『何も身に付かなかった』と嘆いた最初の3年は本当に何も身に付かなかったのか

新卒で入社した会社には内定者研修があった。

大学3年の3月に内定が決まっていたので大学4年の一年間。

『会社に貢献して初めて給料をもらうことができる。来年の4月からは今この会社にいるビジネスで会社に貢献をしているメンバーと仲間になる。少しでも会社に貢献できるよう今から少しでも力をつけて合流してくれ。手取り足取りの研修はしない。崖から笑って突き落とす。自力で這い上がってこい。自分で考え学び、ビジネスをつくり自分の力で稼げ。その考えが自分に合わないと思うなら他の会社に行ってもらったほうがお互いのため。』

会社説明会はこんな感じだった。私はワクワクしてにやにやしていた。座学が得意ではなく、現場の実践から必要なことを学ぶほうが得意だったし、決められたこと言われたことだけやって給料をもらう人生が嫌だったから。

将来、何か自分が本気で解決したい社会課題にぶち当たったとき、解決に向けて動ける力をつけておきたかった。"自らビジネスをしかけるビジネスエンジニアを拡める。それこそが日本のそしてエンジニアの価値を高める。" IT(エンジニア)、世界(英語)、ビジネス。これからの社会課題解決に必要そうな力が間違いなくそして早くつきそう。何歳になっても仕事にいきいきと取り組み、自分たちでビジネスをする先輩しかいない。誰の目も死んでいない、尊敬できる人たちばかり。そして3社目にして初めて内定が出たその会社に私は入社を決めた。

・・・

もちろんその会社に入って間違いだったと思ったことは一度も1ミリもない。ただ、力がつく前に力尽きた。仕事に逃げて自分を大切にできなかった。ひたすら仕事に打ち込むことが正しい時間の使い方だと思っていた。若かった。その時の回答としては大正解。でも持続可能ではなかった。

さて力がつく前に、と書いたが本当にそうだろうか。もちろんまだまだこれからだったと思う。ビジネス"エンジニア"を排出することを掲げる企業なのにエンジニアのエにも辿り着かないほど、技術にはほとんど触れることはなかった。その分適所に回っていたつもりだったが、結局のところそれがずっとコンプレックスだった。"IT企業に居たのにまともにコードも書けず機器にも詳しくない。"
転職の時も自信が持てなかった。

でも、本当に何も身に付かなかったのだろうか。元々エンジニアになることが自分の目標ではなかったはず。今だったらもう少し図々しく割り切れるかもしれない。30になる前に、棚卸しをしよう。

内定者研修から始めようと思ったら前置きが長くなってしまったので次回。


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