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V=IRはちょっと危険な式です

「ケーキが好きな人は、甘いものが好き」かもしれませんが、
「甘いものが好きな人は、ケーキが好き」とは限りません。
AならばBという様な理論は、そう単純ではありません。
それはV=IRにも言えます。

V=IRはオームの法則です。言うまでもなく式は三通りに変化できますので、
I=V/R 或いは、R=V/I とも表現できます。
これら三つは全て同じ意味ですが、V=IRの解釈は少し危険を伴います。

そう思ったきっかけは、こう言う事を言ってる人がいたからです。
「1MΩの高抵抗であれば、僅か1mAの電流でも1000Vもの高電圧になる‥」
確かに三つの数字の関係性は間違ってはいませんが、違和感があります。
それは、1mAの電流が1000Vを発生させたと言うニュアンスです。
当然これは間違いです。1mAの電流を流したから1000Vが発生したのではありません。1000Vをかけたから1mAが流れただけです。

電圧の結果として電流が流れるのです。
電流の結果として電圧が発生する事はありません。
(電磁誘導等の話はオーム則とは別です)
V=IRの式は、Vが結果(出力)に見えてしまうところが危険です。
なぜ結果(出力)に見えるかと言うと、項がたくさんある方が入力で一つの項の方が出力に見えるからです。
例えば、y=A×B÷D−C という式あったら、yは結果(出力)に見えますね。
つまりV=IRのVは結果に見えるのです。

Rに電流Iを流した結果として、Vという電圧がでる。
こう解釈してしまうと、Iという電流が入力で、出力はVと考えてしまうのです。

電圧と電流の因果関係、それは電圧が原因で電流が結果です。ですので、1000Vを出す為に1mAを流してやると言う様な事はありません。
「いや、電流源を使ってやれば可能でしょ?」と思われた方は、
電流源は電流の源!?を見て下さい。

オームの法則はどの形であろうと間違いではありませんが、概念的に正しく理解するには「I=V/R」が的確かもしれません。
但し、分圧回路のVを求める場合は、Vを結果として捉えるのでV=IRという概念は正しいと言えます。大切な事は、得た計算結果は出力なのか、入力なのかを正しく認識する事です。


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