねぇ、スナックのママのお母様!」


あっ お母様でしたか…そうですか…

なんでいるのかいつからいるのか何もかもわからなかったが、自分がここにいる理由もわからないのに他人のことなどわかるわけがない。受け入れるのだ。あるがままを。

そして平均年齢推定50歳のメンバーで始まったカラオケ大会は、予想通り昭和〜平成初期のヒット曲オンパレードだった。
乗り気ではなさそうだったメガネさんが意外とノリノリで歌っているのが印象的だった。歌わないとやってられなかったのかもしれない。

私は途中トイレに行きたくなり席を外したのだが、戻ってくるとそこは昭和のダンスホールと化していた。

大将とお姉さん、亀さんと女将さん、そしてメガネさんとスナックのお母様がペアを組んでステップを踏んでいる。

お母様は踊っていても相変わらず無表情だった。

私は何回目かわからない「なぜ私はここに?」という疑問を振り切ってソファに座った。


曲が終わり席に戻ってきた亀さんに「デュエットしよう」と誘われた私は、断りきれずに舞台に上がることになった。

亀さんの選曲はマライア・キャリー。

クリスマスの曲しかしらん。しらんぞ私は。

全くわからない曲に困惑しながら適当に口パクで乗り切った。大将たちは何がそんなに?というぐらい盛り上がって手拍子していた。
よかった、彼らにエンターテイメントを提供できて。お母様だけは無表情だったけど。

すっかり気分が乗ってきた様子の亀さんは、「次は2人しか知らない曲でデュエットしよう」と耳打ちしてきた。

さっきの曲、私知らなかったんですけど今度は大丈夫でしょうか。

そして亀さんが「2人しか知らない曲」として選んだのは米米CLUBの「君がいるだけで」だった。

よかった知ってる。知ってるけどそれたぶん2人以外も知ってる。

「二人はお互いを見つめてる♪」と歌いながらマイクを差し出してくる亀さん。
私はひたすら「トゥルーハート」と歌いながら、ゲド戦記もう終わったよなァと現実逃避していた。

こーころを何にたとえよう〜…かーめを見つめるこのこころ〜…


こうして金曜の夜は更けていった。





結局この謎カラオケ大会は深夜2時頃に解散になったのだが、亀さんはビルを出た瞬間に前から歩いてきた知らない着物のおばさまの肩を抱いてビルにリターンしていった。
たぶん同じビルに入っていると言っていた亀さんの行きつけの店の人だったのではないかと思う。

着物のおばさまは、「あれ、ちょっと、人身御供やわぁ〜!!」と叫びながら笑顔で亀に連れ去られて行った。
おばさんごめんなさい、後は任せた。




さて、この話はこれで終わりなのだが、問題はここからである。

この話の見出し画像をAIに生成してほしい。

この情報量をなんとかまとめてほしい。

テキストで指示?をしたら画像を生成してくれるらしいのだが、状況を文章で説明した方がいいのか、短いキーワードを入力した方がいいのか、具合がどうもわからない。

ひとまず「カラオケスナックで歌いながら踊る50代男性と20代女性、それをブドウのネックレスをした老婆が無表情で見ている」と入れてみた。

生成された画像がこちらである。



情報の取捨選択が自由すぎる。

20代女性と無表情の老婆が融合されて笑顔の70代(ぐらい)が出現した。

その竹のようなマイクとヒモのようなマイクはなんだ…?

青い服の女性はネックレス首から生えてませんか……??


「若い女性」とかの方がよかったのかと思ったが、「50代男性」は認識されているように見える。

文章を変えながら色々試したが、どうしても20代が生成されない。
なんとか3人になった画像がこちらである。




なんか怖い。

人間に化けきれなかった妖怪家族のようだ。

これは老婆はもう諦めた方がいいのかも…と思い、50代男性と20代女性だけの情報で生成したらこのようになった。



若干の若返りには成功したが……20代?

あとそのテーブルにある出し巻きが立ったみたいな料理は一体…?

男性の服が袖はセーター風なのに上はスーツの謎素材なのも気になるし、見れば見るほど混乱してくる。

20代女性がどうせ無理ならやはりブドウネックレスの老婆はビジュアル的に諦めたくない。

そして試行錯誤の結果、最終的に「薄暗いカラオケスナックでデュエットする楽しそうな50代男性と乗り気ではない20代女性、それをブドウのネックレスをした老婆が無表情で眺めている」というテキストから見出しに採用されたのがこちらである。


ネックレスだったはずのブドウは食物になったようだった。

男性のマイクは持っていると見せかけて浮いているし、歌っている真っ最中と思われるのにクラッカー(たぶん)を食べようとする心意気もすごい。

女性が持っているモノに関してはもはや正体不明すぎて細い棒ということしかわからない。もしかしたら持っているのではなく口からビームでも出しているのかもしれない。

テキストをもっと上手く入力すればいい感じの画像になるのかもしれない(し、ならないのかもしれない)が、この2人がとても気に入ったのでこちらを採用することにした。

画像生成AI、楽しいのでぜひやってみてほしい。




ところでこの画像生成AI機能を使う時私はやり方をよく確認せず適当に進めたため、最初間違って「AIアシスタント」という機能を使ってしまった。
記事の概要を入力したらAIが記事のアイデアを提案してくれるというものだったのだが、提案された内容が斬新すぎたので最後にそれを紹介して終わりたいと思う。


入力した概要
カラオケスナックで歌いながら踊る50代男性と20代女性、それをブドウのネックレスをした老婆が見ている

(画像生成するつもりだったので場面の説明になっていた)

【AIから提案された記事アイデア】

-「歌と踊りの世代の融合」というテーマで、スナックカラオケでのエンターテイメントイベントを開催する。50代男性と20代女性がパフォーマンスをすることで、世代間の枠を超えた交流を促す。

- 「魅力的なアクセサリー」というテーマで、ブドウのネックレスをした老婆をモデルにしたジュエリーブランドを立ち上げる。老婆が身につけるのはブドウのネックレスだけでなく、他の果物や野菜のアクセサリーも提案することで、ユニークなカジュアルアクセサリーブランドを作り出す。

- 「異世界体験」というテーマで、50代男性と20代女性が主人公のファンタジー小説を執筆し、それをもとに映画化する。老婆が作中でブドウのネックレスを持っている特別なキャラクターとして登場し、異世界の魅力を引き立てる。

- 「音楽とファッションのコラボ」というテーマで、スナックカラオケでカラフルなファッションショーを開催する。50代男性と20代女性がモデルとして参加し、老婆が特別ゲストとして登場する。ブドウのネックレスだけでなく、果物や野菜をモチーフにしたファッションアイテムも展示することで、楽しさと斬新さを追求する。

人間には到底思い付けない角度の提案ばかりである。鋭角すぎる。
画像生成AIはどれだけ頑張ってもブドウのネックレスを頑なに認識してくれなかったが、こちらは不自然なぐらいブドウのネックレスを推している。

ほんの出来心でこのAIアシスタントのアイデア4つ目(音楽とファッションのコラボ)を画像生成AIに逆輸入してみたところ、

世代も性別も物理的法則も超越した画像が生まれてしまった。

このAIアシスタント、おもしろすぎて乱用していたら月の利用回数上限に達してしまったので、使ってみようかなという方は注意が必要である。

いつか本当にこのAIアシスタントのアイデアを使って記事を書いてみたい。挿絵はもちろん画像生成AIで。

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