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TVアニメ『21エモン』全話ガイド①

 『21エモン』は、藤子・F・不二雄によって主に1968年から1969年に週刊少年サンデーで連載されたマンガ作品です。そしてこの記事は、連載から20年以上を経た1991年5月2日から1992年3月26日に39回に渡ってテレビ放映された、アニメ『21エモン』の全話を紹介するガイドです。

 放映当時は毎週の放送を心待ちにしていた、大好きなアニメ作品のひとつです。後にDVDセットを購入して視聴したのですが、最近になって原典である原作マンガ本を購読したのをきっかけに、再び全話を視聴しました。その勢いもあって今回、TVアニメ全話の紹介を思い立ちました。

 この記事では、私と同じように放映当時や再放送などでアニメ『21エモン』を楽しんだ方に向けて、作品を懐かしく振り返ったり、気になっているエピソードがどの回だったかを確認して頂くことを目的としています。DVDセットは投稿時点でやや高額になっていますが、amazonプライムなどで一話単位の視聴も可能となっており、一話ごとの解説が視聴の参考にもなればと思います。なお、視聴済みの方を読者として想定しているため、各話のオチも含めて全篇ネタバレになっていますので、ご注意ください。また、一部はWikipediaの情報も参照しています。

 内容的には一記事でも構わないのですが、長くなりすぎて見づらくなるのを避け、各話が目次に表示されることを目的に、10話単位の4回に分割して投稿します。また、各回で新装版コミックのどのエピソードが使われたかについても、それぞれ記載します。

第1話 僕ドラえもん僕の友達 エモン君の宇宙大冒険!

原作:1巻1話「ホテルつづれ屋」
 時は2051年、主人公エモンは東京の「ホテルつづれ屋」の21代目の少年。冒頭からエモンは、初の宇宙旅行に旅立つため宇宙港に向かい密航を図る。芋掘りロボットのゴンスケにアシストされながらも最終的には邪魔されて失敗する。登校日を思い出して学校に行った帰りに宇宙人の宿泊客を拾う。隣家であり、「つづれ屋」と違い巨大ホテルチェーンの一人娘であるルナも客を勧誘するが、途中から急にトーンダウンしてエモンに譲る。宿泊客のもてなしを通してホテルつづれ屋の日常を描く。客が帰る段になって、お金を支払う習慣のない客だと知り、つづれ屋一同が驚愕。客は代わりに星のスイカを渡そうとバッグを探るが、ここで客に付いて密航していたモンガーが飛び出す。原作とは違い、モンガーは初めから無制限に話すことができる。
 タイトルに「ドラえもん」とあるが、エモンが密航しようと向かった宇宙港でのカメオ出演のみで、セリフなし。人気のドラえもんの名前を第一話のタイトルに出して、視聴者を引き込もうという意図で、ストーリー上の関連なし。Google検索でも「21エモン ドラえもん登場」といったサジェストが表示されるのはこのカメオ出演のこと。当時の新番組宣伝でも、大山のぶ代の声で「僕の友だち21エモンくんが...」と告知していた記憶がある。

第2話 トウキョウシティ! 21代目エモンvsモンガー?

原作:1巻2話「モンガーで客寄せ」
 冒頭は1999年に地球に宇宙人が初めて訪れ、その後の地球で大宇宙時代が幕を開けた21エモンの未来世界の歴史を解説。この回は21エモンたちがモンガーの周りで起こる不思議な現象に驚きながら、モンガーのもつテレポート能力に気付く流れ。最終的にモンガーのテレポートの客寄せで、普段は閑古鳥が鳴いているホテルつづれ屋が大繁盛する。ただし、テレポートによる客寄せに成功するのはこの初回限り。飛行機プラモで空を飛ぶエモンと競争する、ヒロイン・ルナのお転婆で強気な一面も見ることができる。
 メイドロボットのオナベはモンガーのテレポートサービスで忙しくなったために、このタイミングで取り寄せられた設定になっている。原作では第3話から特に説明なく登場している。

第3話 あっと驚くゴンスケ! 不思議な客タイロック?

原作:1巻3話「人喰いさまのお泊り」、1巻5話「銀河の間へご案内」
 原作で、ゴンスケが猛獣を客と間違ってくるエピソードと、ボール状のミリオネア星人が人型に合体して一人分の勘定で宿泊しようとして混乱する話のふたつをミックス。宿泊客からチップを稼いで宇宙旅行に行こうとするエモンが、裕福だと吹かすミリオネア星人に狙いを定めるが、徐々に異変に気付く。活躍するモンガーに嫉妬するゴンスケが罵詈雑言を浴びせるシーンで、「あまりにきたない言葉なので音声を音楽にきりかえます。」というテロップが入って静かな音楽が流れるシーンが笑える。家出したモンガーを偶然出会ったルナがファーストフード店に連れて行き、なだめている。
 正体がバレてお金がないことを打ち明けるミリオネア星人たち。こんなものしかないけどと、故郷の石を大量に置いて立ち去るが、実は彼らの星の石ころはダイヤモンドだった。父20エモンの受け取れないという言葉で、宇宙港へとミリオネア星人たちを追いかけるエモンとモンガーが、テレポートで発射直後のスペースシップに搭乗してしまったところで、次回につづく。

第4話 星雲間亜光速ロケット! ミリオネヤ星人の秘密

原作:1巻6話「超特急ロケット」
 ミリオネア星人にダイヤを返そうとシップに乗ったが、無賃乗船としてクルーに捕らえられたあと、船長に許されてボーイとして働くことになる。ミリオネア星人を探そうとして問題を起こし、強制的に送り返されそうになるが、ダイヤのひとつを差し出すと船長たちの態度が急変しVIP扱いになる。その後、客のなかに見当たらないタイロックが船で労働しているところをようやく発見。星の習慣から断固として返却を受け入れないミリオネア星人らに、スペースシップを購入してプレゼント。救命用ボートを借りて地球に向かうが、客船を追う海賊船に誤って潜入。ピンチを乗り越え、宇宙パトロール船、家畜運搬船と乗り換えて地球への帰還を果たす。
 宇宙を舞台にしたエピソードはこれが初回で、エモンにとっても初の宇宙体験となる。テレポートで次々船を乗り換える後半には、SF小説『銀河ヒッチハイクガイド』も連想。

第5話 ハッピーレポート! 超人スカンレーの伝説秘話

原作:1巻7話「宇宙パイロットへの道」
 生きる伝説のパイロット、宇宙探検家スカンレーが登場。憧れのスカンレーと偶然出会ったエモンは大興奮。つづれ屋に連れ帰り宿泊させる。一方、エモンにホテルを継いでほしい父20エモンはしょげ返る。20エモンの気持ちを汲んだモンガーの頼みもあって、スカンレーは義手、義足など半ば機械仕掛けの自身の裸体をエモンに見せるように誘導し、宇宙探検の恐ろしさを説く。原作では一話限りの登場で、単に豪快なだけの人物として描かれるスカンレーだが(エモンに裸体を見せるのも単なる偶然)、アニメではこの回以降、エモンを導く先輩として重要な役割を担って要所で登場する。
 アニメオリジナルキャラで21エモンのライバルでもある、ホテルオリオンの御曹司リゲルの登場が増えてくる。

第6話 ハッピー昭和村? ワントナック公爵はレトロ好き

原作:1巻4話「ワントナック公爵」
 ホテル・ギャラクシーで退屈に過ごす要人ワントナック公爵は、護衛の目を掻い潜ってホテルを抜け出す。レトロ好きの公爵は、偶然出会ったエモンたちに連れられて向かったホテルつづれ屋を気に入って宿泊する。エモンたちと合流していたルナは、公爵にギャラクシーを悪く言われたこともあって、挽回しようと4人で東京観光に繰りだす。文明の発達した星に住む公爵は地球一のトウキョーシティーを退屈だとバカにし、これに怒ったルナは離脱する。モンガーが提案したレトロな昭和村を訪れた公爵は、これをたいそう気に入って満足する。終始、追い回していた刺客たちは、あっさり公爵に倒されている。公爵が大事にしていたのは、犬そっくりの外見である公爵がオシッコするときに使用するポールだった。
 ルナの父が登場。この時点では「おたくも大変ですなー」と言葉を交わす20エモンとの挨拶はよそよそしく、エモン・ルナ・リゲルの父親同士も過去に同級生だったという設定も、開始当初は存在しなかったのかもしれない。
 なお、市街地の観光中に宣伝用飛行船のモニターにドラえもんが写り、初回以来二回目のカメオ出演を果たす。やはりセリフなし。

第7話 フラッシュポイント!! コイケラス星人怒りの攻撃

原作:1巻9話「怪獣キャプテン」
 宇宙港でギャラクシー、オリオン、つづれ屋のそれぞれが宣伝用の出し物を披露する。ギャラクシーとオリオンの大ホテルはルナとリゲル発案の豪華映像が流れる一方、ゴンスケがカラオケセットで客寄せするだけのつづれ屋。エモンはリゲルに嘲笑されて悔しがる。半ば無理矢理連れ帰った客に、パパ20エモンが昔なつかしいウルトラマンに似た怪獣特撮映画を見せてもてなすが、倒される怪獣が客の宇宙人コイケラスにそっくりで激怒を買う。事態の収拾に訪れた別の宇宙人に怪獣映画を見せるが、やはり宇宙人とそっくりの怪獣が倒されるシーンで、事態が悪化する。最終的にギャラクシーの地下にあった怪獣の着ぐるみを使って新作映画を撮影し、怪獣たちとヒーローが仲直りする内容で宇宙人客たちの留飲を下げる。
 コイケラス星人は小池さんそっくりの風貌で、やはりラーメンが好物。

第8話 不思議ズタ袋? ハッピー商事の陰謀!

原作:1巻10話「わがままな福の神」
 冒頭、テニスのようなノンエアスポーツを楽しむリゲルとルナ。それを避けてモンガーと遊ぶエモンだが、リゲルにテニススーツやスペーススーツを自慢されて悔しがる。今回の宿泊客は大黒様そっくりのハッピー商事のラッピー。社員旅行の幹事として宿泊先の調査だという話に父20エモンは張り切る。しかしこの男、今でいうモンスターカスタマーでタチが悪く、つづれ屋に様々な無理難題を吹っ掛けるだけでなく、四次元ポケット同等のズタ袋で窃盗の悪事を働いている。ラッピーは、宿泊の終わりに20エモンに賄賂を持ちかけるが、それまで平身低頭だった20エモンが毅然として担架を切る(本作きってのパパ、20エモンの見せ所である)。騒動のさなか、ゴンスケに伴われてハッピー商事の社長が登場。ラッピーをクビにしたうえ、つづれ屋に感謝して団体旅行の契約を決めてハッピーエンド。パパからお小遣いをもらったエモンだが、新しいテニススーツを買えるほどではなく、女物のスカートのテニススーツをレンタル。テニスではリゲルに勝利するが、ルナの前でやっぱり恥ずかしいと顔を赤らめてオチがつく。ルナは可愛いと喜んでいた。
 胸糞なハッピー商事のズタ袋の男だが、間寛平の「誰がじゃ?どうしてじゃ?」のネタを披露するコミカルな場面もある。

第9話 アルバイトで200万! スペーススーツ獲得大作戦

原作:3巻8話「アルバイトも大変だ」
 エモンが新型スペーススーツを購入するために金策に奔走する回。はじめはホテルでチップを稼ごうとするがゴンスケに敗れて撤退。子供向けのバイト紹介所で引っ越しの仕事をもらう途中、裕福だが教育上の方針で同じくバイトをするルナから、狙っているスーツが200万もすることを聞いて驚愕する。モンガーのテレポート能力を使って引っ越しのバイトをこなすもなかなか思うように稼げないなか、偶然スーツのデザイナーと出会い、所望していた廃棄予定のスーツを入手する。最後は、スーツだけでなくスペースシップを買うためにやっぱりもっとお金が要るといって、モンガーを呆れさせる。
 リゲルもドライバーのバイトで登場。狭い地下の家への引っ越しで満足する若い夫婦の姿からは、まだバブル崩壊直後だった放映当時の地価や「夢のマイホーム」といった世相を感じなくもない。200万のスーツに驚く辺りなど、貨幣価値は放映当時と同じらしい。スーツデザイナーのお手伝いロボットはゴンスケそっくりのガンスケ。性格はゴンスケと違って真面目。

第10話 危機一髪!! 火炎地獄から脱出 謎の暗黒へワープ

原作:―
 初のアニメオリジナル回。話としては前回のアルバイトの流れを汲んで始まる。様々な異星人が暮らす宇宙人居住区の集合住宅で、入手したスーツの性能を確かめようと意気込むエモンとモンガーが疑似宇宙体験をする。途中でモンガーとはぐれて迷子になるエモンを、ルナ、ゴンスケ、モンガーの三人が捜索する。エモンの行方不明をひどく心配する両親の前で、珍しく訪れた普通の宿泊客が無視されてしまう一幕も。ラストでルナから修学旅行先が火星に決まったことを知らされたエモンは大歓喜する。
 エモンを捜しに出かけたゴンスケが誤って突っ込むルナの入浴シーンは、『ドラえもん』のしずかちゃんさながら。エモン捜索中のモンガーとゴンスケの忍者ごっこに笑う。

 というわけで、今回は第10話まででした。次回は火星への修学旅行や、エモンが大金を手に入れてルナたちと宇宙旅行に出発する11~20話です。それでは次回も「未来冒険に~? テイクオフ!!」

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