海と息子と私
昔のことを話しすると、
エラかったねとよく言われるようになった。
だけど、本当はそれほどエラクないのです。
私はいつも、こういう人たちに許されてきたことを
やっぱり、どこかに記しておきたくて、書きました。
離婚は世間では良くある話だけど、
自分が離婚するのは、
結婚と同じでそれほどある話ではない。
だから離婚直後は、そうとう心がやられてる。
子供がお父さんは?と聞いて来る度に
色んな感情が込み上げてきて、泣きたくなる。
「明日食う米もない」とよく聞く貧乏セリフが
この身に起こるとは…
長男が私の顔色を見て、ずっと愛想笑いをしてる。
子供に愛想笑いさせてる自分が嫌で、
ますます不機嫌になる。
悪循環の中でぐるぐるする。
機能不全家族で育った私は、
健全な家族を構築する夢があった。
そのために努力もしたはずだ。
なのに、機能不全の家族しか作れなかった絶望感。
その原因の男を追い出し、
子供と3人生きて行くつもりが
機能不全は続いてる。
賢い長男は、まだ小学2年生なのに、
色んなことを察して優しかった。
その優しさに甘えて、声を荒げてツラクあたる私。
ある日、
長男の身体に異変が。
少しでも身体に触れると痛がるようになった。
大きな病気の前兆かもしれない。
実家の近くの大病院で診てもらうため
1人、飛行機に乗せた。
全身の痛みの原因は不明。
精神的なもの。
病院で診てもらわなくてもわかってたことだ。
本当は。
原因は不明ではない。
母親の私だ。
いちばん大切なものを
いちばん大切にしたいと思っているものを
自分の辛い気持ちで踏みにじってる。
とんでもなく愚かだ。
いつまでも負の感情の沼にいてはいけない。
クラッシュした心の破片をかき集めて、
立ち直る決心をした。
まず、すべきは何か?
息子に謝ろう。
全部、私が悪かったことを
八つ当たりをしてたことを
ちゃんと謝まろう。
海の向こうに異国の見える海岸に2人でいる。
私がごめんねていうと、
子供がごめんねという。
あなたは悪くないよ。悪いのは全部私だよというと、
お母さんは悪くないよ。悪いのは僕だよという。
ちがうよ。
本当に私が悪いの。
ほんとうに…
わんわん泣いてしまった。
大丈夫だよ。
わかっているから。
お母さんの気持ちはわかっているからと言いながら、
優しく、体をトントンしてくれた。
私はしばらくずっと子供の前で泣いていた。
こんなに優しく、あっさり人を許せる。
そんな人に私もなりたい。
こんなアホな親に
全権ゆだねて、無邪気に寝る子供たちに
人を許す尊さを学ぶ夜。
クラッシュした心の破片をはめ込む。
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