たばこについて思うこと4(社会人になって)

大学卒業後、業界トップの証券会社に入社しました。新入社員は、ほんの一部の例外を除いて、支店の営業課に配属されるのです。私の仕事ぶりや実績はさておき、私が赴任した地方の支店は、営業課社員15人くらいの比較的小さな支店でした。1階の営業フロアーには、他に店頭で顧客対応をしたり電話応対をする女性中心の店頭取引課、事務手続きをする総務課に秘書課の営業補助の女性がいました。総勢40名くらいだったかと思います。そのうち、男性が半分くらいだったと思いますが、男性の8割は喫煙者でした。営業課社員は、取引所の取引時間の間は、殆ど自席で電話でお客様と連絡を取りながら、受けた注文を発注するのです。その間、喫煙者は引っ切りなしに煙草を吸うのでした。当時は、煙草がステイタスのようなものだったのでしょう。各人の席の灰皿には煙草の吸い殻が山のように積み上がっていました。吸い殻を捨てて、灰皿を洗うのは営業補助の女性の役割です。彼女たちは本当に献身的でしたが、内心どうだったのでしょうか。当時はそのようなことは全く気にも留めていませんでした。営業課フロアーは常に煙草の煙が充満し、その煙は当然店頭の客溜まりにも広がるのです。店頭に訪れるお客様も殆どが男性で多くは喫煙される方だったのでしょう。当時は当たり前の光景だったのです。女子社員の中には閉口していた人もいたかも知れません。

3年間初任地で勤務し、異動した次の支店の営業課長の中には、課員の席を廻りながら、一旦火を消して灰皿に捨てた吸い殻を拾って、爪楊枝に刺して吸ったりしている方がいました。当時、証券界は好況とは言えない状況でしたが、それでも、特に営業課長ともなれば、他の会社などと比べれば多額の報酬を受け取っていたのです。煙草を買うお金に困ることなどあり得ないのですが、件の営業課長はこれ見よがしに爪楊枝で刺した短い煙草を吸うのです。その煙草の煙が一段と臭く、目に染みるのです。元々煙草が苦手だった私が、煙草を敵視するようになったのは、このことが発端だったように思います。

私は、営業店を3ケ店経験し、東京の本社に転勤しました。その頃は、まだ、オフィスや路上で煙草を吸うことは当たり前で、今のような喫煙者が肩身の狭い思いをするような世の中ではありませんでした。その頃、煙草について感じたことや、実際の経験をなんとなく書き留めていたものがあります。今となっては、色褪せた内容かも知れませんが、いい機会なので、公開させていただこうと思います。次回以降、短い文章ですが、一つずつ上げさせていただきますので、よろしければご一読ください。

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