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犯人のいないノイズの考え方

ノイズ問題が発生した時まず考えるのは、ノイズはどこから来ているかです。 

例えば、電源ラインが揺れていて、装置が誤作動したとします。
しかし電圧源からはノイズは出ていません。
どこかからノイズが飛んできていると考えて、配線にシールドをしましたがノイズは消えません。

取り敢えず電圧源を変更してみました。するとノイズが消えました。
電圧源からはノイズは出ていなかったはずなのに、
これはどう言う事なのでしょうか?

ノイズには発生源があって、そこから発生したノイズが導線や空中を伝わって被害を与えている。そういう固定概念があります。

つまり加害者(発生源)がどこかに存在している、と考えるわけです。
加害者と被害者がいる、という構図です

しかし、この概念だけで考えると、ノイズ問題の解決は困難になります。

では、この場合のノイズ源とは何だったのでしょうか?

答えは、まずノイズ源はありません。
私たちが単純に考えているようなノイズ源が存在しない場合があるのです。
ノイズ源がないのにノイズが発生するなんて納得できないならば、
敢えて言えば、ノイズ被害を受けているICや回路自体がノイズ源です。

つまり、被害者であり、加害者でもあるのです。

ノイズとはアクティブに出される物だけとは限りません。
受け側(被害者)が原因で発生するノイズもあるのです。

そのメカニズムはこうです。

急激な負荷変動に電圧源が反応しきれず、電源電圧が揺れてしまうのです。
電圧源は、一定電圧を出し続けていますが、急激な負荷変動=電流変動が発生した場合に、電圧源の能力が低いと、定電圧を維持できず乱れるのです。

だから、能力の大きい電圧源に変えてやれば、この問題が解消されるのです。

電圧源の供給能力を上げても、解決しない場合もあります。それは、電源ー負荷間の配線のインダクタンスが影響して電圧変化を発生させる事があるからです。V=L×(di/dt)ですので、急激な電流変化で、コイル(この場合は配線)の前後に電位差が発生するのです。

相手が(周りが)動いて見えるのは、本当は相手が動いているのではなく、
自分が動いているかもしれないのです。
自分が動いている自覚がないと、相手が動いているように見えてしまうわけです。
ノイズ源を探す時、相手が動いているのか、自分が動いているのかの見極めが大事です。 

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