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006 国境は線か面か



モスクワに着いたのは6月。
2ヶ月足らずで来れた。

モスクワに入るまでに洗車をしたかった。

大量の蛾や虫がぶつかって凄まじい汚れ。
草木も生えてない不毛の大地。
砂埃もすごい。

フロントガラスは時々ペットボトルに入れた水で拭いた。
すぐに汚れるので途中に洗車はしなかった。

ちょうど街に入る手前に大型の洗車センター。
ありがたい。

過酷な旅。
あの荒野を走り切った。

都に入る前にキレイにしてあげることができる。
一番高いコースでも日本円で1000円ぐらい。

乗車したまま洗車機に入る。

まず洗剤が大胆にかけらる。
それから5人ぐらいのお兄さんたちが、
寄ってたかってブラッシングしてくれた。

さらに機械が泡を出しながら磨いてくれた。
そして、すすぎ、乾燥。

ピカピカにしてもらった。
2ヶ月ぶりのお風呂。

モスクワから先は道も整備されていて快適である。
車もひどく汚れることはない。

スケジュールも余裕!
うれしい。


洗車前
洗車直後


ヨーロッパ入りは8月ぐらいに設定していたのでゆっくり滞在することにした。

食事、カフェ。久しぶりの都会。
赤の広場、クレムリン。

車が多い!道が広い!
横断歩道に信号が無い!

とにかく車が多い
赤の広場のあたり


サンクトペテルブルクまでは軽く1日で走ることができた。

さらに時間の余裕があったので、
サンクトペテルブルクでも1週間ほど滞在。

ようやくフィンランドとの国境までくることができた。

国境が近づくにつれて雰囲気が寂しくなる。
小さな街に小さな教会。
国境手前の最後の教会。

バイカル湖から峠を越えるときにも、
小さな教会があった。

その時もとても気になって参拝に立ち寄った。

旅する者を優しく包み込んでくれる雰囲気。
なぜか懐かしい感覚。

ああ。
きっと私はここを訪れたことがある。

二つの教会は、
私にとって明らかに境界だった。

バイカルを超えた後は緑が豊か。
初めて花が咲いているのを見た。

生きた心地。
安心。

旅のファーストステージの終わりだった。


国境手前の教会


そしてロシア最後の教会。

海より広大な、永遠に続く大地。
2ヶ月かかった10000kmのロシア通過。

やっとヨーロッパだ。
もう少しだ!

教会を去ると家もなく人もない道を進んだ。


さあ国境だ!


国境ではロシアの出国チェック。
すんなり通してくれると思ったが、
そうはいかなかった。

「ドキュメント」

係官のとりあえずの対応に見えた。

日本から来る者など滅多にない。
車は荷物がいっぱい。

何もしないわけにはいかなかったのだろう。

日本を出国する際に詳細に作ったパッキングリストを渡すと、係官は事務所に消えていった。

ああ。書類は大切だ。


よかった。
通してくれた。

少し先に進んで、警備している人に聞いてみた。

「もうここはフィンランド?」
「No」

入国はどうするんだろう。
と疑問に思いながら10分ぐらい走った。

おお!入国チェックだ!

国境の幅は車で10分ぐらい。
どっちの国でもないエリアなんだろう。

結構広大だった。

日本の港では車をフェリーに積む前に、
一晩車を預けた。

日本でもロシアでもない場所だと言っていた。

入国審査はあっさり。
荷物のチェックも無し。

どこに行くの?
期間は?

ただ、意気揚々と立ち去るわけにはいかなかった。

ヨーロッパを走る際に必要な自動車保険。
訪ねなかったら無保険で放り出されるところだった。

ちゃんと窓口で加入手続きをしてくれた。
フィンランドの人。やさしい❤️

国境は広かった。
線ではなく面だった。

ああ。
やっとヨーロッパに入った。
もうロシアには戻れない。

少し懐かしい。
不自由なりに慣れていたことを実感した。

給油も道路標識も、買い物も全部違う。

旅のサードステージが始まった。


国境を超えた最初の休憩所
サービスエリアではムーミンがお出迎え!

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