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臨死体験〜iPh○ne落としただけなのに〜

なんて事のない土曜日だった。

私は、流石に突っ張り棒で洗濯物を干していることを恥ずかしく思い、ニ○リに物干し竿を買いに行った。

セルフレジでスマホ会員証を提示し、クレカで一括払い。財布をリュックにしまい、レジを去った。店を出た時、微かにスマホをレジに置き忘れた気がして、リュックを確認しようとしたが、面倒臭さが勝って結局確認しなかった。

帰宅して、干していた冬用の掛け布団を圧縮して収納し、突っ張り棒にお別れを告げ、物干し竿に取り替えた。

ひと段落して、リュックの中からスマホを取り出そうとする。

いつもスマホを入れているポケットに手を突っ込んだものの、なんの感触もない。

念の為、リュックのファスナーというファスナーを全開し、振り回してみたが、入っているべきものが出てこない。

私はここで初めてスマホを失くしたことに気がついた!

急いでニ○リにトンボ帰りし、サービスカウンターでiPhoneの落とし物が届いていないか聞いた。

しかし、届いていなかった。iPhoneが見つかった場合の連絡先を聞かれたが、貯金0円の一人暮らし大学生がスマホを2台持ちしているわけもなく、特に教えられる連絡先がなかったため、そのまま何の成果もなく帰った。

帰宅し、家で絶望した後、「いやまずこういう時は交番では?」と思い直し、引っ越してばかりで場所がわからない交番までの道のりをお巡りさんに聞きつつ、交番に行った。

交番にもまだスマホは届いていないらしく、遺失届を提出して、帰った。

自室のドアを開けた際、ふとパソコンが目に映った。そして閃いた。

「パソコンからiPhoneの場所特定できるんじゃね」

すぐさま行動に移した。Appleの公式サイトによると、どうやらiCloud.com/findからiPhoneを探せるらしくiCloud.com/findに移動した。AppleIDとパスワードが求められ、一瞬ビクッとなったが、奇跡的にうろ覚えの入力で入ることができた。

「これで何とかなる!」と思ったのも、束の間、パソコン画面に表示されたのは、地図ではなく、
「デバイスがありません。」の無機質な文字列。

何といつのまにか私はiPhoneの「探す」をOFFにしていたらしい。絶望に耐えられず、もう一度、家の中、ニ○リから家までの道のり、ニ○リ店内を隈なく捜索したが、やはり見つからず、疲れ果ててその日は眠った。

翌朝、日曜日、何を買う訳でもなく何度も訪ねることに罪悪感を覚えながらも、ニ○リに行き、iPhoneの落とし物がないか再びサービスカウンターで問い合わせたが、やはりなかった。

「防犯カメラの映像を見せてもらえれば私がiPhoneを落とした場所、もしくは私のiPhoneを盗んだ人物がわかるのでは?」
と思い、防犯カメラの映像を見せてもらうようにお願いしたが、店側としても素性の知れない馬の骨に防犯カメラの映像を見せる訳にはいかないらしく、徒労に終わった。

この時の私はもう、
「私のiPhoneは今頃盗まれて初期化されてリサイクルショップに売り飛ばされているんだろうな」
と諦めかけていた。

それでも、まだ残されていた手段を思い出した。

「携帯ショップに行けば何とかしてもらえるかも」

そう思い、携帯ショップに行ったが、ここで私は更なる地獄を見た。

携帯ショップの人にも、iPhoneの場所を特定するのは難しいらしく、Appleに電話を繋いでくれた。

私 「紛失したiPhoneの場所を特定してもらいたいのですが」

Apple 「AppleIDは?シリアル番号は?・・・」

私「かくかくしかじかです。」

a few minutes later

Apple 「『探す』がOFFになっている以上、こちらからお客様が失くされたiPhoneを捜索することはできません。また、お客様はapple care servicesにご加入しており、本来であれば盗難・紛失に対する補償を受けられるのですが、そちらを受ける条件が『探す』をONにしていることですので、お客様は補償を受けることができません」

私「わかりました...」

私の内心「何のための保険だよ。てか『探す』をOFFにしていた罪大きすぎない!?」

さらに携帯ショップの店員の言葉が私に追い討ちをかける。

「お客様にはまだ、失くされたiPhoneの残債が約8万円残っており、本来なら端末の返還でこの残債は帳消しできるのですが、このままiPhoneが見つからなかった場合、残債を抱えたまま機種変更という形になります。」

は!?

いや待て、どう言うことだってばよ...

今月からバイト始めたから残債を支払えなくもないけど、これから数ヶ月間はタダ働き同然ってこと!?しかも、機種変更でさらにお金がかかるし...

この時の絶望感は半端じゃなかった。パソコンからiCloudに入れば、少しの間は何とかなるかもと思い、それを試みたが、「認証コード」が失くしたiPhoneに送られて、それを入力しないと入れないということで、いよいよどうにもできなくなった。

携帯ショップを去り、帰宅したら、やる予定だった大学の課題は投げ捨て、パソコンで必死に安いiPhoneを探した。ネットでは色々な情報が飛び交い、情弱な私は、結局新品か中古、どちらを買うべきなのかもわからなくなり、途方に暮れながら眠りについた。

明くる日、月曜日。

いくら何でも大学の授業には出なくては行けない。給付型奨学金を得て大学に通っているため、単位を落とす訳にはいかないのだ。

まったく頭に入らない授業を聞き終えて後、空きコマを利用して、警察署に向かった。

警察署の落とし物係の人に遺失届の受理番号を伝えて、iPhoneが届いてないか確認してもらう。

受付の人 「お伺いしたiPhoneなんですが、今朝隣町の警察署から酷似した落とし物が届けられたという連絡がありまして、隣町の警察署にこの4桁の番号と身分証明書をご提示してもらえれば、iPhoneをお渡しすることができます」

この瞬間は大学受験で第一志望校に合格した時以上に嬉しかったかもしれない。本当にこの国はいい国だよ。間違いなく「日出ずる国」だ。

すぐさま隣町の警察署に向かい、iPhoneを返還してもらって、事態は収拾した。


この体験から学んだ教訓
1「探す」はOFFにしない。
2少しでも違和感があったら解消すべし。「忘れたかも」は99%杞憂だが、1%はマジ。


ここまで読んでいただきありがとうございました。読者のみなさまもスマホの紛失・盗難にはお気をつけください!

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