TVアニメ『21エモン』全話ガイド②
前回につづき、TVアニメ『21エモン』全話ガイドの二回目です。今回は第11話から第20話まで。全篇ネタバレです。
第11話 大気圏離脱もう戻れない!! エモン未知の世界へ?
原作:1巻8話「火星へ遠足」
原作では遠足だが、アニメ版は修学旅行。同行を迫らずに、妙にあっさり引き下がったモンガーは、火星行きのシップ内でエモンのカバンのなかに忍び込んでいたことがバレる。火星到着までシップ外壁にとりついていたモンガーがエンジンを食べたことで墜落しそうになるが、やはりモンガーのテレポートで事なきを得る。宿泊先の客室が同じことなどから、今回はリゲルとエモンの仲違いがとくに際立つ。火星からの観光バスの車中でも喧嘩した二人。リゲルの啖呵へのエモンの反応を真に受けたモンガーが、エモン、リゲル、ルナとともにテレポートでバスから地上に降りてしまう。バスは既にモンガーがテレポートできる3kmから離れてしまっており、4人は遭難してしまったことに気付く。重々しい効果音とともに「つづく」。
宇宙船内の会話で、ルナが2040年に月の都市に生まれたことがわかる。バス車内ではエモンとルナがイイ感じに。モンガーのテレポートでリゲルが派手なパンツを履いていることがバレ、リゲルファンの女子二人が興奮する。
第12話 マジカルプラネット!! 観光用ロボットの反乱?
原作:前回と同じ
モンガーの連続テレポートで街まで移動しようと試みるが、3000kmという遠距離にモンガーがバテてしまう。歩いて移動するなか途中で野生化した観光客向けのタコ型ロボットに捕まってしまう一同。しかし狂暴と誤解されたロボットたちは実は温厚で、エモンたちをロボットハンターと誤解していたのだった。ロボットたちが過酷な強制労働から逃れて、自由に暮らせる星に移住しようとしていることを知ったエモンたちは、彼らを捕えようと迫りくるロボットハンターの一群に立ち向かう(ハンターがホテル・オリオンに雇われたと知ったリゲルがショックを受けるシーンも)。エモンが出発時にママに託されていたつづれ屋に伝わるお守りのなかに入っていた10万円金貨が役立ち、ロケットは無事、移住先に向けて発射される。その後はモンガーを浮袋に、運河を流れてローエル市まで帰還。先生のお目玉を喰らって一件落着。
一応、原作のあるエピソードだが、1話分のマンガを2話分のアニメにしているためオリジナル要素がメイン。原作で登場するタコはロボットではなく生物。単に野生化して暴れているだけで、本作のような込み入った背景はとくに存在しない。
第13話 オーチンが消えた! まるごとサスペンスパニック
原作:―
オリジナルの探偵物語。最新式の宇宙マップが欲しいとバイトを探すエモンは、子供センターで探偵助手の仕事を見つける。しかし、助手を募集していたアケッチー探偵は貧窮しており、そのうえ非常にだらしなく、見栄っ張りな男で、仕事どころか家賃滞納などで首が回らない様子。おりよく掛かってきた依頼の電話に気を良くしたお調子者の探偵は、エモンとモンガーを連れ、女王陛下だというセクシーな依頼主の女性に会い、行方不明になったペットの捜索を引き受ける。ペットのオーチンを無事確保するも、途中で合流したルナはペットの扱いに不審感をもつ。女はエモンらの詰問に身代金目的で女王のペットを誘拐した盗人であることを明かす。オーチンを奪取して逃げる女との追跡劇を経て、お縄を頂戴。冴えないアケッチーが名を上げる。エモンには宇宙警察からのお礼として、欲しかった最新式宇宙マップを与えられる。次回も探偵物語が続くかのような幕切れだが、一話限りのエピソード。
今回からエンディングテーマが二代目に変わる。放映日は8月15日と番組改変期でもなく、意図不明なタイミングでの曲変更だった。
第14話 ワクワク冒険大活劇? 東京ベイブリッジ物語!!
原作:2巻2話「海底の秘宝」
学校での図画に始まり、話の流れでルナがエモンを富士山へのデートに強引に誘うが、嫉妬するリゲルが妨害して未遂に終わる。相変わらず金策に励むエモンは、歴史だけはあるホテルつづれ屋の倉庫に保管された古品の売却を思い立つ。骨董屋に持ち込むもロクな値段がつかないが、唯一鑑定不能の巻物に書かれた内容を頼りに、隠されたお宝の発掘に乗り出す。芋掘りロボットのゴンスケの力を借りて自宅の地下やギャラクシー食品部の農場を掘り返した後、ルナと合流して最終的に海底から家宝を発掘する。お宝の中身は当時の宿帳と、江戸時代にはないはずの懐中電灯だった。馴れ馴れしい客の登場とともに次回への含みを残しつつ終了。
お宝発掘のほか、冒頭はじめルナがエモンに大胆にアプローチする、ラブコメ要素が最も強い回のひとつでもある。ギャラクシー食品部のシーンでは、ルナの接近にエモンが赤面する。骨董屋に間違って鑑定されたゴンスケの値段は、マイナス3万円。
第15話 お江戸5エモンモーニング? 謎のジュゲム星人!!
原作:2巻9話「久しぶりだね5エモンくん」
前回発掘した懐中電灯を不思議に思うつづれ屋一家のもと、ジュゲム星のチョーキューメーという宇宙人の男が訪れる。男はつづれ屋一家との再会を喜ぶが、一同は覚えがない。平均寿命が2000年の宇宙人チョーキューメーが前回会ったのは、江戸時代の4エモン、5エモンたちだったことが判明し、当時地球に不時着したチョーキューメーの回想から江戸時代の祖先たちの姿を伝え聞く。江戸時代の顔触れも現代と同じ。現代と別個体のモンガーは偶然同時期に地球へ不時着していた設定で、最後にテレポート能力でチョーキューメーの宇宙船を地球外まで運ぶのを助ける役割を果たす。ゴンスケ、オナベは人間化。ルナは銀河屋という人気の旅籠屋の一人娘で、21世紀同様につづれ屋を馬小屋にする話を持ち掛ける。リゲルは佐々木小次郎をイメージしたキザな侍。これに、宿賃を払わずつづれ屋に長逗留している平賀源内が加わる。前回見つかった懐中電灯は、当時のチョーキューメーによるせめてもの御礼だったことがわかり、家宝の謎が解ける。回想が終わり財布を忘れていることに気付いたチョーキューメーが、お金を取りに戻ると慌てて飛び出すが、往復に80年かかるのにと、つづれ屋一家は呆れながらも先祖の話を聞くことができたことに満足する。
懐中電灯が家宝として発掘される前回と今回の接続は、アニメオリジナルの設定。原作ではそれぞれ関連のない、離れた話数のエピソード。
第16話 だるまさんがころんだ? ゴリダルマの五ツ星
原作:2巻5話「客間にイモ畑」、2巻6話「死ンデモイモヲ作ルダゾ」、2巻10話「ゴリダルマ氏来る」
原作三回分を使用したエピソード。ボーイのチップなどで大金を集めたゴンスケが、金を払ってつづれ屋の客室を借りてイモ畑をはじめる。モンガーの力で、ゴンスケと畑はホテル・ギャラクシーの地下にテレポート。ルナの了解を得る。そんなドタバタの最中に珍しく宿泊客が訪れる。料金滞納で電気水道などを止められるなか、父20エモンが知恵を凝らして何とか接客しようと奮闘する。食糧に困るものの、ゴンスケのイモがあることを思い出し、イモのフルコースを振る舞う。料理をはじめ、五右衛門風呂、行灯など、手作りの接客に大満足したゴリダルマ氏は、実は有名なトラベルライターだった。銀河系の5つ星ホテルに認定されたつづれ屋は、モンガーのテレポートサービス以来の大繁盛となる。追い出されていたゴンスケもイモ作りが評価されて、客室でのイモ作りが正式に認められる。
原作はゴンスケの守銭奴、拝金ぶりが際立つが、アニメ版ではこの回でプラチナカードをちらつかせて買い物をする程度にとどまる。原作のゴンスケをフィーチャーしたエピソードはアニメ版で使われないものが多い。
第17話 ウッキッキー? ウキキの木のチャネリング!!
原作:2巻4話「ウキキの木」
テレパシーで他人を自在に操る植物型の宇宙人がつづれ屋に宿泊する。ウキキに散々振り回されるエモンたちだが、次第にウキキが悪い宇宙人ではないことがわかる。つづれ屋の応対に満足して地球を去るウキキは、お礼としてエモンに巨大な金塊を贈る。この金塊は、その後のエモンの宇宙冒険の最大の資金源になる(原作では宇宙旅行の金主はゴンスケ)。
本筋以外にも見所の多い回。通信用モデムボールでの遠い銀河系の住人とのチャットは現在のネットにも近しい。珍しくエモンが、チャットを楽しんだルナとリゲルの会話に嫉妬する。父に対して21エモンが「さすが20世紀生まれ」と発言するところから、20エモンは最低でも50歳だと判明。アニメ版エモンが愛用しているサイクリングキャップが、過去に幼馴染のハルカが引っ越しのお別れにくれたものだということがわかる。帽子もハルカも、アニメ独自の設定。その他、女性型ロボットにフラれるゴンスケの姿も。
第18話 ウハウハ3億円! おぼっちゃまの忘れ物
原作:2巻13話「宇宙は招くよ」
前回でウキキから金塊を得たことで、資金を自力で捻出すれば宇宙旅行に行ってよいという父との約束が果たし、エモンはいそいそと旅行への準備をする。心配と家業を継がせたい想いから、どうしても旅立たせたくない父20エモンは、何とか息子を思いとどまらせようと策を巡らせる。20エモンに依頼されたルナはエモンを止めようと待ち受けるが、エモンが思いつきで答えた「幼馴染のハルカに会う」という旅の動機が気になり、逆に同行を申し出ることになる。さらにエモンとルナを二人きりにしたくないリゲルが、一行に加わる。3人にモンガーもいるということで、妥協して渋々、エモンを送り出す父。宇宙港での見送りからの帰宅後、エモンがつづれ屋のために使ってくれと金塊を残していったことに気付き、感極まる。一方、ゴンスケはエモンたちについていくため秘かに宇宙船に密航していた。
第19話 誘惑ワンダーランド? ホンキートンクホッパー!!
原作:3巻1話「月世界にて」
ひとまず月に到着する一同。予想外に密航したゴンスケの出費もあってホテルに泊まれないエモンは、それぞれ実家の支店に宿泊する二人と別行動を取る。金塊も家に残して金がないエモンは、目的地の木星に行くために宇宙船ショールームに来る富豪に狙いを定めて同乗を申し出る作戦をとる。リッチマンという気のいい富豪と出会ったエモンら一行は、木星行きの約束を取り付ける。そんななか、幼馴染のハルカがまだ引っ越し先の木星ではなく月にいるかもしれないという情報を得たエモンは、ハルカの住居を探り当てる。スピード狂のリッチマンの操るスピードホッパーでハルカの住所を訪れるエモンたちは、そこで初めて廃墟の危険区域であることを知ってピンチを迎えるが、これに気付いて後を追ったルナとリゲルに助けられる。偶然にも廃墟に地下資源を発見したリッチマンはエモンたちに感謝する。資源発掘のために同行はできなくなったものの、約束通り木星行きのチケットをエモンたちにプレゼントする。
今回の一部を除いて、一連の木星行きのエピソードは原作とは全く違う。ルナたちの同行やハルカの存在など、完全な独自路線となっている。
第20話 奇人変人悪人か! 不思議宇宙船から奇跡の生還?
原作:―
慌てて間違った船に乗ったエモン、モンガー、ゴンスケの三人は、予定通り木星行きの客船に乗ったリナ、リゲルと別行動になる。エモンたちが乗った砕石用らしい薄汚れた船には、いかがわしい二人のクルーが乗船していた。協力すれば木星近くまで連れて行くという約束にエモンたちは安堵するが、二人のクルーは違法な星の爆破をエモンたちに実行させることで罪を逃れる算段だった。途中で違法行為に気付いたエモンたちはクルーの手を逃れて宇宙空間に飛び出す。客船の望遠鏡で偶然エモンたちの苦境に気付いたルナたちがこれを救援し、一行は小惑星に不時着する。慌てる一同のなか、小惑星に空気を巡らせてテントを張り、死の不安からエモンを責めて泣き出すリゲルをなだめるなど、ルナが終始落ち着いた振る舞いをみせる。責任を感じたエモンは一人で救援を呼ぶために小惑星を飛び出す。レーザービームの発射による突然のピンチが訪れたタイミングで、シリアスな効果音とともに「つづく」テロップが表示されて終わり。
行動力、洞察力、現状把握と、ヒロイン・ルナのずば抜けた活躍が目立つ。作品きっての優秀なキャラクターであるヒロイン・ルナは、不時着先の小惑星で落ち着いた後には、間接的にエモンに対する好意も伝えている。モンガーとゴンスケのどつき漫才は相変わらず。
というわけで、今回は第20話まで。次回はハルカに会うための木星行き宇宙旅行の続き、宇宙船を完成させるまでのエモンの奔走、リゲルのパパの登場、無限トランクを呑み込んだモンガーのパワーアップなどを描く21~30話です。それでは次回も「未来冒険に~? テイクオフ!!」
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