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TVアニメ『21エモン』全話ガイド③

 前回につづいて、TVアニメ『21エモン』全話ガイドの三回目です。今回は第21話から第30話まで。全篇ネタバレです。

第21話 木星異常接近!! 衝撃度99%のソーラーヨット?

原作:―
 前回の続き。救援を呼ぶために身一つで宇宙に飛び出したエモンは、エモンを捜していた違法砕石船の男に機銃で狙われる。危ないところを間一髪で宇宙監察官に救われ、違法船の二人は逮捕される。以前から狙っていた二人を逮捕できたとエモンに感謝する監察官は、小惑星にいたルナたちを拾ったうえで、ハルカが住むガニメデまでついでに送り届けてくれるという。ガニメデへの途上で出動要請を受けた監察官は、ガニメデまで自動航行するオートパイロットのソーラーヨットを離れる。オートを解除して寄り道したいと言い出すエモンに、リゲルやモンガーは反対するが、旅が終わるのを寂しがるルナがエモンに賛成する。調子に乗ったエモンの判断ミスで、あわや木星墜落というピンチを経て脱出したところで、ルナが発病して倒れる。
 監察官に救助された後のエモンが、テレビのインタビューに答えつつ、つづれ屋の宣伝をしている。それを地球で見ていた両親と、偶然宿泊していたスカンレーがエモンの無事を知って安堵する。スカンレーは二度目の登場。

第22話 ガニメデ到着! 出逢いはすてきな恋の始まりか?

原作:―
 全4回の木星旅行編の最終回。ガニメデに到着した一同は、救急車で病気のルナを病院に搬送する。過労による発熱ということに一安心したエモンは、お見舞いのリンゴを買いに行った帰り、病院から連れ去られようとするルナを助けてカーチェイスをする。ルナを連れ去ろうとしたのは、治安の悪いガニメデの犯罪者ではなく、ルナの父が差し向けたホテル・ギャラクシーのイオ支店の従業員たちだった。ルナの父はリゲルの密告から、ルナを連れ戻す決断をしていたのだ。誤解を解いたルナたちは、一度は見つからないハルカを諦めて、ルナの父とともに木星を去ろうとするが、ルナの「私たちの旅はまだ終わっていない」という言葉をきっかけに、監察官に再会することを決める。監察官の家を訪れたエモンたちを出迎えたのは、エモンの幼馴染のハルカだった。監察官はハルカの父親だったのだ。歓談するエモン一行とハルカ一家。アルバムの幼いエモンにはしゃぎながら両手に花のエモンと、それを羨む両手にイモとタヌキのリゲルを映して木星への旅が終わる。
 ルナの病気を心配するエモンたちと並行して、凍りついたゴンスケとそれを一応救うモンガーの二人による漫才は相変わらず。

第23話 地球消滅! 超人エモン異次元ポケットに迷う?

原作:―(3巻5話「木星は監獄だ」)
 全篇ネタバレ前提なので、結論から言うと連続する三つの夢オチで構成されるエピソード。宇宙旅行から帰ったエモンが見る悪夢の体裁になっている。以降はエモンが見た三つの夢を順に紹介する。
【悪夢①】
 木星で強制労働させられるエモン、同じく強制労働させられているリゲルとルナはエモンへの怨みを口にする。エモンが見上げた先には十字架に鎖で括りつけられたモンガーとゴンスケがいる。幻覚の両親を追いかけて、崖から落ちたところで目が覚める。ストーリー上は関係ないが、強制労働用のスーツなどの描写は上記の原作「木星は監獄だ」のデザインが使われている。おそらく、この原作回から膨らませたエピソード。
【悪夢②】
 今回のメインエピソード。地球に到着するとルナの父とリゲルの母がそれぞれを迎えに来ているが、エモンの両親は見当たらない。つづれ屋にテレポートしてみると破壊された跡地になっている。作業用ロボットから、ホテルは解体されて借金を払えなかった両親は夜逃げしたと伝えられる。作業用ロボットがギャラクシーのものだと知ったエモンはルナの父に会いに行くが、直接つづれ屋を追い込んだのがギャラクシーらしいことがわかり、ルナとも決別する。廃棄されたオナベを偶然助けたエモンたちは、両親が木星の収容所に送られたと聞き、呆然とする。つづれ屋跡地に踏みとどまるエモンたちの元に、事情を知ったルナとリゲルが駆け付けて協力を申し出る。翌日、つづれ屋の跡地を死守しようと一同は作業用ロボットたちに抵抗するも、次々と陥落してエモンが絶体絶命に陥った瞬間に目が覚める。
【悪夢③】
 帰還中の宇宙船内で目覚めたエモンだが、突然の船内連絡のあとパイロットから、星間連合非加盟の星による攻撃で地球が消滅したとの連絡を聞く。これも夢だと言い張るエモンが叫んだ後に、目が覚める。
【現実】
 目覚めると、既に自宅のベッドにいる。久々の自宅の安楽さを満喫するエモンが父20エモンに呼び出されて倉庫に行ってみたところ、父がウキキからもらった金塊で手に入れたスペースシップがエモンのために用意されていた。喜びのあまり、これも夢ではないかと疑うエモンだが、資金の関係でエンジンが備わっていないことを知り、現実だと悟る。
 夢オチとはいえ、TVアニメ版では珍しく不吉な印象を残すオリジナルエピソード。ルナの父親が大人の事情でつづれ屋を潰してしまってエモンには黙っているところなどは現実味がある。夢のなかではあるが、リゲルの母が唯一登場する。おそらくエモンの妄想ではなく、実際に息子を宇宙港に迎えたリゲルの母の姿を映したものだろう。ラストでは、なぜか博識になったゴンスケによる、エモンが見た夢に対する精神分析風の説明が入る。最後に「良い夢を・・・」のテロップ。

第24話 突然変異か! 新能力か! モコラの世にも奇妙瞬間

原作:―
 相変わらず客のいないつづれ屋は宇宙港で行き倒れていた、ぬいぐるみのような宇宙人モコラを拾ってくる。モコラの食糧は鉄で、一晩で急速に成長するモコラにホテルの面々は目をむく。連邦入星管理局に密入国でモコラが追われていることを知った一同は、スペースシップを解体して倉庫を空けてモコラを匿う。ゴンスケの裏切りでピンチを迎えるも、モンガーのテレポートでなんとか切り抜ける。迷惑をかけていると感じた巨大なモコラが自らの星に帰ろうと宇宙港に出向いて、パニックになったところで機械修理工場を営むモコラの父親が上空から現れ、実は家出だったモコラを連れてエモンたちに謝罪しながら星に帰る。
 ストーリー上とくに必然性もなく、なぜか連邦入星管理局の調査員が非常にナルシスティックな中年男性として描かれる。元ネタは不明。

第25話 スーパー超能力! レストアロボのどっきり恩返し

原作:―
 前回バラバラに解体してしまったスペースシップを元に戻すため、エモンはクラスメイトを倉庫におびき寄せて組み立てを手伝わせようとするが、呆れた級友たちに帰られてしまう。唯一ルナだけが居残り、自主的にエモンの作業を手伝う。モコラの父親の従業員たちが宿泊するという連絡を受け、団体客を待ち受ける父20エモンだが、深夜になっても客は現れない。翌日、エモンが目覚めるとなぜかスペースシップの組み立ては完了しており、つづれ屋じゅうの機械が修理されるか、調子が良くなっている。スポーツカーにも負けないスピードを出すようになった送迎車でリゲルと市街レースを繰り広げるエモン。帰宅後に、団体客はとても小さな修理用ロボットで、シップの組み立てをはじめホテル内の機械の快調は、彼らの修理やチューンナップによるものだと判明する。高性能化した送迎車のモーターを使ってスペースシップの試運転に成功するエモン。ホテル・ギャラクシーの自室から見守り、祝福するルナ。
 序盤でゴンスケが、高飛車な女性型ロボットに解体されたエモンのシップを献上してしまう。ゴンスケが言い寄るロボットがボディコンだったり、ゲームボーイらしき玩具で遊ぶモンガーに、1991年という時代を感じる。

第26話 謎のサルガッソー! ロマンチックサルベージ?

原作:―
 パパが購入してくれたスペースシップの中古エンジンを探しに街に繰り出したエモンだが、エモンの船は30年前の珍しい型で、エンジンだけで2000万円するという中古シップ店員の話を聞いて絶望する。そんな中古シップ屋でエモンは偶然にも当時パイロットをしていたガトミックという老人に出会う。ガトミックは過去にエモンと同じシップを操縦しており、その性能を高く評価していた。ガトミックから宇宙の墓場サルガッソーの話を聞いたエモンは、大量の難破船が漂流するサルガッソーなら古い型のエンジンも入手できるのではないかと思い立つ。そんな折、スカンレーがサルガッソーに挑戦するというテレビのニュースを目にする。常宿であるつづれ屋に宿泊したスカンレーにサルガッソー行きが事実であることを確かめたエモンは港に止まるスカンレーの宇宙船に密航する。これにいつも通りモンガーと招かれざるゴンスケが同行。「つづく」テロップを表示して終了。
 スチュワーデスとして若くして事故で亡くなったガトミックの妻はとても美しく、過去の幸せそうなガトミックの回想が流れる。ガトミックのお手伝いロボットはオナベそっくりのオミソ。おせっかいな性格もオナベと同じ。

第27話 魔物伝説! マグネットパワーで正体をあばけ

原作:―
 前回に続き、サルガッソーに向かうスカンレーとエモンたち。サルガッソー航行禁止条例はガトミック条例とも呼ばれ、航行局の副局長も務めたガトミックが定めたルールだという話を、エモンはスカンレーから聞く。エモンにとってスカンレーが憧れの存在であるように、ガトミックは子供の頃のスカンレーが憧れた伝説のパイロットだったのだ。磁気を無力化する装置AMS(Anti Magnetic System)を駆使し、スカンレーのシップは強力な磁気を発するサルガッソーに入り込む中心部にたどり着く。そこでエモンたちを迎えたのは、大量に生息するガウシーと呼ばれる可愛らしい生物だった。かつてのガトミックも実はサルガッソー入りに成功していたものの、ガウシーたちの生活を守るためにサルガッソーを航行禁止に指定していたのだった。ガトミックの意図に気付いたスカンレーとエモンは、そのままサルガッソーを離れる。地球への帰還後、スカンレーはガウシーたちを守るため、メディアからのAMS設置調査失敗の批判を甘んじて受ける。そしてエモンも証拠を残さないために目的だったエンジンを持ち帰ることを諦めたのだった。そんなエモンのもとにガトミックが現れる。目くばせでエモンがガウシーたちの秘密を守ったことを知ったガトミックは、亡き妻との美しい思い出が宿る宇宙船のエンジンをエモンに託して上機嫌で去っていった。
 ガウシーたちとエモンたちとの通訳は、磁場の影響で一時的に高性能化したゴンスケが務めていた。終盤、リゲルもエモンと同じように、スカンレーに憧れていたことがわかる。

第28話 マルチ星雲ツインツイン? パパたちの少年時代

原作:―
 35年前にエモンたちの学校の卒業生が送った地球歓迎のメッセージに応答が帰ってきた。エモンたちは応答のあったツイン星の学校から、訪問客を迎えることになる。そして、35年前にメッセージを送ったのはエモンたちと同じ学校を卒業したエモン、ルナ、リゲルの父親たちだったことがわかる。ツイン星からの訪問客はトッヂとドッチの二人だった。彼らはそれぞれ恒星を挟んだ別の惑星に暮らす、全くの鏡映しの存在なのた。そんな瓜二つの惑星から来た二人はお互いの存在をひどく嫌う。ホテルつづれ屋とホテル・オリオンに分かれた二人は、成り行きからキュービックテニスで勝負することに決まる。リゲルの父と20エモンの対抗心もあって、お互い激しい特訓を経て試合に臨むが、全く同じ能力の二人の勝負は決着がつかず、ルナの言葉で水入りとなる。夜になってそれぞれ散歩をしていたツイン星の二人は、街中で偶然出会ったことをきっかけに意気投合する。翌日、ダブルスでエモン・リオン組と対決して圧勝したツイン星の二人は絆を深め、ツイン星の二人の歓迎は成功に終わる。ラストではスペースシップのエンジン接続完了を描き、エモンの宇宙旅行への出発を予感させている。
 全話中で唯一、リゲルの父親が登場する。父親二人の関係もエモンとリゲルと変わらず、二人は大人気なく競い合う。年に似合わずテニスで張り切って腰を痛めたリオンとエモンの父親を諫めるのが、ルナの父親であるところも変わらず。ちなみにリゲルの父の名は「オリノ マサカズ」。リオンのフルネームは「オリノ リオン」ということになる。

第29話 無限トランクで大変身!! マジカルパワーモンガー

原作:―
 ハリハリフラワーと名乗る関西弁のガラの悪い男がつづれ屋にある宿泊客を探しに訪れるが、そもそも誰も宿泊していない。一方、エモンたちはあるはずの客室のひとつが見当たらないことに気付き、マジカル星のポロロッコリーという若い男が不思議な道具を使って部屋の存在を消し、黙って宿泊していたことを知る。不思議グッズの営業マンであるポロロッコリーは、仕事への適性のなさからすっかり自信をなくしていた。そんなところに冒頭のハリハリフラワーが現れる。男はポロロッコリーの先輩従業員だった。ポロロッコリーが持つ無限トランクを奪うために現れたハリハリフラワーは、エモンたちと争いになるが、アクシデントからモンガーがトランクを呑み込んでしまう。諦めて立ち去るハリハリフラワーと、無断宿泊を謝罪しつつ仕事を辞めて星に帰ると話すポロロッコリー。エモンはポロロッコリーが残した透明化する道具を使って、反対する両親に黙って宇宙に旅立つことを思いつく。一方、実はポロロッコリーからお詫びとして同じ透明化する道具を贈られていた両親は、エモンの出発に気付きながらも、涙をこらえつつ気付かないフリをして見送るのだった。
 途中、リゲルがエモンに対抗して製造中のスペースシップをルナに見せびらかし、透明化したエモンとモンガーが邪魔をする一幕がある。
 モンガーが呑み込んだ無限トランクには不思議グッズが詰まっている。モンガーはランダムにしか道具を吐き出すことができないが、部分的に『ドラえもん』秘密道具の能力を手に入れた形になる(『モジャ公』が口からランダムに道具を取り出す設定にも似ている)。しかし、この能力は後のエピソードで大して活躍しない。残り10話でわざわざモンガーに新たな能力を与えながら、あまり活用しなかったあたりは不思議である。

第30話 キャプテンは俺だ! 冷暖星・超空間ゴースト戦

原作:4巻8話「炎の星」
 再び宇宙旅行に出発し、今度は自らのシップで自由に旅をするエモン、モンガー、ゴンスケの一行。モンガーは誰もいないはずのワープ中の空間で扉がノックされるという、宇宙船に起こる怪談をエモンに語って聞かせる。そんななか、モンガーの怪談通りにノックをして現れたのは冷気の化け物だった。急いで無人の寒い星に降り立った一行は、しつこく彼らを追跡する化け物から必死に逃げ回る。間一髪のところで空に太陽がのぼり、冷気の化け物が溶け落ちる。同時に星の住人たちが宇宙船で一斉に到来し、エモンたちを救援。寒い気候に適応できない彼らは、二つ存在する惑星のうち暖かい星への移住を渡り鳥のように繰り返し、寒い側の星は常に無人になるのだった。
 第19話以来となる、原作をベースにしたエピソード。以降、実質的な最終話である第38話まで、三人組のスペースオペラが続く。木星旅行編と同様、この回でもゴンスケは凍結させられている。

 今回はエモンたちが再び宇宙旅行に出発した30話まで。次回は第31話から、いよいよ最終回となる第39話まで。硬派なSF回としても知られる「パッピー星」や「オートマ星」のエピソードも登場します。それでは次回も「未来冒険に~? テイクオフ!!」

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