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初めての海外旅行の香港でジャケット買いしたCDアルバムのあの歌手は誰だったのかを二二年後に調べるの巻 #6
「ARIGATOU」は日本のカバー曲だった
Amazon Musicで検索しても、「サミー・チェン」のキーワードで山のように曲が見つかった。
いくつか聴いてみたが、これは間違いなく実力派の歌手ではないか。
歌ってよし、演じてよし。相当の逸材だ。
すると、先ほどのウィキペディアの記事に次の記載を見つけた。
1993年、広東語のアルバム『大報復 AN EYE FOR AN EYE』でサザンオールスターズの「DING DONG (僕だけのアイドル)」(『世に万葉の花が咲くなり』収録)と大黒摩季の「チョット」などをカバー。「DING DONG」のカバー曲は「叮噹」、「チョット」のカバー曲は「CHOTTO等等」で『大報復』の歌詞カードでは作曲者がKAN CHINFA(康珍化)となっているが、織田哲郎が正しい。
サザンの「DING DONG」は知らないが、大黒摩季の「チョット」(1993年)なら知っている。これをサミー・チェンがカバーしているという。
ユーチューブで検索してみた。
CHOTTO MA TE YO
の字幕で笑ってしまった。確かに「ちょっと待ってよ」と言っている。
あの時代に数多あった日本の歌謡曲の中から、あえてこれを取り上げた選曲のセンスが面白い。
そのままウィキペディアを読んでいくと、下部の「関連項目」の欄に次のリンクを見つけた。
KOKIA『ありがとう…』
これは何なのか? クリックする。
「ありがとう…」は、KOKIAの3枚目のシングル。1999年6月17日にポニーキャニオンから発売された。
何と「ARIGATOU」はKOKIAなる日本のシンガーの曲だった。
大黒摩季の「チョット」と同じく、日本の曲のカバーだったのだ。
1999年に「ありがとう…」を収録した『songbird』が香港でも発売され、同年の香港国際流行音楽大賞でKOKIAの「ありがとう…」が3位を記録、サミー・チェンが広東語でカバーした「ARIGATOU」が1位を記録した。
考えてみれば、それもそのはずで、日本と何の関連もないのに、「ありがとう」などというタイトルの曲を作るはずもない。(確かに作曲者はKOKIAと表記されているけれど、これが日本人だと気がつくだろうか?)
その後、2006年にフジテレビ系『カワズ君の検索生活』のコーナー「泣ける2ちゃんねる」のBGMとして「ありがとう…」が使用され、翌年3月16日には改めて15thシングルとしてビクターエンタテインメントから発売されている。
『カワズ君の検索生活』なるテレビ番組は知らないが、どうやら「ありがとう…」は、二〇〇〇年の私の旅の後に、日本でリバイバルしたようである。
◇
そのまま続けて、KOKIAについて調べてみる。
KOKIA(コキア、本名:吉田 亜紀子(よしだ あきこ)。1976年7月22日 - )は、日本の女性シンガーソングライター・ボーカリスト。
現役の歌手のようだ。
芸名は、本名「亜紀子(あきこ)」を逆から読み「こきあ」それをローマ字表記「KOKIA」にしたものである。
こちらもAmazon Musicで調べてみると、たくさんの曲が引っかかる。
もちろんその中に「ありがとう…」もあった。
再生してみる。
今までずっと広東語で聴いていたものが日本語で歌われているから逆に違和感を覚える。(日本語バージョンは歌詞が字足らずのように感じられる。)
ほかの曲もいくつか聴いてみたが、これはボーカリストとしてタダモノではない、と音楽に疎い私にも感得せられた。
海外では早くから注目され始め、……サミー・チェンが広東語でカバーした「ARIGATOU」が1位を記録した。また、アルバム収録曲「私は歌う小鳥です」は香港圏域のファンケルのテレビCMソングに起用された。これを受け、香港でワンマンライブも行った。
日本よりも海外で先に売れた歌手であるようだ。
大学在学中の1998年にデビューして、翌年に「ありがとう…」が香港でヒット。それを香港のスター女優にして歌手でもあるサミー・チェンがカバーしてヒット。そしてその曲が入ったアルバムを、2000年に香港を旅した私が手に取ったというわけだ。
そんなことも知らずに私はこの曲を、香港の旅情に浸る曲として折に触れて聴いていた。
◇
ところで、「ありがとう…」が3位を記録したという香港国際流行音楽大賞とはどのような賞なのか?
私の調べによれば、これは香港電台(RTHK)なる香港の公営ラジオ局が1989年から主催しているアワードであるようだ。現在も続いており、2021年は第32回にあたる。
賞のカテゴリーは次のとおりである。
Top Ten International Gold Songs
Super Gold Song
Top Male Artist(金・銀・銅)
Top Female Artist(金・銀・銅)
Top Band/Group(金・銀・銅)
Top Japanese Gold Song(金・銀・銅)
Top Japanese Artist/Group(金・銀・銅)
The Best Selling Album Awards (英文・日文・韓文・サウンドトラック)
その名のとおり「国際流行音楽」だから、受賞対象はワールドワイドである。
例えば2021年の〝Super Gold Song〟は次である。
cardigan/Taylor Swift
現在の流行に疎い私でもテイラー・スウィフトの名前は知っているから、相当にメジャーな歌手や曲に与えられる賞と推測される。
そのうち〝Top Japanese Gold Song〟と〝Top Japanese Artist/Group〟が日本に限定した賞であるようだ。
ちなみに2021年の〝Top Japanese Gold Song〟は次である。
金賞 炎/LiSA
銀賞 感電/米津玄師
銅賞 むくのはね/玉置浩二
また〝Top Japanese Artist/Group〟は次である。
金賞 LiSA
銀賞 米津玄師
銅賞 あいみょん
受賞はファン投票が六割、プロによる採点が四割の合計スコアで決めるとされるが、〝Gold Song〟の三位に玉置浩二が入ってくるあたり、なかなか性格の読めないアワードではある。
ちなみに〝Gold Song〟は中国では「金曲」と書くのだな。
だからKOKIAの「ありがとう…」は、1999年の「最受歡迎日本金曲」の銅賞を獲得したということだろう。そのときの金賞および銀賞は何だったのだろう? と気になって調べてみたが、分からなかった。
いずれにせよ、デビューしたてのKOKIAにとって、このときの香港での受賞がアーティストとして浮上するきっかけになったことは間違いないと思われる。
(次回に続く)
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