見出し画像

「コストを下げる」ではなく「収入を上げる」を考える

以前より、林業といえば、いわゆる3K職場と言われ、労働災害による死亡率も断トツで高く、仕事が天候に左右されるため収入も不安定という、誰も就職したくないようなブラックな職業と言われていました。

今も劇的に変わっているとは言えないのですが、「林業機械で労災の危険性が下がったよ!」とか、「ドローンを飛ばして現地調査を軽労化!」とか、「大型機械で森林管理のコストを削減!」など、明るい話題も聞こえてきます。

ただ、残念な事に明るい話題の殆どが「コスト削減」に関わる事なのです。もちろん、同じ収入ではコストを下げれば利益が上がるという話なのですが、なぜ、林業に携わる方々は収入を上げる事を考えないのでしょうか??


公務員になる前、製紙会社に勤めていましたが、こんな話を聞きました。

「紙の原料材として森林所有者から安く丸太を仕入れたけれど、家具に使えそうだから家具屋に高く売った」当時の価格は忘れてしまいましたが、昨年度開催した丸太の販売会では1立方メートルあたり7,000円程度のものが15,000円と2倍程の価格で販売できました。

この差額は森林所有者は得られるはずだったのですが、実際は得られなかった、つまりは損をしたという事になります。森林所有者であったり、伐採に関わった人達が、丁寧に丸太を選別し売り先を探して販売していれば、こんな事にはならなかったはずです。

適正な価格で丸太を欲しい人に届ける、そのためのひと手間(コスト)を面倒くさがらないようにしましょうという本日の戒めでした。

あなたの周りにも、「イベントするからタダで手伝ってくれない?」とか、「新商品を作るからサンプル用に安く原料売ってくれない?」とか言う人いませんか?

コストを下げる事だけ考える人と一緒に仕事をすると、ほぼ間違いなく損をします。気をつけましょう。

伐採した木を丸太に切り分けた際、通常であれば山に放置されてしまうウダイカンバの根元部分と枝分かれ部分。

買い手となってくれそうな方に声をかけたところ、紙の原料材の何倍もの価格で購入していただく事になりました。

営業先候補を確保しておくのは大事ですね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?