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選択肢を複数持つこと

役場に勤めて以来、8年ほど林業に携わっておりますが、
その中でも予算規模が大きく、主要な業務として町有林の管理があります。

最初はカラマツ一択。

入庁当初、町内の製材工場へカラマツ丸太を安定的に供給するため、
カラマツ人工林で森林組合に委託して間伐を行い、製材工場へ販売という形でしか、
収益を上げていませんでした。
2年目には製材工場が新設され、丸太の消費量も増えた事から、いかに安定供給するかという事しか考えてなかった気がします。

計画を作って疑問が湧いた

3年目の後半くらいに誰が担当しても町有林を一定水準の下で管理するために、
計画期間50年という、長期的な計画を策定しました。
その中でカラマツの植林〜皆伐までの収支を試算したのですが、
どのように試算しても、
50年で十数万円程度の粗利益しか上げられませんでした。
この時に初めて、「このままカラマツ一択で森林経営を考えて良いのか?」と疑問が湧いてきました。
しかも、町有林面積に占めるカラマツの割合は半分以下。
考えを変える必要があると判断しました。

選択肢を増やす

折しも、広葉樹の天然林に生育しているミズナラやイタヤカエデを求める声が町内の木炭生産業者から出てきており、
天然林をうまく活用できないかと考えはじめました。
生憎、町として予算は確保できませんでしたが、色々な方のお力添えをいただき、
今では天然林を役場職員が直営で管理したり、
伐採の研修会に参加された方に報酬を払って伐採してもらったり、
木炭生産業者に立木のまま販売して、木炭生産業者が伐採したりと、
様々な形で事業を展開しております。
(この事業を単体で見ると赤字なのが悩みのタネですが…)
また、今年からは試験的に森林空間をレンタルするという事業を開始し、
既に何件か問い合わせがあり、一件は実際にレンタルを開始しました。

まとめ

選択肢の少なさに不安を覚え、様々な取組を開始。
まだまだ改善の余地はありますが、
カラマツ人工林の事業で問題が発生しても、
大打撃を受けるリスクは私が役場に入った時と比べると低減したかなと感じます。

金を得る手段が1つしかないと、
トラブル発生時に対処できなくなります。
ちょうど、今、各地で飲食店や旅館などが閉店に追い込まれているように…。
平常時、かつ、本業が波に乗っている時はなかなか思いもつかないかもしれませんが、
様々な選択肢を自分の中で持っておく事が、
不安定な世の中で生き抜いていく為には必要ではないでしょうか。

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