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上京してバンドを組むまで。1990年代⑬(番外編・KBくんと目が赤くなる植物)

前回でやっと「上京して初めて組んだバンドでデビューライブ」を行ったところまで話が進んだ。

このnoteはそこまで書いたら終わりにしようかな?と思っていたけれど、多少は反響があったのと書き始めたら面白いのでもう少し続けさせてもらいます。(次からタイトルどうしようかな?)

デビューライブの出演バンドの中では俺らは浮いていたが、カテゴライズされたくなかったのと若くてバカだったから特に気にはしなかった。

企画バンドの「地獄まんじゅう」の人達もどこの馬の骨ともわからない俺らに親切にしてくれた。

そしてその企画に一番最初に誘ってくれたのは当時同じ会社で働いており、同企画によく出演していたAA撲殺チェンソーロボトミーというバンドのKMさんだった。

みなさん元気にしているだろうか?

ハニーハンター(当時のバンド)がどうなっていくかはまた記すとして、今回は当時交流のあった友達で印象に残っている人のことを書いてみたい。

KBくんはバンドメンバーのY君やN君の高校の頃からの友達。やはり元ヤンキーで学生服には刺繍を施して学校では嫌いな先生の車に剥離剤をぶちまけて塗装をベロベロに剥がしちゃったりとかでザ・不良少年な素行だったらしい。

そんなKBくんだったが、俺が会った時にはその過去を感じさせない古着が似合うお洒落な姿の青年だった。変に人を威圧することもなく暴力的な人でもなかった。俺はたまにKBくんの着なくなったお古をもらったりしていた。

KB君は高校を出て一度就職したものの、服飾関連のデザインの仕事をすることを諦めきれなくて、会社を辞めてバイトをしながら服飾の専門学校に通っており、Y君を通じて友達になった。

※KBくんはその後自分の目標を叶えて、靴や革製品のデザイナー兼職人となりファッション雑誌に載ったりするのだった。

よく車でY君と一緒に俺の住んでいたアパート(名前は「やりた荘」)に遊びに来ては酒を飲んだりしていたが、ある日「酒ではない乾燥した(もしくは練り固められた)植物」が持ち込まれた。

俺はケミカル系には抵抗があったが、乾燥させたり練り固められりした植物は「機会があればぜひ」と思っていたので、さっそくみんなで吸ってみた。

数分後、、、。

CDプレーヤーの液晶表示を見ながら固まってしまった俺。

それを見て爆笑するみんな。

その後もY君の話すどうでもいい話にハマって笑いが止まらなくなったり、甘いものがやたらと美味しく感じられたりとそれなりに楽しい効用があった。(BGMはサイプレスヒルとビョーク)

その後も何度も試す機会があったが運良くバッドトリップしたことは一度もなかった。

やりた荘にはいろいろなひとが出入りしていたけれど、この頃が一番どんちゃん騒ぎが繰り広げられていた時期でひどい時には隣の家(もはやとなりの部屋ではなく)から苦情が来たりしても、こちらは逆ギレ気味に「あぁ〜すいませんねぇー」と軽くあやまるくらいで、そのまま延々とバカ騒ぎを続けたりしていた。

自分がいま逆のことをされたら「ただでは済まさないな」と思ってしまう。

「若さイコールバカさ」を絵に描いたような日常だった。

みんなでライブに行ったり、釣りに行ったり、古着屋めぐりをしたりと遊んでいたが、KB君はその後「しばらくイギリスに行ってくる」と言って実際に何ヶ月か向こうに住んでいた。

ちょうどその頃、ウチの弟も高校を卒業し上京して来て「やりた荘」に居候する。そしてアルバイトをして貯めたお金でKB君を頼って弟もいきなり何ヶ月かイギリスに行ってしまった。

今と違ってPCも普及していない90年代初頭なので時々手紙のやり取りをしていたら、ある日KB君と弟から「二人で目を真っ赤にしながら爆笑している写真(全体的にうっすらと煙にまみれた)」が送られてきた。

弟はまだこの頃はウブな少年だったが、、。(いまでは妙に貫禄のあるオッさんになった)

ちなみにKB君はちょうどその頃イギリスツアーを行っていたREGISTRATORSとも遭遇したらしい。

弟は「自称アーティスト」のガラクタを集めてなんか作ってる人の家に居候してたらしい。(写真を見せてもらったらチャールズ・マンソンみたいな顔したおっさんだった)

そんなKB君とも今では疎遠になってしまった。

バンドメンバーだったY君と疎遠になった理由はなんとなくわかるのだけれど、KB君が離れていってしまった理由は未だにはっきりとはわからない。

俺が知らず知らずのうちに失礼なことをしていたのかもしれないし、上昇志向の強いKB君だったから俺らに見切りをつけたのかもしれないし、もともとかなりの不良(KB君)と一方ただの変わり者(俺)の組み合わせだったからどこか根底の部分でノリが合わなかったのかもしれない。

こちらとしては久々に会ってみたい気もするのだが。

バイタリティのある人だったから今もどこかで元気に活躍していると思う。

KB君のおかげで貴重な体験もしたし、俺にも若くてバカな時代の一コマがあることを今になってうれしく思う。

(追伸)  ちなみに乾燥させたり練り固めたりした植物については個人的にはそんなに悪いものではないという認識だけれど、俺は「もういいかな」と思っている。周りにそれ関連で捕まってしまった友人・知人も何人かいて大変そうだったし、あの程度の楽しさで周りの大切な人に迷惑をかけたり、今の地味ながらも楽しい生活を棒に振るようなリスクを背負うのはどうかな?と思うから。

あとはアル中をなんとか克服して以来、酩酊するということに少しだけ恐怖感もある。

そのくせ歯医者に行った帰りに麻酔(こちらはケミカルだけど)が必要以上に効いていたりするとちょっと得した気分になって「おおっ、ジョニー・サンダースってこんな気分でギター弾いてたのかな?」とかふざけたことを考えたりしている。

※見出しの写真はこの頃別の友達と釣りに行ったときにおどけて撮った写真。なんか偶然にも「吸ってる」ように見える笑





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