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色落ちしたトレーナー

マインクラフトのクリーパーが印刷されたトレーナーが、一部脱色してしまった。恐らく、台所でコップの黄ばみが気になって塩素系漂白剤を使った時にはねてしまったんだろう。色落ちしてしまったのは、この1枚だけじゃなくて猫渕さんの黒いトレーナーにもあった。

プリントされた柄が可愛くて購入したので、毛玉取って洗濯したら、これでクッションカバーを作ろうと思い、クリーパーのトレーナーの毛玉を取っている時にふと、思い出した。

まだ母と同居していた時の話。購入したてのトレーナー3枚を洗濯しようと思って、洗濯機に入れておいた。もちろん、その3枚だけを洗うつもりで。だが母は、私の知らない間に使ったタオルを入れていた。洗濯し終わったトレーナーを見たら、毛玉が大量に出来ていて、トレーナーと一緒に出てきたタオルを見て愕然とした。

私は何度も母に「使って湿ったタオルを洗濯機に入れるな」と注意していたが、あの人は「なんで?」と聞いてくる。なんでもなにも、洗濯槽がカビる原因になるからだ。説明しても「いいじゃん、どうせ洗うんだし」と言われる。

何より酷かったのが、「指の関節が痛くて、布巾がきちんと絞れない」といいながら、塩素系漂白剤で漂白した布巾を絞って洗濯機に入れる。これで私の持っている服の数枚が脱色された。当時働いていた所が「白いブラウスと黒いパンツ」と言う規定があったのだが、その黒いパンツ数枚に点々と脱色が見つかった。

母は自分がされて嫌なことは嫌だと言うが、人が嫌だと言うことを聞いてくれない。「サプライズが嫌い」だと言って誕生日に作ったケーキ風ちらし寿司と唐揚げに怒った女である。しかし、とある冬、外に小さなかまくらをいくつも作ってロウソクを点けてたことがあった。遅番で仕事を終えた私が帰ってきた時に、それを見て喜ばなかったのが不服だったのか、「せっかく作ったのに」とブチブチ文句を垂れていた。

母のサプライズが嫌いな理由は「それを見て、例え嬉しくなくても喜んだ反応をしなければいけないのが苦痛」と言っていたのに、私にはそれを求める意味がわからなかった。自分の言っている言葉の意味がわかっているのか?と毎回思うくらいに違う。「私はいいけど、お前はダメ」理論が多すぎて、一緒に暮らしている時にはストレスが多すぎた。

閉所恐怖症もある母は、ある時に部屋の間仕切りであったふすまを取って、一つの部屋にしてしまった。私が「いやだからね。絶対にやめてね」と何度も何度も言った後、仕事から帰ったらそうなっていた。それを見て私は「ああ、この人は自分さえ良ければいいんだ」と諦めた。使いにくい状態にされた私のスペース。母が出て行ってからも、変えられていないその場所は、見る度に心が虚無になる。

だけど、ずっとこのままではいられない。
私はこれから少しずつ、土足で踏み荒らされた場所を整えて行く。


ここまで書いたけど、別段母との仲が悪いわけではない。
その人の持って生まれた性格が故にどうしようもないから、私は諦めている。だからこそ、私に対しても早く諦めて欲しい。あなたが思っている以上に、私は不出来なのです。


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